69話 ラナトスの愛刀
ーー宿屋の上にて
『ヒュルルル』
システィーナから放たれた銀星は、ゲナトの刺客の周りを飛んでグルグルと回り始める。
「くっ、なんだこれは!」
ゲナトの刺客は大きな声を上げる。
「それは銀星といって、任意の対象を飛び回り拘束する魔法です、私の星宮の神剣は7つの星を支配する魔法を使います、これはその内の1つです」
「7つの星?」
システィーナの言葉にゲナトの刺客はそう聞き返す。
「ええそうです、7つの星の力を自在に操るのがこの神剣の持つ特別認定魔法なのです」
「おもしろいな」
システィーナがそう答えると、ラナトスは笑みを浮かべてそう呟く。
『チリッ』
「ちっ、なんだよこれ動けねぇじゃねぇかよ」
ゲナトの刺客が銀星の拘束から抜け出そうとすると、銀星の輪が刺客の身体を傷つけた。
「そのままそこで大人しくしていなさい」
「嫌だね」
そう言うとゲナトの刺客は、持っていた短剣に魔力を込め始める。
『キュオオ』
魔力を込められた短剣は、紫色の輝きを放ち、ゲナトの刺客はそのまま銀星の輪に短剣を押し当てる。
「ふんっ!」
『ギャリリリリ』
短剣と銀星の輪がぶつかると、不快な金属音が生じた。
「あの感じ魔力纏いかな、それも力属性持ちか……ゲナトの刺客もなかなかやるね」
ラナトスは短剣を見てそう分析していた。
属性持ちの行う魔力操作には、その属性特有の属性反応がある。
炎なら燃えたり、雷なら電気を帯びたりと様々である、そして紫色の属性反応は力属性と呼ばれる稀有な属性の証である。
『パキィン』
ゲナトの刺客はそのまま力属性を纏った短剣で銀星の輪を破壊してしまった。
「ま、まさか銀星の輪が破られるとは、仕方ない次の星を……」
『カチャ』
システィーナは破られたことに驚きつつも、次なる攻撃を仕掛けるべく用意を始める。
しかしゲナトの刺客はそれを待ってくれない。
「やらせねぇよぉ!」
「なっ、まずい!」
星宮の神剣が特別認定魔法を使用するためには剣を鞘に収めなければならず、その隙をゲナトの刺客は突いてシスティーナへと、刃を向ける。
『ガキィン』
「けっ、お前は様子見のはずだろ」
「麗しいお姫様が刺されるところをただ見てる俺ではないよ」
システィーナへ短剣が届く寸前のところで、ラナトスの刀が行手を阻む。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえいいんですよ」
『カチチチ』
システィーナのお礼に軽くそう答えたラナトスは、片手一本で刺客の短剣を防いでいた。
「……俺の力属性の魔力でなんでお前の刀を破壊できないんだ」
「さぁ、なんでだろうね」
ラナトスがそう言うと刀の色が紫色に輝き出した。
「お、お前まさか……」
「力には力だよ、ゲナトの刺客くん」




