42話 開戦
ーーガネーシャ領内、平原にて
ガネーシャ領とセントレアの間にある広大な平原にロックウェル・セントレア率いる、本軍15000が到着する。
「よっしお前ら、始めるぞ」
本軍後方に設置された天幕にいるロックウェルは全軍にそう指示を送る。
ーーロックウェル軍、第一陣にて
「ガリウス様、ロックウェル領主様から号令がかかりましたぞ」
ガリスウ隊の副長アロドは、ガリスウへそう伝える。
「了解だアロド、はじめようか」
『ガシャ』
ガリウスはそう話すと、手に持つ黒槍を天高く持ち上げた。
ガリスウ・セントレア。
ロックウェルの実子であり、バナーの弟。
そしてセントレアの騎馬隊5000を率いる、騎馬隊長である。
「皆の者ー!!父上より此度の戦の栄えある先陣を賜った我らガリスウ隊、今がまさにその時である!」
ガリスウのその号令により、ガリウス隊の目の色が変わる。
『ウオオオ!!』
雄叫びを上げるガリスウ隊、その熱量を確認するとガリスウは漆黒の兜を装着する。
「行こうか皆んな……突撃ぃ!!」
『ウオオオ!!』
先陣を切るガリウスを追うように、ガリウス隊5000が敵軍である、レヴァンスの第一陣7000に向けて突撃を開始する。
ーーレヴァンス陣営にて
「た、隊長来ますよ」
「狼狽えるな!たかが5000、弾き返してやるわ」
レヴァンス守備隊のゴーレウスは、そう話すと意気揚々と剣を構える。
「隊長ー!!大変です!」
その時、1人の兵がゴーレウスの元へ走ってきた。
「どうした?」
「相手の軍ですが、率いてる将がわかりました」
「でかした!してそれは誰だ?」
ゴーレウスの問いかけに、その兵は間をおきゆっくりと答える。
「ガリウスです、ガリウス・セントレア」
「……とうとう出てきたか」
その名を聞いたゴーレウスは、顎に手をおき険しい表情を浮かべる。
ガリスウ・セントレア、通称"黒星"。
アルト王国内でも、軍隊長上位5人に入るほどの逸材であり、歳は17歳。
そして現在の戦績は30戦無敗である。
「お前たち!心してかかれ、相手は戦の天才にして豪傑よ」
ゴーレウスはそう部下達を鼓舞するのだった。
ーーシンディ騎馬隊にて
シンディの騎馬隊は、ロックウェルの本隊から離れた右翼の端に布陣していた。
「どうやら始まったようですね」
中央から響く怒号が響き、それを聞いたエリックはガードナーへそう言った。
「そのようですね、中央が始まったとなると、我々右翼も動きます、ただ我々は遊軍となりますので、右翼本隊2000がまずは動くでしょう」
ガードナーはエリックへそう話す。
セントレアの軍勢15000は、左翼と右翼に4000ずつ、中央のガリウスに5000、後方のロックウェル直下の兵が2000で構成されている。
「俺たちはどうするのですか?」
エリックはガードナーにそう訊ねる。
「我々は右翼が囮なっている隙をつき、敵左翼を抜きます」
「ちょっと待ってください、敵左翼は5000です、それじゃあこちらの右翼2000が負けてしまうのでは?」
エリックは心配そうにそう話す。
しかしガードナーはその言葉に笑みをこぼす。
「エリックくん、我らの大将ロックウェル様はね、知力も兼ね備えてるんだよ」
「え?」
その時、中央より友軍が到着する。
「待たせたな皆の者、右翼の将であるこのロックウェル・セントレアの到着だぁ!」
そう中央よりロックウェル直下の兵2000が加わる事により、右翼の兵はシンディ騎馬隊が抜けたとしても、4000を維持し敵左翼とほぼ互角の兵量となる。
「そ、その手があったのか」
現れたロックウェルを見てエリックは、そう呟くのだった




