65話 赤い国門
ーー2日後、道中にて
リップティッチ王国、建国から約150年ほどの小国。
元はレヴァンス王国の一所領に過ぎなかったが、150年前のレヴァンスの内乱の際に独立し、その際に隣国であった我がアルト王国やバージョ王国からの援助があり、5大国協定を締結する事に成功する。
その協定の効力により、レヴァンスはリップティッチに侵攻できなくなり、以後150年平和な王国として今も尚健在だ。
「エリック様、そろそろ見えてきましたよ」
馬車を運転するセバスチャンは、俺にそう言ってきた。
もう着いたのか意外と早かったな。
「パパ見て、赤い門があるよ」
馬車から頭を出してルーナがそう言った。
「ルーナ危ないから辞めなさい」
『ガシッ』
そう言って俺はルーナを馬車の中に引き戻した。
「危なく無いのに!」
ルーナはそう話すと、ぷくっと頬を膨らませた。
「ルーナ、パパを困らせないでね」
エリーはそう言って優しくルーナを叱った。
「ごめんねママ」
ルーナは素直にエリーに謝った。
な、何故俺には謝らないのにエリーには謝るんだ……謎である。
「エリック様、そろそろご準備を」
「わかったよセバスチャン」
セバスチャンのその言葉に俺はそう返事を返し、馬車はリップティッチの赤い国門をくぐるのだった。
ーーリップティッチの最初の街にて
赤門をくぐるとそこは、リップティッチの第二の都市ママールという街だった。
『ガラガラ』
馬車は前もって予約しておいた宿屋の前に泊まった。
「さぁて、荷物を宿屋に運ぼうか」
俺はそう言って馬車に積めてある、自分のトランクとエリーのトランク、そしえルーナのバックを担いだ。
「パパ凄い、力持ちだね!」
ルーナがそう言って嬉しそうに俺を見た。
こういう時くらいしか、父の威厳を示せないからな頑張ろう。
普段は他所へ行ってるから書斎にいるかで、俺はロクに家族に構っていなかった。
この旅ではそんな負の記憶を帳消しにするくらい、子供たちと一緒にいたいものだな。
「る、ルース様、無茶ですよそんな」
隣の馬車からユリンの声が気がこえてきた。
おいおいルースのやつ、一体何をやっているんだ。
俺はそう思いつつ、ユリンの声がする方へと歩いていった。
「おいおいルース、あまりユリンを困らすんじゃないぞ……ってなんだよそれ!」
ユリンの声がする方向へと視線を向けると、そこには馬車ごと持ち上げるルースがいた。
う、嘘だろ。
「待っててねユリン」
『ガコンッ』
ルースはそう言って馬車を1メートルほど持ち上げると、その下にあったユリンの鞄に目を向けた。
いやいや2歳の子がなんて力しているんだ、そんな芸当は魔力量が多くないと説明がつかない……も、もしかしてルースのやつ、魔力量がとんでもないのか。
『パシッ』
「ありがとうございます、ルース様」
ユリンは馬車の下に入り鞄とった。
「よいしょ」
『ドサッ』
ユリンが鞄を取るのを確認すると、ルースは持ち上げていた馬車を勢いよく下ろした。
「ふぅ、2歳児も楽じゃないな」
ルースはそう呟いて額の汗を拭った。
……なんだ今の話し方、まるで中身は2歳児じゃないような。




