41話 出陣前の宴
ーー夜、シンディ騎馬隊野営地にて
「ささ、若領主もどうぞ」
「あ、どうも」
俺はガードナーさんから、一杯の酒を頂いた。
「これはどこのお酒でしょうか?」
「セントレアですよ」
「え?そうなんですか」
「はい、実はあまり知られていませんが、このアルト王国で流通しているお酒の約7割はセントレア産なんです」
ガードナーさんはそう言うと、俺にワインを注いできた。
し、知らなかった……意外と手広くやってるんだなセントレアも。
てっきり魔石だけかと思っていたな。
「どうも……」
さて、俺はここでは成人なわけだが17歳、元日本人として気が引けるが、まぁ異世界だしいいか。
『ゴクッ』
「お、美味しい」
ワインは前世でよく飲んでたけど、セントレア産のこのワインも普通にいける。
「どうです、良かったらベルーナ領にも?」
ガードナーさんからの突然の商談、だがしかし、この味はなかなかのもの……。
「け、検討します」
「了解です、良いお返事待ってますね」
ガードナーさんは笑顔でそう話す。
この人なかなかに商売が上手いな。
酒の席で酒の商談なんて、1番売れそうだもん、ベルーナに戻ったらフィオさんにそうだんしてみよう、自領内での経済に役立ちそうだし。
そうして夜は更けていく。
ーー翌朝
「よし、それじゃあ出発するぞ!」
明朝、俺たちシンディ騎馬隊総勢2000は、シンディさんの号令によりガネーシャ領に向け出発した。
「では行きましょうか若領主様」
副長のガードナーさんは、優しく微笑みながら俺にそう言った。
「はい、行きましょう」
ガードナー隊300騎、そこが俺の今回所属する部隊である。
シンディさんの本隊からは外れてしまったが、作戦時はシンディ隊と一緒に行動するため実質この部隊は、シンディさんの近衛兵という感じだ。
「エリックくん、気負わずにね私があなたを守るので」
ガードナーさんは馬が走り出す寸前、真剣な顔でそう言ってきた。
まぁそうだよな、領主といえどこの人からしたら、俺ってまだ17歳なわけだし、守る対象だよな。
でもねガードナーさん、多分俺の方が歳上なんだよね……もちろん言えないけど。
そうして俺にとっての久しぶりの戦が今、始まるのだった。




