58話 終戦②
ーー中央平原にて
「よし、これで完了だ」
『ポン』
ロックウェルさんはそう言って、レヴァンス側との停戦合意書に大きな判子を押した。
「それでは我々は、合意書に従ってこのまま撤退しますね」
アーチボルトは、そう言ってレヴァンス軍の残存兵と共に去り始める。
「アーチボルト!」
俺は去ろうとするアーチボルトにそう声をかける。
「なんでしょうか?」
「ちょっといいかな」
俺はそう言ってアーチボルトを連れて人気の無い森の中へと入っていった。
「ここら辺でいいかな」
「……私どもはお互いに敵同士、馴れ合うつもりはありませんよ」
「いや、馴れ合いとかじゃなくてさ、魔道鉄のことなんだけど」
「……ああ、そうですね、少し教えると言ってあの時は教える時間が無かったですもんね」
そう俺がアーチボルトを呼び止めた理由、それは魔道鉄である。
ただの魔道鉄なら集める事はそう難しくは無い、だがアーチボルトの使っている魔道鉄は純度が非常に高い。
そんな代物をどこで手に入れているのか、俺はそれに興味があった。
「おう、だから今教えてほしいんだ」
「いいでしょう、約束でしたし構いませんよ」
そう言ってアーチボルトは承諾してくれた。
「やった、じゃあ早速だけどその魔道鉄はどこで手に入れたんだ?」
「ああこれですか、この魔道鉄はリップティッチという小国で手に入れました」
リップティッチ?
聞いたことない国名だな、どこら辺にあるのだろう。
「……」
「その様子だと、リップティッチがどこにあるのかわからないようですね、いいでしょうそれも教えます」
俺がリップティッチの場所がわかってなさそうなのを見たアーチボルトは、やれやれといった感じでそう言ってくれた。
あ、ありがとう……敵だけど。
「あ、ありがとな」
「いえ、貴方には交渉をしてくれた恩があります、これくらいの事はしますよ、あとこれもどうぞ」
『シュッ』
アーチボルトはそう言って、俺に鉄の欠片を投げ渡した。
『パシッ』
「なんだこれ」
「それは私の使っている魔道鉄の欠片です、試しに魔力を流してみて下さい」
「わかった」
これがアーチボルトの魔道鉄か、持ってみた感じ冷んやりしてて気持ちが良い、それと禍々しい力も感じる。
よしやってみるか。
『ギュオ』
そう言われ早速魔力を流し込んでみると、魔道鉄の欠片は蒼く光りより冷たくなっていった。
「す、すげぇなんだこれ」
「いい変化ですね、壊れる様子もないですしこれなら、君の魔力量にも耐えられるのではないでしょうか」
アーチボルトは魔道鉄の変化を見てそう話した。
確かに、これなら俺の魔力量にも耐えられるかもしれない。
リップティッチか、色々落ち着いたら行ってみようかな。
「うん、これなら耐えられそうだよ、ありがとアーチボルト」
「サンダースです」
「え?」
「私の本名は、アーチボルト・サンダース、レヴァンス王家に仕える"騎士家系"です、どうぞお見知りおきを」
アーチボルトはそう言うと、小さく頭を下げた。
「サンダース……うん、ありがとうサンダースさん、俺、色々落ち着いたらリップティッチに行ってみるよ」
「ええ、行ってみて下さい、そこに行けば貴方にとってより実りのある収穫があるはずです」




