37話 密偵
ーー宿屋近くの酒場にて
ロックウェルさんの部屋を後にした俺は、急ぎハクスイとの合流場所の酒場へと向かっていた。
「着いた!」
酒場の前についた俺は、呼吸を整えてからゆっくりと扉を開けた。
『ガララン』
「いらっしゃい、お一人様で?」
「いや待ち合わせだ」
扉を開けるとすぐにカウンターの店主にそう話しかけられた。
ハクスイは……。
「あ、クラインさん!」
その時、俺の偽名であるクラインの名を呼ぶ声がした。
「ハミルトン!」
クラインの名を読んだのが、ハクスイであると確認した俺は、ハクスイの偽名であるハミルトンの名を呼び、ハクスイの席の方へと歩いていく。
『ドサッ』
「お待たせ、ハクスイ」
俺は席つくと小さくそう呟いた。
「お待ちしておりました、エリック様、ではまずこれを」
そう言うとハクスイ一枚の紙を机の上に置いた。
「これは?」
「それはセントレア内部にいる、レヴァンスの密偵のリストです、お使いください」
す、凄いな、密偵のリストか。
これがあれば今回の俺たちの行動をレヴァンスに知られずに済むぞ。
いやでも、ティオの話から察するに第二王女の能力があると意味がないか……。
まぁでもこれは有用だ、大事に使わせてもらおう。
「ありがとうハクスイ」
『スッ』
受け取った紙を俺は素早く懐へとしまった。
「いえいえ、それよりもエリック様、レヴァンスの王女達についてなのですがご報告したいことがあります」
ハクスイは矢継ぎ早にさらなるトクダネを繰り出してきた。
おいおいその話、タイムリーすぎるだろ。
ハクスイ、お前ってやつは有能すぎやしないか。
だがここは興奮しすぎずに、冷静に、冷静に話そう。
「ほう、聞かせてもらおうじゃないか」
「ありがとうございます、第二王女に関しての情報なのですが」
だ、第二王女だと!
ハクスイお前……最高だよ。
「ふむ、第二王女がどうかしたのか?」
「はい、第二王女はどうやら敵の居場所や直近の行動を予測できる占いを得意としていることがわかりました」
う、占いだって!
そうかわかったぞ、それを使って俺たちを襲ってきたのか。
待てよ占いならそんなに精度は高くなさそうだ、となるとこの密偵リストの価値が爆上がりするのではなかろうか……これは商談に向けた良い交渉材料になりそうだ。




