53話 セントレアの騎士
『バチチチ』
アーチボルトの左腕のボウガンに雷の矢が装填される。
『カチャ』
アーチボルトは、矢の装填されたボウガンを俺へと向ける。
「いくよ、エリック」
『バチィン』
勢いよく放たれた雷の矢は、真っ直ぐに俺へ向かう。
や、やばい!
『ガキィン』
俺に当たる寸前のところで、雷の矢は長刀により防がれた。
「大丈夫ですか、エリックくん」
「ガードナーさん!」
雷の矢から俺を守ってくれたのはガードナーさんだった。
「遅くなってすみません」
「いやいや、いいんですよこれは俺の仕事なんだし、それよりもシンディさんは大丈夫ですか?」
「心配無用です、治療して一命は取り止めました」
「よ、良かった」
「それにエリックくん、貴方は私の隊の兵士でもあるんです、私にも隊長らしくカッコつけさせてもらいますよ」
そう言ってガードナーさん、アーチボルトへと向かって行った。
ま、まずい、ガードナーさんじゃアーチボルトの一撃は防げない。
いや待てよ、そういえばさっき雷の矢を防いでいた気が……。
「それに貴方は、奥さんの仇でもあるのでね、ふんっ!」
ガードナーさんはそう話すと、アーチボルトへ斬りかかった。
『ガキィン』
「……貴方は?」
アーチボルトは、ガードナーさんの一撃を左腕のボウガンで受けそう問いかける。
「旦那です、貴方が倒した騎馬隊長のね、まったく私の一撃を受け止めるとは、さすがは"雷追"ですね」
「旦那か……私と同じくらいの体躯にその長い剣、そしてその赤髪に緑色の瞳、もしかしてナーゲルスの家の者か?」
ガードナーさんの容姿を見てアーチボルトはそう呟く。
「ほう、私の家をご存知でしたか、勤勉ですね」
『ゴキィン』
ガードナーさんはそう言って、アーチボルトをボウガンごと吹き飛ばす。
「ナーゲルス家ってのは、一体どういう家なんだ」
「……ナーゲルス家は、セントレアの"騎士"家系であり、セントレアで1番の剣士がナーゲルスの家得を継ぐと聞いたことがあります」
俺の漏らしたその言葉にアーチボルトがそう答えた。
なるほどセントレアの騎士家系か!
べ、勉強になった……。
「そこまで知っているとはね、ていうかエリックくん、君は知ってないとダメですよ」
ガードナーさんはそう言うと呆れた顔で俺を見た。
今まで貴族のパーティーとかに参加してこなかった弊害がここで出るとは……。
「ナーゲルスの家の者は、魔力操作に長けているとも聞いたことがあります、まさか私の一撃を防ぐほどの練度とは」
『スチャッ』
なるほど魔力操作。
さっきの一撃は剣に魔力を集中させて防いだのか、やるなぁガードナーさん。
「まぁそれくらいしか取り柄がないのですがね」
『カチャ』
そう言うとガードナーさんは、長刀の切先をアーチボルトへと向けた。
「エリックくん、ここからは私が盾となります、攻撃は任せましたよ」
「は、はい!」
勢いで"はい"って言っちゃたけど、俺、攻撃力不足なんだよなぁ。
仕方ない、特別認定魔法を使うとするか。




