36話 敵国の将軍
ーー宿屋にて
「夜分遅くにすみません、エリック・ベルーナです、ロックウェル様少しよろしいでしょうか」
「うむ、入りたまえ」
ティオの最後のセリフ、レヴァンスにだって俺と同じくらいの魔力量を持つ奴がいる、という話が気になった俺はロックウェルさんの部屋を訪れていた。
『ガチャ』
「どうしたエリックよ、訊きたい事とは?」
俺が部屋に入るなりロックウェル領主はそう言って俺を不思議そうな顔で見つめた。
さっき俺が纏っていた魔力はだいたい6000ほど、俺の最大値10000には遠く及ばないが、それでもそのクラスが敵国にいるのはおそらく障害になる。
ロックウェルさんならレヴァンスの陣営について何か知っているかも知れないし、訊いてみよう。
「ええ、先ほどレヴァンスの斥候が攻めてきまして」
「話は聞いておるよ、撃退したんだろシンディがおしくも逃げられたと申しておったわ」
シンディさん……本当は俺が逃したのにそれを隠して伝えてくれたのか。
恩にきます。
「ええ撃退しました、その際にその斥候が興味深い事を言っていたので、それのご報告です」
「ほう、興味深い事か、良いぞ申してみよ」
「ありがとうございます、敵国に魔力量が6000近いものがいると言っていたのですが、ロックウェル様はそのようなものに心当たりはございますか?」
「なに?魔力量6000だと、いやそんな奴に心あたりはないな」
ロックウェさんはそう言うと、首を横に振った。
まずいなロックウェルさんでも知らないのか、これは完全初見になるかもしれないな。
「そうですか……」
「いや待て、いたぞ1人心当たりが!!」
ロックウェルさんはハッと気がつきそう叫んだ。
この人、いちいち声大きすぎるんだよ。
鼓膜が破れるかと思った。
「そ、その方のお名前を教えてもらえませんか?」
「ああ良いぞ、その者の名前はレヴァンスの将軍、アーチボルトじゃ」
アーチボルト……待てよその名前聞いた事あるぞ。
たしかそいつは、俺が傭兵をやっていた時幾度となく聞いた名だ。
その時奴は前線のアルト兵からこう呼ばれていたな。
「……雷追のアーチボルト」
「そうじゃ雷追じゃ!!してエリック、お主何故その名を知っておる?」
「い、いやたまたまです、ガネーシャに昔、父と行ったことがありましてその時聞いた名です!」
「そ、そうか」
ふぅ危ねぇ。
危うく俺が昔、傭兵をやっていたのがバレるところだった。
しかしアーチボルトか、少し調べてみる必要があるかもな。




