59話 帰路につく
ーー3日後、セントレア領のとある村にて
「ん、ここはどこだ?」
宿屋の奥の部屋にて、シンディ・セントレアが3日ぶりに目を覚ます。
「お、起きたねシンディ」
寝起きのシンディの目の前には、リンゴの皮を剥くガードナーの姿があった。
「ガードナーか、私は一体……痛っ」
目覚めたばかりのシンディが起きあがろうとすると、全身に電気が走ったような痛みが襲った。
『ゴトッ』
「あらら、いきなり起き上がるからだよ」
ガードナーは、リンゴとナイフを机の上に置きシンディの元へ駆け寄った。
『ガシッ』
ガードナーはそうしてシンディを両腕で支えた。
「あ、ありがとな」
「いいんだよ、それよりもシンディ窓から外を見てごらん、もしかしたらまだ間に合うかもしれないから」
「窓?」
ガードナーは、そのままシンディを抱き抱えて窓の近くまで運んだ。
ーー窓の外にて
「じゃあまた」
エリックはそう言って右手を上げた。
「うむ、またなエリックよ」
ロックウェルはそう言って左腕を上げた。
「エリック!また手合わせお願いね」
ガリウスはそう話し槍を掲げる。
「ま、また手合わせするの、もう50回くらいやったよね」
「全然さ、だってまだ50回だよ」
エリックが引き気味にそう話すと、ガリウスは首を振ってそう答え返す。
終戦からの3日間、エリックは修行好きのガリウスに捕まり、ほぼ毎日8時間近く手合わせをしていた。
「そ、そうなんだ……まぁ気が向いたらまたやろうね」
「いや絶対だ、絶対やろう」
エリックの遠慮気味な返事は、ガリウスのやる気ある返事に飲まれてしまう。
「わかったよ……ならまた今度しっかりとやろう、それじゃあなガリウス」
「おうエリックもな」
『ガシッ』
この3日間ですっかり意気投合した同い年の若き領主エリック・ベルーナと、次期領主ガリウス・セントレアの2人はそう言って固い握手を結ぶのだった。
その時、エリックの頭上にある宿屋の一室の窓が開く。
『ガラッ』
「エリック!!」
窓の中からそう言って顔を出したのは、ガードナーに抱き抱えられたシンディだった。
「シンディさん!」
「エリックくん」
「それにガードナーさんも」
エリックがそう返事をすると、隣のガードナーも優しくそう微笑む。
「またなエリック、次はセントレアの屋敷に来い!もてなしてやるよ」
シンディは笑顔でそう話す。
「はい、今度は俺の家族を連れて会いに来ます、それじゃあ皆さんさようなら!」
そう言ってエリックは、迎えの馬車に乗り込んだ。
「それでは行きますよ、エリック様」
「うん、頼むよセバスチャン」
そうしてエリックは約10日ぶりにベルーナへの帰路につくのだった。




