54話 特別認定魔法
魔法と魔力操作の違いは、大きく二つある。
まず一つはその出力だ。
基本的に魔法よりも魔力操作により、自身の魔力を属性変換や形状変化させる事なく使った方が、出力は高い。
そうこの世界における魔法とは、属性持ちでない人が、自身の魔力を属性魔法に変化させるものなのだ。
そして二つ目の違いが、その利便性である。
魔力操作を使っても形状変化はできるが、ゴーレムほど精巧な人形は作れない、故に魔力操作に長けているものでも魔法は使う。
「ていやー!」
『ガキィン』
「……」
ガードナーさんの一撃をアーチボルトは、またしてもボウガンを使い防いでみせた。
「エリックくん!今だここしかない!」
ガードナーさんは俺を見てそう叫んだ。
さっき話した魔法についてだが、例外もある。
魔力操作に比べて出力が落ちると言ったが、特別認定魔法は別だ。
これはむしろ、魔力操作よりも高出力となるケースが多い。
「ふぅ、よし!やるか」
『シュオオ』
俺はガードナーさんの合図に応じ、特別認定魔法を使うべく右手に魔力を溜め始める。
『バチチチ』
「なっ!」
アーチボルトは、それを見てガードナーさんの一撃を防いでいるボウガンに電撃を集め始めた。
「ガードナーさん!もう十分だ、離れてください」
俺は魔力を十分に集めたので、ガードナーさんにそう言って離脱を促す。
「わ、わかった」
『カチャ』
ガードナーさんは、アーチボルトから長剣を外すとササっと距離を取るように後退していった。
「……その感じ、特別認定魔法ですか」
アーチボルトは、俺の右腕に集まった魔力を見てそう訊いてきた。
「ああそうだ、俺の最大火力だ」
「なるほど、火力不足をそれで補うのですね」
そう言って、またもや俺の考えを読み切るアーチボルト。
「そうだよ、俺にはまだそれは無いからな」
俺はそう言ってアーチボルトの左腕のボウガンに視線を向けた。
「魔道鉄ですか、確かに君が使えばかなりの高火力が期待できるでしょう、ですがそれを使う事なく君は今日ここで死にます」
『バチチチ』
アーチボルトはさらに電撃の出力を上げた。
「ふっ、やれるもんならやってみろ、特別認定魔法発動"氷輪絶花"」
俺は右手に巨大な氷の手裏剣を生成する。
「ほう、それが君の最大火力ですか、面白いですね私相手に遠距離攻撃でくるとは」
『カチャ』
そう言ってアーチボルトは、ボウガンを俺へと向けた。
「たまたまだよ、そしてこの手裏剣でお前をボウガンごと凍らせてやるよ」
「できるといいですね」
『バチィン』
アーチボルトは短くそう呟き、雷矢を放った。
「できるさ、喰らえ氷輪絶花!!」
『パシュッ』
俺は雷矢めがけて手に持つ氷の手裏剣をぶん投げる。
『バキィン』
そうして俺の特別認定魔法とアーチボルトの雷矢は空中で激しく衝突すると、大きな音とともに氷の手裏剣は消滅し、白い冷気の塊がアーチボルトを襲った。
『ヒュオオオ』
「くっ、こ、これは……」




