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小悪魔ちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 小悪魔のゲームスタート
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第8話


「ブゥゥゥン!」


「よっ!せい!」


 羽音を鳴らしながら近づいてくるポーンに向けてバットを振る。ポーンはそれをホバリングからのバック飛行で回避、その隙に別のポーンが旋回しながら向かってきた。


「【ウォーターカッター】!」


「ブゥゥゥン!」


 旋回してきたやつには当てやすい【ウォーターカッター】で攻撃する。これもホバリングで回避されてしまったけど、近づけさせないことが大事なので問題無い。当てられれば良いんだけどね。


「ポーン……兵士ってだけあって戦い慣れしてるね」


 ただ突撃してくるワーカーとは違って、ポーンはホバリングとか旋回とかトリッキーな動きをしてくる。ワーカーたちは全員倒し終えたけど残りの3匹のポーンには有効打を当てられてない。


(MPの回復をする隙も少ないしね)


 何回か回復はできたけど回復しようと隙を見せたら3匹で襲ってくるはず。今のMPは50ちょっと……


「確か……メイカの話だとワーカーとポーンの耐久は大差無いって言ってたね」


 だから魔法を1発でもクリーンヒットさせられれば状況が変わるはず。とりあえず1匹は倒したい。

 私がそう思っているとポーンたちが再び突撃してくる。今度は2匹が正面から向かってくる……成程、正面に対応させている間にもう1匹が回り込んでくる作戦と見た。


(正面の2匹の間隔が広い。【ウォーターカッター】だと対処するのは難しい……ならこうかな?)


 私はバットを両手で握り締め後ろに引く。そしてできるだけ引き付けて……一気にスイングした。1匹目には簡単に避けられてしまったけどそのままスイングし続け、2匹目は私が振り続けると思っても居なかったのか避けれず直撃した。


「ブ……!」


 頭にスイング直撃したポーンは近くの木にぶつかり気絶。すぐにトドメを刺したいけれど、その前に後ろから攻撃しようとしていた3匹目を見る。


「ブゥゥゥン!」


「【ウォーターショット】!」


 私はバットから右手を離し、素早く照準を合わせ魔法を撃つ。避けられてしまったけど問題無い。私はそのまま右手を気絶したポーンに向けてトドメを刺した。


「残り2匹。さてどっちからやられたい?」


 私は2匹のポーンにバットを向けた。仲間がやられたポーンたちはブブブと羽音を鳴らして対空……そして何処かに飛び去っていった。あれ?


「逃げた?……いや、これ仲間呼びに行った?」


 どっちか分からないけどチャンス。今のうちに逃げよう!私は地図を見て素早く森を出ることにした。


▷▷▷


「ポイズンビーのトレイン受けて生き残るとか思った以上に生存能力高いね。まるで黒い……」


「その先を言ったらグーで行くよ?ん?」


 とんでもない例えが出てくる前に拳を見せて黙らせる。その例えは侮辱罪適用案件だから。


「冗談だから手を下ろして。というかトレインか……意図してないトレインとはいえアンチマナーも良いところだね。モモカの方に半分以上タゲが移っちゃってるし」


「なんとか生き残ったけどね……てかさっきから言ってるトレインって何?」


 ゲーム用語は詳しくないんだよね。なのでどういう意味なのか聞いてみるとトレインっていうのは自分を狙っているモンスターを他人に擦りつける行為。こういうMMOだと忌避されるマナー違反。


「わざとやったりしたら囲んでボコられても文句は言えないね。ただ今回の場合だと逃げた先に偶々モモカが居て……めちゃくちゃヘイトを買いやすいモモカにポイズンビーが反応した。めちゃくちゃ運が悪い事故って感じだから文句言うぐらいかな?」


「そういうもんなんだねー……まぁ生きてるから問題無いよ。lvも15になったし」


 おかげで目標達成。次は何をする感じかな?


「lv15になったら……うーん、どうするかな。正直、lv15になるのが早過ぎて考えてた予定が崩れてるんだよね」


「そうなの?」


 なんでも最初の予定だとlv15になるのは明日ぐらいを予想してたらしい。その時に装備を渡してボスに突撃させるつもりだったけれど……私が思いの外バトルジャンキーで早く終わらせちゃったから困ってるらしい。いや、バトルジャンキーって……


「そんな戦った記憶無いんだけど?」


「バリバリの戦闘職でもない癖に2日目で15まで上げてるのに?まぁ、20までは上がりやすいから私の見立てが甘かったかな……まぁ、森のボスなら初期装備でも魔法メインなら倒せるか」


「ボスね……次の町に行くのに倒す感じ?」


「いや?別にそういう感じじゃないよ。そもそもこのゲーム、ボス倒さなくても先の町に行けるし」


 あ、そうなの?この手のゲームってボスを倒さないと次の町に行けないようになってるんじゃないの?そう思って聞いてみるとこのゲームでのボスはスキルを強化するための相手らしい。


「ボスを倒すとスキル強化権が手に入る。それを使えば自由スキルの1つを上位のスキルにできるんだよ。あ、強化権を貰えるのは初めて倒したボスだけだから同じのを何回倒しても意味無いよ」


「そういう感じなんだね……あれ?でも生産職の人はどうやって手に入れるの?序盤は良いとして後々キツくならない?」


「そのときは他のプレイヤーに倒してもらったりだね。あと私なら毒薬とか爆薬である程度戦えるしね」


「武器が物騒過ぎる……てか爆薬って調薬なの?」


 ちなみに次の町への行き方は普通に街道を通れば行けるらしい。生産職とかはそうやって町から町へと移動する。逆にこのゲームの移動は街道しかない。転移とか便利なものが無いから大変らしい。


「まぁ、基本的には前の町に戻ることなんてあんまり無いけどね。素材に関しても生産職はギルドを使って調達できるしね」


 そういうわけで次の目標は森のボスを倒すこと。倒して手持ちのスキルを強化する……強化するスキルは後で相談しよ。

 できることなら《目を奪う人差し指》を強化したいけど、職業スキルは対象外なのが残念。これ本当にどうやって使おう?


「とりあえずボスの座標を送っとくね。あとボスエリアはパーティー毎に作られるから乱入の心配は無いよ」


「OK。じゃあ薬も貰ったし行ってくる」


 私はボス戦のために再び森へ突入。素材回収をしつつもできるだけ戦闘はしないように……《大食い》の容量をあんまり圧迫したくない。


「そろそろボスが居るところだね」


 座標の近くまで行くと木々に白い糸のようなものが纏わりつき始めた。糸は座標に近づく程多くなっていき……座標の場所に来ると糸で木が見えなくなっていた。更には空を覆うように大きなクモの巣ができていて、巣の中心には大きな糸玉がユラユラと揺れていた。


ズズズ……ズシャ!


 ユラユラ揺れていた糸玉から大きな足が飛び出す。足は次々に増えていき、8本目が出てきたところで糸玉が2つに割れた。


「キシャァァァ!」


 糸玉から現れたのは大きなクモ。キラースパイダーの5倍以上はあるね。確かメイカに聞いた名前はマーダースパイダー、キラースパイダーが充分な栄養を摂取して成長した姿。


(特に人間を多く食べた個体がマーダースパイダーになるらしいね)


 そのため自分の住処に人が来れば食べようとする。今も私を見てヨダレを垂らしている……私がそんなに美味しそうに見える?


「私を食べたいようだけど……そう簡単に食べさせてあげないよ」


 私は右手を銃の形にしてマーダースパイダーへ向けた。初のボス戦、頑張るぞ!


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