26話 エリック、父となる
ーー2ヶ月後
「さぁ、これが約束のソーセージ2万個だ」
この日俺はゼネナル領へソーセージを2万個納品しに来ていた。
「ああ、確かに受け取ったよ」
馬車2台分のソーセージか。
2週間後にはこの2倍の4万個を納品予定である。
「じゃあ俺はこれで失礼するよ」
納品を見届けた俺はすぐさま帰路へ着く。
「おいおいもう行くのか?」
帰ろうとすると取引先兼義兄のクリスにそう呼び止められた。
ま、まぁそうなるよね。
「あ、ああ、ちょっと早く帰りたい用事があってさ」
「も、もしかして、産まれるのか?」
「う、うん」
妊娠発覚から9ヶ月あまり、エリーの出産日が近いのだ。
「そうなのか!ならさっさと帰れよバカ野郎」
おいおいお前がそれ言うのかよ……困った義兄だよ、まったく。
そうして俺はベルーナ領への帰路に着いた。
ーー3日後、ベルーナ領屋敷にて。
『ガチャ』
「ただいま」
「え、エリック様」
屋敷につくと玄関にそわそわして落ち着きのない、じいやがいた。
「落ち着けじいや、まだ産まれてないんだろ」
「は、はい、まだ産まれておりません」
『ブルブル』
「ちょっ、じいや震えてるぞ!」
『ガクガク』
「え、エリック様こそ!」
俺たち2人はそう言って震えあう。
「若領主様、何やってんだ?」
そんな俺たち2人を見て、屋敷の奥から歩いてきたラナトスさんが、不思議そうな顔を浮かべてそう話す。
「い、いやいや、何もしてないけど?」
「そ、そうかい……まぁこれから父親になるんだもんね、そりゃあ緊張するよね」
「う、うん緊張する」
俺がそう話すとラナトスさんはニヤッと笑った。
「産まれるともっと緊張するよ」
「え?」
ラナトスさんにそう言われて思わず声が出てしまう。
『オギャー!』
突然聞こえた赤ちゃんの鳴き声に、俺とじいや、そしてラナトスさんはお互いの顔を見合わせる。
『う、産まれた!』
そうして3人はほぼ同時に声がでて、俺は父となるのだった。




