55話 氷結と決着
ーー中央平原
ーレヴァンス本陣にて
「に、逃げろぉ、敵の騎馬隊がくるぞぉ!!」
レヴァンス兵の一人がそう叫ぶ。
ゴーレウスの守備隊を抜いたガリウス騎馬隊は、レヴァンス本陣のすぐ喉元まで迫っていた。
「皆さん落ち着いて下さい、敵はここへはきません、アーチボルトが我々を守ってくれます」
レヴァンス王国第二王女、リオール・レヴァンスはそう言って慌てる兵士達を落ち着けた。
「で、ですがリオール様、アーチボルト様はまだ戻られていません、本当に我らを救いに戻られるのでしょうか?」
「必ず戻ります、私の占いはそう示しているのです」
そう言ってリオールは、手に持つ水晶を強く握った。
魔道具"魔星水晶"5日に一回、自身とそれに付随する者の将来を占う事ができ、的中率は90%を超える。
しかし5日一回しか使えないため、占いの結果が途中で変わってしまったりすると、応用が効かないリスクがあるが、そのリスクごと今までアーチボルトの力技で何とかできていたので、リオールは占いの結果を全く疑っていない。
「さすがはリオール様だ」
「ああ、そうだな安心感が違う」
リオールの言葉を聞いた兵士達は、そう呟き安堵していく。
今回リオールの行った占いでは、レヴァンスは窮地に陥るが雷の護り手により、敗北にはならないだろうと記されていた。
これをリオールは勝利と読み解き、アーチボルトはそのために今奔走している。
しかし、敗北にはならないとは必ずしも勝利を意味しているわけではない。
ーーアーチボルトvsエリック&ガードナー
『パキパキ』
「……まさか、こうなるとは」
全身氷に覆われたアーチボルトは、凍らされた自身の身体を見てそう呟く。
「ふぅ、何とかなったな」
エリックは、氷に覆われたアーチボルトを見てホッと息を吐き安堵していた。
特別認定魔法"氷輪絶花"は、エリックが少年兵時代に開発した特別認定魔法であり、その使用方法は攻撃ではなく、捕獲である。
「す、すごい、あのアーチボルトを捕らえるなんて」
驚いたガードナーはそう言葉を漏らす。
「この特別認定魔法は、昔、戦場にいた時に一度で沢山の敵を凍らせたくて作ったんです、大きな手裏剣で攻撃すると見せかけそれを撃ち落とさせる、そうすると砕けた手裏剣から高出力の冷気が放出され辺りを凍らせる、そういう魔法です」
「面白い発想だけど、強力な魔法だねそれは」
エリックの説明を聞いたガードナーは、顎に手を添え頷きながらそう話す。
「見事と言わざるを得ないですね、これは」
捕らえられたアーチボルトも、エリックへそう賛辞の言葉を贈り褒めるのだった。
「あ、あんたに褒められると喜べないな」
アーチボルトからの賛辞を素直に受け止められないエリックは、顔を引き攣らせそう答えた。
「エリック、ここは一つ交渉しませんか?」
アーチボルトは突然エリックへそう提案した。
「交渉だと?いやいやエリック君、状況を見てみろ、そんなのこっちに何も利益がない、話を聞いちゃダメだ!」
ガードナーは、凍らされたアーチボルトを見てそう叫ぶ。
「それはどうでしょうか?」
『バキィン』
そう言ってアーチボルトは、右足の氷を粉砕した。
「なっ、う、嘘だろ」
その様子を見たガードナーは、驚いてそのまま2、3歩後退りした。
「私はやろうと思えば、この程度の拘束なら10分ほどで解く事が可能です、交渉する価値はあると思いますが?」
アーチボルトは、エリックを真剣な目で見つめてそう話す。
「……交渉か、わかった応じよう」
「エリック君!!」
「ただしアーチボルト、その内容は俺が決めさせてもらう」
エリックはアーチボルトへ強気にそう提案し返すのだった。




