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後編

アカターヌ軍10万を退けたエデッサの戦いは、暗い出来事ばかりのスポレートでの久しぶりの快事で、混迷の社会の中の1つの希望と皆考えた。

混乱しているスポレートの国中にこの喜びの知らせが伝わっていき、国境付近で戦う領主達から、救援要請がやってくる。

レオンはこれを請ける。

エデッサ砦の兵を中心に、辺境伯から兵を借り次の戦場に駆けつける軍の中に、ジョゼフィーヌの姿もあった。

辺境伯は止めようとした

「ジョゼフィーヌ嬢、貴女はもうエステ公爵だ、危険な戦場になど行くべきでない」

ジョゼフィーヌはひらりと馬にまたがると

「この3年間、平民であったジョゼも、これから女公爵として生きるジョゼフィーヌもレオンの横にいようと思う気持ちにかわりはございません。」

彼女の髪はたなびく旗、まさしく軍旗。それを見て辺境伯は「無敵の令嬢だな」と呟いた。


スポレートは北にアカターヌ王国、西にカリプス王国と強国と接し、東は小国群、南は海に囲まれている。カリプス王国も、侵略の気配があったが、アカターヌの敗戦で動きが止まった。しかし、小国群の領主達は火事場泥棒的にスポレートに入り込み食料を奪ったり、奴隷にしようと住民を攫ったりと蛮行を繰り返していた。

レオンはまずこれに対応する。北から東への移動でレオンは英雄として街道沿いの人々に迎えられたが、その時に助力を願った。エデッサから率いた兵は300人だったので、これは助けなければと思う人がいるのは当然だろう、兵士として参加したいと思う若者も多かった。食料、軍資金、人、しかしこの軍に一番必要な物は手に入れるのは難しい、それは、大砲だ、カノン砲が特に欲しかった。

エデッサの戦いが成功したのは、正確な砲撃のおかげだ、これはレオンの計算によって可能だったのだ。砲の担当は今まで平民の兵士がやっていた。経験で角度を決めて撃つ、レオンも平民に落とされてこの役割になったのだが、それまでの貴族としての勉強の中には数学や物理があった、軌道計算というものができたのだ。

それを最大限に戦場で使うためには、馬に引かせて移動できるカノン砲が必要だった。

しかし、この高価な物を持っているのは貴族しかいない。領土を守る強力な武器を易々と渡してはくれない。その交渉をジョゼフィーヌがした。


王都を捨てて領地に逃げていた貴族は最初ジョゼフィーヌ エステ公爵令嬢の出現に驚いたが、赤いブレスレットをした銀髪の姿を見ると、彼女を知っていた人はみな涙した。

ジョゼフィーヌは皆にこう説いた。今スポレートは崩壊の危機にある、ここで貴族の力を集めて外敵を退ければ、民衆の支持を貴族中心の政府に集めることができる、レオンは貴族の一員だが民衆からも大きく支持されている、そして、私が今まで幼い頃から親しんでいた大貴族達とレオンを繋ぐ事ができる。

貴族は理想を語りながら利益を引出す。

祖国の危機に立ち向かう姿を見せながら、新政府の重要な位置を確保したいなら、それに見合う援助をして欲しい。貴族達は膨れ上がっていく民衆からの援助を見て、あせり、他の貴族に抜け駆けされるかとあせり、レオンはカノン砲を手に入れるのだった。

エステ公爵家の騎士だったレオンは馬を駆る騎士達の戦い方を知っていた、平民に落とされたレオンは、歩兵、砲兵の働きを知った。

レオンの鮮やかな指揮振りは今までの騎士隊中心の戦いから、伏兵として歩兵を巧みに使い、騎兵で戦場を囲み、的確な砲撃で急所を狙った。東側の小領主達は、撃退され、レオンの軍門に下る者もあり、結果的にスポレートの領土を拡大した。

ジョゼフィーヌは戦場でも、領主達との交渉の場でも傍らに立ちそれを助けた。

やがてレオン軍の軍旗が決まる、炎を吐く竜に乗る銀髪の令嬢だ。



レオンの次の戦場は王都だった、ジュリオ国王が暴徒によって憤死して以来、王都は無政府状態になっていた。貴族も役人も商人も、秩序を保てる人間が皆逃げていない。そして王都に入る街道の関所となる山間の砦に大規模な盗賊組織が陣どり、王都への出入りに高い通行料を取っていた。金が払えなければ、奴隷として売られる、その残忍なやり方はあいつだ。

レオンに復讐の機会がやってきたのだ。


盗賊団の一味を誰一人許す気はなかった。恐らくイシドロフ侯爵事件からの犯罪組織だ、一人でも逃せば同じ犯罪を繰り返すだろう。砦一体を大軍で囲みアリのはい出る隙間も無くし、近隣の町や村にも不審者を通報するように命じた。

外敵を破り、国内の貴族を味方につけたレオンには余裕があった。じわじわと追い詰め、見つけた賊は縛り首にしていった。3000人ほどの組織は春の雪玉が溶ける様に崩壊していった。

そうして、盗賊団の首領から、取引の打診があった。王妃を返すから自分を見逃せと、ブリエンヌ王妃を交換条件にしてきたのだ。

そして、ポールは自らブリエンヌを連れて、レオンの陣までやってきた。

「この女に王妃としての価値があると、お前はいうのか。」レオンはブリエンヌに対して、全く敬意を示さずに言った。

「当たり前だ、王族で生き残っているのは、ブリエンヌ王妃だけだ、教会も他の諸国にも認められた結婚なのだから」

「(今我が国に必要なのは、古い誇りに身を飾った女性ではなく、野に咲く花に思い出を込めて大事にするブリエンヌ男爵令嬢のような女性だ。)こんな言葉をあの婚約破棄の時の王子は言っていたな、私はこう言おう今我が国に必要なのは、困難に見舞われている人々に何の助力もせず、自分を高める努力もしない女性ではなく、困難な状況に希望を見つけ、人々と共にそれを築き上げるジョゼフィーヌ嬢のような女性だと。」レオンはそう言うと

「私は王になる、そしてジョゼフィーヌを王妃とする。」

「簒奪者め」ブリエンヌが口を開いた

「ではお前たちの処分を民に預けよう、広場にお前たち二人を3日間つないでおく、兵は付けない、お前を王妃だと思う者がいたら助かるだろう。」


3日後、ボロボロに拷問された二人の首と身体が広場にあった。


東側の小国を領土に加え、アカターヌ王国、カリプス王国と強国に和平案を飲ませ、教会の支持も取り付け、レオンは皇帝レオン1世になり、皇后ジョゼフィーヌの頭に冠をかぶせた。


                       終わり



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