66話 ルースの正体
「あ、おとうさん」
ルースは俺を見つけると、2歳児っぽくおぼつかない発音でそう話しかけてきた。
なんだろうな、この体の奥から込み上げてくる違和感は、こいつルースだけどルースじゃないのか。
「おうルース、さぁ街へ行こうか」
俺はそう言って右手を差し出た。
『パシッ』
「うん、いこうかおとうさん」
そう言ってルースは俺の手を取った。
自分が転生者だからだろうか、凄い過敏になっている気がする。
まぁ、たとえルースが転生者でもしっかり育てるつもりだけどね。
「おとうさん、もしかして何か気がついたの?」
ルースは突然、おおよそ2歳児の口調とは思えない雰囲気で俺にそう話しかけてきた。
もしかしてこの感じ、本当にルースは転生者なのか。
えーい、ここで確かめてしまおう。
「まぁな、おとうさんもお前と同じかもだからな」
「……そ、そんな、お前も俺と同じなのか!?」
ルースはそう言って、目をまん丸にして驚いていた。
お前って、俺は一応君のお父さんなんだけど。
「ああ、お父さん実は異世界転生者なんだよ」
「……いせかい転生者?それは一体、何者なんだ?」
ルースはそう話すと首を横に傾げた。
どういうことだ、ルースは異世界転生者では無いという事なのか。
でもおかしい、言動的にルースの中身は2歳児ではないはずだ。
「お、お前は一体誰なんだ」
「質問に質問で返すとは、まったく今の領主は貧弱よな、我が名はサルーサ・ベルーナ、お主の3代前の領主だ」
嘘だろなにそれ。
異世界転生者じゃないの……てか何この人俺のご先祖様なの?
「えっと、る、ルースはお父さんをからかっているのかな?」
「2歳児に親を謀る事なんぞできんだろ、これは事実である、認めろ子孫よ」
ルースは偉そうにそう言った。
「か、仮にあんたが俺の3代前の領主だったとして、ルースの人格はどこにいったんだ」
「安心しろ無事だ、ルースが15歳になれば俺は消える」
「そ、そうなのか……」
その言葉に俺は安堵した。
しかし、何故ルースの身体に俺のご先祖様がいるのだろうか。
「うむ、あとどうせ聞かれる事だから先に言っておくが、俺がお前の息子に転生した理由だが、お主の魔力と俺の特異体質が起因していると思われる」
ルースこと、ご先祖様は真剣な顔つきでそう答える。
「特異体質?」
「うむ、俺には霊体化という特異体質があってな、今回はそれにより死後霊体化していた俺の魂が、莫大な魔力を持つお主の子供に宿った事で起きた奇跡だろう」
「おい待て、莫大な魔力とはなんだ?」
俺は先祖の言葉に引っかかりそう訊ねた。
「お主、自分の息子なのにそんな事も知らないのか、良いかお主の息子ルースはな魔力総量8000を誇る化け物なんだぞ」
「8000だと!魔力量8000って、あのアーチボルトと同じだぞ」
「アーチ何某とやらを俺は知らんが、ルースはおそらく、潜在能力だけなら王国の第一将軍並みにあるぞ」
ご先祖様は笑顔でそう答える。
いやいや、第一将軍ってまだ2歳だぞルースは……いや中身は100歳越えか。
「いや別に、ルースにそこまで求めてないです」
「そうかい、まぁこれからしばらくの間よろしく頼むよ、ひ孫よ」




