52話 "雷追"の意味
ーーアーチボルトvsエリック
『ズドォン』
「ぐはっ」
アーチボルトの雷撃により、俺はまた吹き飛ばされる。
なんだろう、技の威力がどんどん上がってきている気がする。
「……やはり、おかしい」
アーチボルトはそう呟くと、訝しげに俺を見た。
「なんだよ、おかしいって?」
「魔力総量8000+魔導鉄の私の技は、その全てが即殺級の威力、それを貴方は幾度となく防ぎ、ダメージもそれほどあるようには見えません」
や、やばい色々気がつき始めてる。
ていうかこの人、戦ってみて思うけど結構考えて戦闘するタイプだよな。
そんな相手に俺の魔力総量が1万越えというのはなるべく伏せておくのが正解、だよな?
「た、たまたまなんじゃないかなぁ」
「……隠すのが下手ですね、おおよそ魔力総量が私と同等かそれ以上いるのでしょう、それしか考えられません」
「……ど、どうかなぁ」
ば、バレてる……。
「エリック、君の魔力量の多さによる防御力は確かに脅威です、でもね君には弱点もあります」
「な、なんだよ弱点って?」
「それはーー」
『シュッ』
アーチボルトは、そう話すと一瞬で姿を消す。
ま、まずい、またあの雷撃が来る。
『シュッ』
「ここですよ」
「なっ!」
そして俺の背後にアーチボルトは現れる。
「いきますよ"雷轟"」
「や、やばい、アイスブロー!」
『ズドォン』
アーチボルトは背後に現れるとそのまま俺に高出力な雷撃をぶち込み、俺は間一髪でそれをアイスブローで相殺しにかかる。
「ぬおおおお」
「……やはりか」
『バコォン』
「ぬおっ!」
相殺虚しく俺はアーチボルトのその一撃でまた吹き飛ばされてしまう。
「これが貴方の弱点、火力不足です」
『スチャッ』
アーチボルトはそう言うと、また眼鏡をクイっと持ち上げた。
火力不足か、魔道具を持たないからな。
これは仕方のない事ではある。
「……くっ」
「その様子、しっかりと自覚はあるようですね」
「ああ、自覚はあるさ」
「では何故、魔道具を使わないのですか?」
アーチボルトは不思議そうにそう訊ねた。
……痛いところ付いてくるな、魔道具を使う事はだいぶ前に一度考えてやってみている。
しかし総量1万の俺の魔力に耐えられる魔道具となると中々見つからず、その時は断念している、まぁ今日その可能性を見つけたけどね。
「さぁ、なんでだろうな」
「はぁ、もう隠す必要はないと思いますが、これで確信に変わりました、貴方の魔力総量はおそらく私より多い、その証拠に魔道具では己の魔力に耐えられないのでしょう」
こ、ことごとく正解を引いてきやがる。
全部合ってるよ、アーチボルト。
「ど、どうだろうな、もしかしたら持ってるかもよ?」
「……ここまで言ってもしらを切るつもりですか、いいでしょう私も本気を出します」
『バチチチ』
そう話すとアーチボルトの左腕に雷が集まり出した。
またあの"雷轟"がくるのか?
「私の二つ名の"雷追"の所以をまだ伝えていなかったですね」
アーチボルトがそう言うと、左腕の雷がボウガンのような形になっていく。
な、なんだ何が始まるんだ?
「"雷追"とはこのどこまでも追っていく雷の矢の事で、私の本領は遠距離攻撃なのです」
『バチチチ』
アーチボルトがそう言い切ると、左腕の小手が黄金のボウガンに姿を変えた。
「や、やばいなあれは」
「さぁ、これからが本番ですよ」
『スチャッ』




