【個別ファイルコード:06-SOMMELIER】
■ソムリエ(Sommelier)
所属:対スポイラーハンター組織『PALETTE』彩流支部
スポイラー工学応用展開・技術開発研究室 特殊調達/仕立て担当
Colorネーム: 星に誂う晴衣
Color能力:【深夜のささやかな嗜み】
座右の銘:「特注の武器、最高級のお召し物、洗練された乗り物まで、お客様に合わせた至高の逸品をご用意致します」
■人物像
物腰柔らかく丁寧なジェントルマンにして、ソムリエ。
しかし、その佇まいからは想像しずらいが思考回路はその他筆頭らと同系列。
己が仕立てた物を人に宛がい平気で試し、その結果の良し悪しに関わらず涼しい顔でデータを取るマッドソムリエ。
かの者の頭文字はSMのSから取られているのではないかと囁かれている。
そんな彼だが仕事に妥協はなく、お客様の魅力を最大限引き出すことに喜びを見出している模様。
調達、製造、改造、仕上げ、全ての工程に関わり、各々の能力、体格、戦闘スタイル、性格、好みなどに精密に合わせにいく。
装備、衣装、装飾、情報、乗り物……求める声には何でも応え、そのために必要な独自のコネクションも有しているらしい。
SFやスパイ作品における、近代・未来寄りのリアルな血の通う代物に興味を注ぐメカヲタク。
魔法と神秘が息づくファンタジーを愛するキングロードとは犬猿の仲であり、日々皮肉の応酬を繰り広げている。
■能力・兵装詳細
・深夜の細やかな嗜み:『いってらっしゃいませ』の一言をかけることで発動する支援特化型能力。
対象者が窮地に陥った際、こんなこともあろうかと言わんばかりに懐やポケットにアイテムが入り込んでいる。
能力の出力は高くなく、一見するとゴミにしか見えないこともある。
この仕込みに気づける者は少ない上、使いこなせる者もほとんどいないが、低出力のCollarが絶体絶命のピンチの瞬間にその場を打開する切り札に変化し、助けとなるのは確か。
【ロマ研楽屋裏トーク:ミッドナイトブルーの調達屋と、王者のカチコミ】
ソムリエ「腕の立つ者は、往々にして運すらも味方につける。
……ですが、残念ながら運というものは作成することはできない。
幸いにも、私のColor能力であればその『運』をある程度付与することができますが……」
シャッシャッ――、カチャ……カチャ
(※薄暗い作業室で、静かに手入れをする)
ソムリエ「そもそも、この能力は自身の努力によるものではなく、偶発的に発現したもの。
運を操る仕掛けが運によってもたらされたなど……なんとも皮肉な話です(※苦々しく歯噛み)」
――バンッッ!!
ソムリエ「……ノックも無しに誰かと思えば、キングロード様ではないですか。
その名の通り傲岸不遜で礼節の欠片もな…………なんです?
そのクラシック調の衣装には壊滅的に不釣り合いな金属バットは?
何処ぞのマフィアにでもカチコミに行く気ですか?」
キングロード「無礼な、そんな野卑な真似を王がする訳無かろう。
確か触れた物を巨大化させる道具があったな?
あれを貸せ」
ソムリエ「ああ、あの試作機ですか。
一体何に使うつもりです?」
キングロード「決まっている。
あの伝説の異次元野球漫画に登場する打球 『八尺砲』の再現を試す」
ソムリエ「……はぁ。
ついにファンタジーを通り越して、スポ根漫画の超次元技にまで手を出しましたか。
相変わらず、節操無しにも程があります。
……あれは屈折率を弄り、大きく見せるだけです。
質量に変化はありませんし、ましてや敵へのダイレクトな攻撃力なども一切ありませんよ」
キングロード「スポーツの技だ、その辺りは割り切っている。
必要なのは『らしさ』であって攻撃力はこの際、問わん」
ソムリエ「王者の名を自称する割には、中身の伴わない張りぼてにそうまでして執着するとは……。
興味本位で一つお尋ねしますが、もしも普段から貴方が口にしている『選ばれし者の力』とやらが、この先いくら待っても貴方を選ばなければ……その時は一体どうするつもりです?」
キングロード「その様な些末な事を逐一聞くなと言う所だが......まあいい。
決まっているだろう。
――勝手に手に入れるだけだ」
ソムリエ「…………勝手に手に入れる?
どれだけ血の滲むような努力を重ねようとも、決して後天的に得られるものではないからこそ、『選ばれし者』と呼ぶのでしょう?」
キングロード「関係あるまい。
王が求める以上、必ずこの手に収まる」
ソムリエ「……運が無ければ、永遠にその時は来ない。
才能も始まりの環境も自分では選べないのですから」
キングロード「選べない? その通りだ。
神が定めた揺り籠も祝福も、全てはこの王に不遜にも誂えられたもの。
雑な仕事で抜けがあるが……端から期待などしていない。
天の視座からすれば人の輝きなど砂粒と同義、おざなりにもなるだろう。
故に『選ばれなかった』という事実が、生まれながらに何か一つ余計な役割や力に選ばれてしまった者からすれば、充分に『選ばれし者』といえる」
ソムリエ「選ばれなかったことに選ばれた、ですか……。
意味が不明な前向きさと申しますか、詭弁が極まっていますね」
キングロード「運など所詮手段のうちの一つに過ぎん。
神の適当な針仕事に文句を言う暇があるのなら、己の手で仕立て直す方が早い。
運を必要とする物を欲するならば、それを持ち合わせている者から拝借するだけだ」
ソムリエ「拝借?」
キングロード「才を持つ者はそれ以外の力を求めようとはしない、好みでなくとも捨てることは許されない。
だが、そもそも持ち合わせていない者は、どれでも好きに選び身に付ける努力が出来る権利を有する。
王が真に求めている力とはただ、特別であること――。
特別な事柄は、物事を変えるきっかけに成り得るからな。内容は問わん。
貴様が品物を調達するように、王は道すがら必要な仲間を集める。
それもまた、王道である」
ソムリエ「(拝借――、必要な仲間を集める……)」
報告書によるとサキ様が深夜の細やかな嗜みを引き当て、偶然にも別のハンターがその使い道を知っており、さらに別のハンターが機転で状況を打破した。
即ち、運の貸し借り。
星座の如く、持ちうる者同士を繋げる――。
ソムリエ「(『運』を持ち物と考えるのであれば、用立てることは出来る。
運が良いとは即ち機に恵まれ、こちらが必要とする品を有している人ということ。
今回は必要な品物が私の手元にあっただけの事、持ち合わせの無い運は取引先との縁で一つでも多く取り揃えて調達すればいい。
……参りましたね。仕込みと調達は私の専売特許。それを彼に教えられてしまうとは……)
私もまだまだということですか」
キングロード「つまらん質問は済んだか?
全く……手元にある事実だけで己の可能性を決めつけ、無理に賢者を気取るから腐り果てる。
分相応の振る舞いを身に付けるがいい。
そんなことより、早く道具を――」
――ドガァァァァァンッッッ!!!!
(※外の開発スペースから響き渡る、凄まじい大爆発音)
モブ研究員「うわあああぁぁぁ!? 監督!!
シヨウさん達から盗み聞きした巨大ロボをフィーリングで図面に書き起こすなんて、やっぱり無理があったんですよ!
思いっきし暴走しまくってますッ!」
監督「喚くな!
不完全とはいえ未知のロマンが目の前で生きて動いているんだ、泣き言を言う前にさっさとカメラを回せ!
データを集めながらついでに試作の兵器でも何でも使って止めろ、始末書が一枚で纏まるようにな!」
ソムリエ「……やれやれ、これだから大道具やファンタジーは好ましくないと言うんです。
後始末も大事になりますから(※煤煙の流れてくるドアを見つめながら)」
キングロード「フッ、実に良い号令だ。
運動がてら少し相手をしてやるとしよう。
ひ弱な現代人に、あの絡繰巨人の相手は荷が重かろうしな」
――パンッ!
――ガ、ガガッ……ギ、ギギ…………
キングロード「ん……動きが鈍く?」
ソムリエ「私が揃える品はどれも特別製ですから。
自分の比重を操作する性質を持つスポイラーの素体を弾に仕込んでいるのですよ。
そういう貴方は、旧石器の猿人類のように棍棒一本で殴り掛かる気ですか?」
キングロード「想像力の足らん凡人には見せた方が早かろう」
カキィィィィィンッッッ!!!
(※改造金属バットで飛来したロケットパンチを打ち返した快音)
――ドゴォォォォォンッッッ!!!
(※ロボットの顔面に着弾し、花火が咲いた音)
キングロード「これに触れたものは尽く、残花の如く散る定め……運が無かったな」
ソムリエ「……一緒に爆ぜてくるといい。
英雄らしい華のある最後にぴったりですよ
(※爆風の中、眼鏡の汚れを拭きながら嗤う)」
監督「よくやった二人共!
打ち返されたロケットパンチの直撃からの自由落下による機体大破……!
とはいえ――、あれじゃあ粗大ゴミが吹っ飛んだだけだ、面白くないな。
……よし、もう一回いく。
純度100%の異世界産とはいかないが、多少妥協しても既存のロボを骨格に据えて描き直す。
撮り直しだ」
キングロード「……せめて『すまない、助かった』の一言が言えるように、アレの頭を改造することは出来ないのか、仕立屋?」
ソムリエ「私にファンタジーを求めないでください。アレは貴方の専門でしょう」




