67話 星を狩る騎士
ーーリップティッチ国内、最初の街にて
「……うーん、複雑だ」
宿に入ったエリックは、ベットに腰掛けるとそう言葉を漏らした。
「どうしたのさエリック様、そんな疲れた顔してさ」
同部屋のラナトスはエリックへそう声をかける。
「え、いやまぁ……」
"自分の息子が先祖になりました"とは言えないエリックは、ラナトスのその問いに口籠り曖昧な返事をする。
「何かあったのかい?」
「えっと、ちょっと色々あってさ」
ラナトスの自身を心配する眼差しをみたエリックは、思わずそう言葉を漏らす。
「色々ね、話なら聞くよ」
「ありがとう、あとごめん今から話す事だけど誰にも言わなでくれるとありがたい」
「わかったよ」
そうしてエリックは、自身の息子ルースの中身が3代前のベルーナ領の主人、サルーサ・ベルーナであった事を明かした。
「……凄い話だね、それは」
エリックから事情を聞いたラナトスは、驚きながらそう言った。
「本当だよ、なんで自分の息子に先祖が宿るんだ……」
そう言ってエリックは頭を抱えた。
「はは、笑ってはいけないのだろうけど、面白いね」
「笑いながらそんな事言うなよ」
ラナトスが笑いながらそう話すと、エリックは冷静にそうツッコんだ。
『ガサッ』
「ーーん?なんだろ、何か外で気配がするね」
気配に気がついたラナトスは、近くにあった自分の愛刀に手を伸ばす。
「エリック様、俺は外の気配の正体を探ってきますね」
「あ、ああ、頼むよラナトス」
未だルースの衝撃を上手く受け入れる事のできないエリックは、ラナトスにそう言うとまた頭を抱えるのだった。
ーー宿屋の外にて
『ザッ』
「そんなとこで何してんのさ?」
「うわっ、なんだお前は!」
2階にあるエリックの部屋を覗いていた謎の族にラナトスはそう話しかけ、驚いた族はそのまま屋根の上で飛び退き、ラナトスから距離を取った。
「黒装束に紫色の手袋、それにその黄色い瞳、君はもしかしてゲナト法国の人かな?」
ラナトスは謎の族にそう話しかける。
ゲナト法国とは、レヴァンスよりさらに北にある強国で、そこではゲナト教という固有の宗教が政権を握っており、国王でなく法王が権力のトップとなっている。
「だったらなんだよ」
「いやなんでもないよ、でもねこの宿屋には俺の主人が泊まっているんだ、あまり物騒な事はしないでくれると助かるかな」
『ギラ』
ラナトスはそう話すと、愛刀を少し抜き刃をチラつかせた。
「なんだよやる気か?」
ラナトスの挑発に族がそう答える。
「まぁ、やぶさかでは無いかな」
ラナトスも悩んだフリをしているが、内心戦える事を喜んでいた。
その時ーー。
「そこの二人、今すぐそこから降りて私と来てもらいます」
真っ白い鎧に身を包んだ騎士が、突如屋根の上にいるラナトスと族の前に現れそう話した。
「君は誰だい?」
ラナトスはそう訊ねる。
「我が名はシスティーナ・ティッチ、この王国の第一王女にして、騎士団長である」
白の騎士は気品ある声を響かせ、そう名乗る。
「システィーナ……なるほど、君が噂の"星を狩る騎士"か」




