18話 騎士の帰還
「え、じゃあ父さんの勘違いなの!」
「そうだよ、俺は何回も言ったんだけど信じてくれなくてさ」
俺はラナトスさんに父さんと喧嘩した経緯を訊き、その理由に驚いた。
なんでもラナトスさんは、しっかりとドラゴンの世話をしたいから山にしばらくの間住まわせて欲しいと伝えたらしい。
その時、父さんはドラゴンなんて伝説上の生き物を盾にして、本音はもう辞めたいだけなんだろと言って喧嘩になったそうだ。
何やってだよ父さん、いやセドリック……。
「いやほんと、その節は父が本当にすみませんでした」
「謝らないでくれ、俺もリーヤを見せれば良かったのにムキになって見せなかったし、今思えばあの時見せてれば良かったなと思ってるよ」
そう言ってラナトスさんはニコッと笑った。
「そう言ってくれると、ありがたいです」
「それよりも君が領主だって早く言ってくれよ!そうしたら俺もあんな酷いこと言わないで、リーヤも一緒に連れて行けるなら行くよって言ったのにさ!」
「あっははは、なんか空気的に言いづらくて」
そうだよな、ラナトスさんからしてみれば喧嘩してるのは父さんであって俺ではないもんな。
「まぁ結果的に良かったけどね、とりあえずよろしくねエリック、いや若領主様」
そう言ってラナトスさんは俺に右手を差し出した。
「こちらこそよろしくお願いします!」
『ガシッ』
そうして俺とラナトスさんは固い握手を結んだ。
ーー翌日
「じゃあサーシャ、準備はいいかな?」
「うん!いいよお父さん」
「リーヤもいいかな?」
『グォォ』
ラナトスさんはサーシャとリーヤにそう確認し、サーシャを抱っこしてリーヤに跨った。
「じゃあエリック、私たちは先に行くね」
「はい!屋敷にいる俺の嫁、エリーには騎士を探しに行くことを伝えてありますので、先に行ってください!」
「え、お父さん、エリックは?」
「ああそれはね、乗せてあげたいんだけど、リーヤの定員オーバーなんだよね」
そうリーヤはドラゴンとはいえ、まだ成長途中である。
そのため大人1人と子供1人乗せるのがやっとなのだ。
「じゃあエリック、屋敷で会おう!」
「はい、ラナトスさん!」
そう言ってラナトスさんはベルーナの屋敷へと飛び立って行った。
「よし、それじゃあ俺も行くか」
『バサッ』
「見つけたぞ若領主よ!」
その時、隣の茂みから突如黒いフードを被った男が現れた。
「だ、誰だお前は!」
「我が名はザハド、セントレアに仕える5大騎士が1人である、お前の命頂きにきたぞ」
なんだよまたセントレアの刺客かよ。
まぁでもエリーやじーや狙いじゃなくて、俺をターゲットにしてくれるのはありがたいな。
「はぁ、バナーの母さんも懲りないな」
「行くぞ、一級炎魔法発動、炎刃!」
ザハドは炎魔法で燃える日本刀を作り出した。
なんだあれ、絶妙にカッコいいな。
「……良い技だね」
「なんだその微妙な顔は!もっと怯えろ、そして泣け!」
「うーん、それはないかな……てか攻撃しないならもう行ってもいいかな?」
「行って良いわけないだろ、喰らえ炎刃一閃!」
『ブワッ』
そう言ってザハドは、俺に向けて炎の斬撃を放った。
『ズシャ』
そうして斬撃は俺へと命中した。
「ふははは、若領主仕留めたり!」
「いやあの、バリバリ生きてますよ」
「な、何故だ」
そう言われても困るな。
魔力量の話をしてもいいけど、魔力量1万なんて絶対信じないだろうし。
早くラナトスさんを追いかけたいから、ここは殴って終わらせよう。
「理由は言えないかな」
『ブオッ』
俺は魔力を足に集中させ瞬発力を上げた。
『シュッ』
「なっ、消えただと!」
「ここだよ」
強化した瞬発力を使い、俺はザハドの懐に一瞬で詰め寄った。
「ま、まずい」
「さよなら、ザハドさん」
『ズドーン』
俺はそのままザハドの腹を思いっきり殴り、空の彼方へ吹き飛ばした。
しかしセントレアの奴ら、結構仕掛けてくるようになってきたな。
エリーとかじーやのためにも、襲撃に備えて色々準備しないとだな。




