49話 雷追と氷剣
ーーシンディ騎馬隊、先頭にて
『バキィン』
アーチボルトの左拳から放たれた雷撃を、俺は自身の魔力で作った氷剣で受け止める。
「くっ、なんて重さだ」
「……やりますね、私の雷撃をしっかりと受け切るとは」
アーチボルトは余裕そうにそう話す。
この人の技、体感だけど込めた魔力以上に火力が出ている気がする。
何かタネがある感じか?
その時、アーチボルトの左拳から腕にかけて銀色の鉄製の小手のような物が付いているのが見えた。
もしかしてあれが。
「……」
「ん、ああ、これかい?」
左腕の小手のような物を俺が見ている事に気がついたアーチボルトは、俺にそう言ってきた。
「その小手は、一体なんなんだ?」
「これは魔道鉄と呼ばれる特殊な鉄で、魔道具の元となるものだよ」
魔道鉄、聞いた事あるな。
確か魔力の伝達を補助して、魔法の威力を何倍にも膨れ上がらせる事ができる代物だよな。
ただ魔道鉄のままだと、伝達する力が強すぎてだいぶピーキーになるって聞いた気がするけど。
「……なんで魔道鉄なんだ、魔道具にしないのか?」
「良い質問ですね、その様子だと魔道鉄の知識も少しはあるようだですね、そしてその質問の答えだけど、私にはこのくらいの強さがちょどいいからだよ」
『バチチチ』
青白い稲妻がアーチボルトの左腕を包んだ。
凄い魔力出力だ、あんなのここで撃たれたらシンディさんごと吹き飛んでしまう。
「二級土魔法、ゴーレム!」
『ズゴゴゴ』
「ゴーレムよ、シンディさんを連れてガードナーさんの元へ急げ」
俺はゴーレムを素早く生成すると、そのゴーレムにシンディさんを連れて逃げるように指示をした。
「逃しませんよ」
『バチチチ』
アーチボルトは、左拳振り上げ雷撃を放とうとしている。
「やらせない!」
『ヒュオオオ』
俺はアーチボルトの左腕めがけ、氷剣を振り抜いた。
『バキィン』
「その女隊長は、私のターゲットです絶対に逃しません」
「この人を守るためにここへ来たんだ、やらせるか!」
『ズドォン』
雷撃と氷剣の衝突により、軽い爆発が起き辺りは粉塵に包まれた。
「名を教えてください、青年将校よ」
粉塵の中から姿を現したアーチボルトは、俺にそう名を訊ねる。
良かった、ゴーレムは上手く逃げれたみたいだな。
「俺の名はエリック・ベルーナ、おそらくアルト王国の最高戦力だ」
「なるほど君もですか、ならば最高戦力同士、命を削り合いましょうか」
アーチボルトはそう話すと、眼鏡をクイっと上げた。




