魔王様に会いたくて
ノースは門番のミノタウロスを改めて仰ぎ見た。
赤黒い肌にはちきれんばかりの筋肉。
二メートルを越す体には申し訳ない程度の皮の鎧と腰蓑をしている。
頭には立派な角が生え、目はギンギンと輝いている。
ノースは思った。
ああ、勝てないな、と。
そんなノースの考えを知ってなのか、ミノタウロスはだめ押しとばかりに得物のバトルアックスまで担ぎ上げた。
「ちょっと待って」
アキナが声をかける。
「ねえ、私の相手は只の門番なの?四天王とかいないの?」
何を言ってるんですか、この子は?
「だってほら、魔王の近くにはそれを守護する四天王とかいるじゃない?私の相手はそういう人がしてくれるのかなって思ったの」
「アキナ、それはどこの普通だよ。ここの魔王はそんなのいないぞ」
「お嬢ちゃん、うちの魔王様は実力のみで四天王を決めてるんだ。忠誠心で決めてないから、いつもみんなふらふらしていてここにいることは少ないぞ」
「ちょっと待て!四天王なんてほんとにいるのか?」
「まあ、名誉職であって、給金は俺たちと変わらないがね。ただし、魔王様を思う気持ちは俺たちの方が遥かに上だ。魔王様に会いたいならこの『力のミノタウロス』とこの奥にいる『知恵のアラクネ』を倒してからにしろ」
実際に四天王がいることにノースはげんなりしつつ、一応説得する事にした。




