70話 属性体質
ーー宿屋の上にて
『ピキピキ』
紫色のオーラのようなものが、ラナトスの愛刀を包んでゆく。
「な、なんだそれは」
ゲナトの刺客はその様子を見て驚いた顔を浮かべた。
「どうしたの、君と同じ属性なのになんでそんな驚いているんだい?」
「いや違う、その反応は俺と同じ力属性のものではない」
『カキィン』
そう言ってゲナトの刺客は、ラナトスの愛刀との鍔迫り合いを解いて、2、3歩後退した。
『パキパキ』
そうしてラナトスの愛刀の刀身は紫色のオーラに覆われた。
ラナトスは、力属性の属性体質を持つ。
ただ彼の場合、力属性と水属性、そして神属性というこれまた珍しい属性も持っており、紫色のオーラは力属性と神属性をミックスさせた時に起こる反応である。
「不思議な剣ですね」
システィーナは、ラナトスの刀を見てそう呟く。
「はは、それはどうも、私は結構珍しい血筋でしてその関係で属性を3つ持っているのですよ」
「属性体質を3つ!?は、初めて聞きました」
そう言ってシスティーナは目を見開いた。
「驚きすぎです、レヴァンスの第一王女やアルトの王様も属性体質を複数持ってます、私だけではないです、まぁでも3つ持ちは私だけですけどね」
ラナトスはそう話すとニコッと笑った。
ラナトス・リンガード。
リンガード家の父とガネーシャ家の母の元に生まれ、生まれながらにして力と水の属性を宿し、その後、魔道具"神刀・聖刻印"の契約者となった事で神属性も手に入れた、アルト王国最強の騎士である。
「属性の3つ持ちだと、お前一体何者なんだ?」
「ベルーナの騎士さ、さっきもそう言ったけどね」
「ベルーナはこんなバケモンを飼ってんのかよ」
『スチャ』
ゲナトの刺客はそう言うと、短剣を腰に納めた。
「なんだい、戦わないのかい?」
「事情が変わった、お前の事を団長に報告せねばならん」
「逃げるつもりかい?」
「ああそうだ」
「そうはさせないよ」
『キーン』
ラナトスがそう言うと、愛刀は白色の輝きを放った。
「神刀・聖刻印発動」
「な、なんだ」
『パァン』
そうしてゲナトの刺客は光に包まれていく。
魔道具"神刀・聖刻印"この刀は、契約者に神属性と呼ばれる特殊な体質を与え、そして所有者は神属性の力を使い、神域と呼ばれる肉体強化を得る。
『ガシッ』
「さぁ捕まえたよ」
そうしてラナトスはゲナトの刺客の背後を取り、肩を掴む。
「くっ、こんな手すぐ解いてやる……ぐはっ、な、なんだ身体が重い」
『ズズン』
その時ラナトスの力属性により、ゲナトの刺客を強力な重力が襲い動きを鈍らせた。
「さ、これで拘束は完了だよ」




