肆
「この世界は、『科学』という名前の魔法が発展しているようじゃな」
"組長"さんが呟くと、"呪術師"は「ご明察」と言って微笑んだ。
「だから、銃の誤作動が無くなる反面、魔法はほとんど封じられる。気をつけろ」
そういって"呪術師"は嗤った。
「"呪術師"。貴方は見たところ、魔法使いのようだけど? 」
「童貞に見えるのかい? 」"呪術師"はそういうと妖艶にたっぷりの時間をかけて脚を組みなおし、
胸元を"私"に強調するポーズをさりげなくとってからかう様にニコニコと嗤う。イラッ。
「このバー、いい雰囲気なのにホコリだらけだ。ちょっとは掃除しろ」
"組長"さんと"委員長"さんは機械が珍しいのか、あちこちを触っている。
掃除を促した"彼"と"彼女"は機械などには関心を抱かないらしい。
平たくて小さな箱に手を伸ばした"彼"はその箱を開ける。
小さな突起が沢山ついた下部と水晶?のはめ込まれたふた。
「ピポッ! 」変な音。
「……綺麗な絵が?! 」いきなり水晶に映し出される。
「おお! 魔法だねっ! 凄いね! 」"委員長"が喜ぶのを見て、"彼"はウンザリとして言った。
「コイツは、『のーとぱそこん』だ」???
「大抵の情報はこの箱一つで手に入る」ははは。なんという冗談。
「何か知りたいことあるか? 」「私の故郷」
「……それ以外」使えない箱だ。
「美味しいパンの作り方」
とりあえず言ってみる。炊いたライスが主食の生活は私の口には合わない。
絵が勝手に動く? 「ほれ、出たぞ」
……『のーとぱそこん』には葡萄から作るイーストの育て方から始まって、
丁寧な小麦粉の作り方、美味しいパンのレシピが次々と紹介されていた。
「他にも」
この世界の正確無比な地図。
前回訪れた「拳で語る世界」や「次元の狭間の砂上船」などの詳細なデータが次々と現れた。
「凄いっ!!? 魔法??! 」
「魔法じゃなくて、科学だ……」"彼女"は呆れていた。むかつきます。
"私"が戸惑っている間に"彼"は色々調べ物をしているようです。
箱から綺麗な音楽が鳴り出して驚く"私"と"委員長"に苦笑いする他のメンバー。
「何を熱心に調べているんですか? 」
記憶障害について調べているのだろうか。横から覗く。
「この像を求む。情報提供大歓迎。最大100000000クレジット」
??
「今。変なものが見えたのですが」胸が『何故か』早鐘のようになる。
「気のせいだろう」"彼"はそういって『のーとぱそこん』を閉じた。




