17話 騎士と約束
「ごめんねセドリックの息子よ、俺にも守らないといけないものがあってね」
そう言ってラナトスさんは、森の奥へと行ってしまった。
いやいやちょっと待て、そんなこと言われてはいそうですかとはならんだろう。
こっそり後について行って、勧誘の隙がないか伺うか。
そうして俺は、ラナトスさんに気が付かれないよう気をつけながら、後について行った。
ーー30分後
ラナトスさん達を追い続けていたら、一軒の小屋に着いた。
ほほうあの小屋がラナトスさんのお家なのか。
「リーヤ、どこにいる!ご飯だから出てきなさい」
小屋に着くとすぐにラナトスさんは"リーヤ"という人物を呼び始めた。
なんだろ奥さんかな、でもご飯だから出てきなさいは、奥さんに言わないような……。
『バサバサ』
ラナトスさんがそう呼び続けていると、何やら空から降りてきた。
……ちょ、ちょっと待てあれは。
「よーしよしいい子だねリーヤ」
ラナトスさんがリーヤと呼ぶその生き物は、この世界においても伝説であるドラゴンだった。
「ど、ドラゴン!?」
「え?」
し、しまった、驚きすぎてつい声が出てしまった。
「……」
「そこの茂みにいるのはわかってる、出てきなさい」
ラナトスさんは諦めたような口調でそう言った。
「ど、どうも」
「はぁ、まったく人の後をつけるなんて褒められれ事ではないよ」
「す、すみません」
怒られてしまった。
まぁ隠れてついてきたわけだし、仕方ないか。
「バレてしまったら仕方ない、これが俺が君達の屋敷に行けない理由だよ」
『クォ』
ラナトスさんに呼応し、ドラゴンが短く鳴いた。
なるほど、ラナトスさんはこのドラゴンを育てたいから山に住んでいるのか。
確かにドラゴンを連れては屋敷に住めないもんな。
「屋敷に来れない理由はわかりました、その上でお願いします、帰ってきてください」
「だから無理だと……どうやら君にも退けない理由があるようだね」
ラナトスさんは俺の真剣な顔を見てそう言った。
来年、エリーとの子供が産まれる。
そしたら俺には守るものがまた増えてしまう、そんな時自分だけではない誰かの力を借りたい。
ラナトスさんには強さもあるし、何より優しさもある、そんな人が近くにいて欲しい、だからここは無理を承知でもお願いしたいのだ。
「ドラゴンの事は、屋敷の近くに飼育できるほどのスペースを作ります、だから帰ってきてくださいラナトスさん」
そう言って俺は深々と頭を下げた。
「参ったな、若い子の真剣なお願いに俺は弱いのに……わかった、俺とサーシャ、そしてリーヤの事を面倒見てくれるなら帰ってもいいよ」
「ほ、本当ですか!」
「ああ、騎士に二言はないよ」
そうして条件付きではあるが、俺の陣営にラナトスさんと娘のサーシャ、そしてドラゴンのリーヤが加わった。




