魔王求めて
うちのアキナ大明神はおかんむりです(げきおこぷんぷんまると本人は言っている)。
アキナがホーンラビットを討伐しようとしてから一週間。
アキナは未だ討伐記録ゼロだった。
理由は簡単。
アキナが討伐証明部位すらも破壊してしまうからだ。
アキナとノースはこの一週間、いろんな所へ討伐に行った。そこでゴブリンからオーガまで色んな魔物を狩った。
最初のゴブリンやオークではセイやグルダットもついて来てくれたが、オーガやワイバーンを狩るときはついてきてくれなかった。
ゴブリンやオークはアキナ触れるだけで爆発してしまった。オーガは触れても爆発しないが、少し拳に力を入れると爆発してしまう。
しかも魔物を討伐していくうちに強くなってきて、最初は討伐部位を偶然残す事が出来ていたクリスタルバッファローだったが、今はそれより遙かに強いワイバーンでさえ証明部位を残せなくなってしまった。
「私が悪いんじゃないもん。魔物が弱いのがいけないんだもん」
そして今、アキナは今日の無駄な努力を終えてギルドでふてくされ中である。
こんなアキナを困惑した表情で対応してるのが、最近婚約したばかりのお局ギルド職員カミラ・ベルである。
「そうは言っても、証明部位がないとねえ」
カミラもアキナがなんとなく強そうなのは分かる。あのインチキ大賢者と一緒に実直真面目な酒場の店員である彼氏がクリスタルバッファローを倒したというのだから、目をつむって信じてあげなくもない。
ただし、自分はギルド職員である。
証明部位がないのにランクを上げたり、報酬を渡すことはできなかった。
「そう言えば、この世界には魔王とかいないの?」
ふと、アキナがそんなことを聞いてきた。
「魔王?どうしてまた?」
「だって、もっと強い者って言ったらドラゴンとか、魔王でしょ。この世界にはそういうのっているのかなって思って」
アキナの問いにカミラは首を傾げる。
「そうねえ。昔はいたのかな?今も世界の果てにはいるのかな?魔王とか、ドラゴンってその程度のものよ。
けれど、あんまり人まで話さないほうがいいわ。二つの言葉も、今では忌み深い言葉の隠語になってるから」
カミラは声をひそめた。
アキナも、目を輝かせてカミラに顔を近づける。
「そう言えば、あなたの所の大賢者様はどこ行ったの?」
「ノースさんはギルド長の肩もみをしているよ」
「そう、じゃあ、彼には絶対内緒よ。まず、彼は称号に大賢者ってあるのは知っている?」
「知ってる。とてもすごい魔法使いのことでしょ」
「そう、表の意味ではね。でも、あいつがほんとにすごい魔法使いだと思う?」
そう聞かれてアキナは首を振った。大賢者と名の付くぐらいすごい魔法使いなら、自分で召喚したクリスタルバッファローを破裂なんかさせないからだ。
「裏の意味ではね、30才過ぎても童貞な人に使う言葉だったりするの。ギルドカードの称号にまで出てくる人はまずいないけど」
アキナはふんふん頷きながら、ちょっと顔を赤くした。
「逆に魔王っていうのは、10才になる前に経験をした猛者のことを言うのよ。ちなみに、ドラゴンって言うのは娼館であっちのサイズの大きい人のことを指す言葉だから、あまり人前でそういう言葉を言わないほうがいいわよ」
アキナはぶんぶん頷きながら、顔を真っ赤にしている。
カミラは取りあえず、アキナの気が散ったことに安堵しつつ仕事を進めるのだった。




