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小悪魔ちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 小悪魔のゲームスタート
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第9話



「キシャァァァ!」


 最初の攻撃はマーダースパイダー。マーダースパイダーは巣の上をトランポリンのように跳ね、こちらへ糸の塊を3発飛ばしてきた。速度は遅いから避けるのは簡単だったけど……地面にネチャーと広がっていく。踏んだら動けなくなりそうだね。


「【ウォーターショット】!」


 お返しに私は魔法を撃ち込む。身体が大きいから無事に当てられたけど……あんまりダメージ入ってる気がしないね。ボスだからタフなのか……《水魔法》じゃ威力不足かな。魔法の中じゃ威力低いらしいし。


「キシャァァァ!」


「わっ!?危な!!」


 私が《水魔法》の威力不足に苦笑いを浮かべそうになっていると、マーダースパイダーはお尻から糸を出してターザンのように移動。私に鋭い爪を突き出してくる。私は距離を取って避けようとしたけど、地面のネチャネチャな糸が本当に邪魔。


「キシャシャシャ!」


「わ、笑ってる……ムカつくー!」


 ヨダレを垂らしてるクモに笑われるなんて……私はその態度にカチンと来た。絶対倒す……出し惜しみなんてしない。火力不足?なら不足しないだけ撃ち込むだけ。


「【ウォーターショット】!【ウォーターショット】!」


「キシャァァァ!」


 私は巣の上に居るマーダースパイダーへ撃ちまくる。向こうの攻撃は糸球による妨害とターザンのような移動での物理攻撃のみ。最初のボスらしく行動が少ないね。


「あとメイカが魔法使いなら倒せるって言った理由が分かったね……てかこいつ近接じゃまともに戦えないような」


 何せずっと巣の上に居る。遠距離攻撃が無ければ、向こうが攻撃しに来たところを狙わないといけない。しかも足元の糸に気をつけながらね……この糸、時間経過で消えはするけど、それでも1分以上は残る。踏んだら動けなくなって鋭い爪でグサリってところかな。


「キシャァァァ!」


「【ウォーターカッター】!」


 私はターザンで向かってくるマーダースパイダーに水流の刃で迎撃する。【ウォーターカッター】は手痛いと分かってるのか、これだけは避けられて擦り傷程度のダメージしか与えられてない。


(それを考慮しても……あんまりダメージが入ってなさそうだね)


 こいつ本当にタフ……もう薬4本飲んでるんだけど?【ウォーターショット】じゃやっぱり火力不足か。【ウォーターカッター】直撃させないと決め手に欠ける。


「胃の容量的にはまだ行けるけど……できれば早く終わらせたい」


 何か良い方法無いかな。私は少し視野を広げて観察してみる。そういえば……あいつが居る巣ってどうやって張ってるんだろう?


「んーと、8本の木に土台の糸が付いてる感じか……」


 太さは中々のもの。あいつが飛んで跳ねてができてるくらいだからね……でもあの太さなら【ウォーターカッター】で切断できそうだね。


(高いところから笑われててムカついてたし……地面に落としたらどうなるかな?)


 多分、この時の私は物凄く悪辣な笑みを浮かべていたと思う。そうして私はマーダースパイダーを無視して近くの木まで移動……糸と木の接合部へ狙いを定める。


「【ウォーターカッター】」


 私の指から放たれた水流が糸に当たる。思っていた以上に硬くて半分程しか切れなかったけど、切れるなら問題無い。MP回復薬(燃料)はまだまだ充分ある。


「キ、キシャァ!?」


「おや〜?なんか慌ててる〜?」


 糸を切断されたことにマーダースパイダーは慌てるような動きを見せた。そんな動きを見せられたらさー……どんどん切っていきたくなるよね。


「【ウォーターカッター】」


「キシャァァァ!!」


 私は見せつけるように糸を切ってあげた。それを見たマーダースパイダーは怒りの鳴き声と共にこっちにバタバタと向かってきた。しかし私はそれを無視して次の糸までダッシュ。すぐさま【ウォーターカッター】で切断しにかかる。

 切った隣の糸を狙いに行くとすぐに追いつかれるからわざとあいつの下を潜り抜ける。クモの構造的にすぐに方向転換はできないでしょ?


「ほらほら〜。止めないとどんどん切ってくよ〜」


「キシャァァァ!」


 私はマーダースパイダーを煽りながら糸を切り続ける。自分の巣の土台を切られ、更には餌だと思っていた私に煽られる始末。血管何本か切れてそう。


「キシャァ……キシャァ!」


「おっ?」


 私が煽りながら3本目を切りに行ってるとマーダースパイダーは私を無視して切られた糸の方へ向かっていった。補修するつもりか……思っていたよりも冷静だったようだね。


「じゃあ邪魔してあげる。《目を奪う人差し指》」


 私は右手の人差し指を伸ばしてスキルを発動させた。バタバタと向かっていたマーダースパイダーはスキルの効果によって強制的にこっちを向けられ……派手に横転した。


「キシャァァァ!!?」


「あー……そういえばクモって首無いから無理矢理向こうとしたら身体のバランス崩すか」


 しかも急いで走ってるなら尚更ね。ただ嫌がらせしてやろうと思ってたんだけど……《目を奪う人差し指》が役に立つなんてね。

 

「使ってみないと分からないもんだね……と、4本目!」


 私はマーダースパイダーが起き上がれていない隙に糸を切り続けていく。マーダースパイダーは転倒のショックが大きかったのかまだ起き上がれていない。その隙に5本目を切りに行き……薬を飲みながら切断した。8本中5本の糸が切られた巣は遂に地面へと落ちた。


ズシャ!!


「キシャァァァ!!!」


 巣ごと地面に落ちたマーダースパイダーは土埃を出しながら起き上がり、私に向けて怒り100%の叫びを放ってきた。そして足を素早く動かして私へと向かってくるけど……地面に居たらちょっと大きいキラースパイダー。


「【ウォーターカッター】!」


 私は恐れず待ち構え、指を縦に振りながら【ウォーターカッター】を発動。マーダースパイダーの頭に縦に深い傷が発生し、私に向けて振り上げた爪を振り下ろすこともできずに伏して動かなくなった。マーダースパイダーは光へと変わって消えていく……ちゃんと倒せた。


「スキルの強化権……これのことか」


 ストレージを確認すると覚醒玉ってアイテムがあった。これで自由スキルを1つ強くできる。何を強くするか楽しみだね。


「それにしてもちょっと疲れたね。あのお店に行って休憩でもしようかな」


 紅茶とケーキでも食べてリラックスしよう。メイカにもメールで送っておけば来るでしょ……てかメールで来るように行っておかないと作業に没頭して餓死してそうだからね。リアルでも趣味に夢中で食事抜くこと多かったし。私はメイカにメールを送りながらマーダースパイダーの住処を後にした。


▷▷▷


「へ?まはこへつかわなふてひひほ?(え?まだこれ使わなくて良いの?)」


「うん、今のモモカのスキル構成だとね……まだ保留してた方が良い気がする。あと飲み込んでから話しなよ」


 いつものカフェ。私はパクパクとサンドイッチを食べながら覚醒玉のことを聞いてたら、まだ私は使わなくて良いとのこと。スキル強化した方が攻略とか楽になるんじゃないの?


「《水魔法》とか強化した方が良さげだけど?」


「んーとね。lv20っていうのが大体今後の方針がきっちり決まる段階なんだよね。基本的に職業スキルの系統もそこで大体決まるし……そこから必要なスキルを追加して特に自分が必要なスキルを強化するって感じ」


 その前に覚醒玉を使っていると、本当に使いたかったスキルに使えないってことがあるらしい。特に魔法を使う職業は関連スキルが多く、他のスキルとかも考えると今は覚醒玉を使う場面じゃない。貴重なアイテムだしね。


「あれ?そういえばこの町の周辺って森以外に3つのフィールドあったよね?そこも回った方が良いんじゃない?」


「まぁ、回れるなら回った方が良いけど。今のモモカだと……いけて北西の山かな?」


 北東の岩山はめちゃくちゃ硬い上に道中の素材があんまり要らない。南東の丘陵地帯はメイカも欲しい素材が多いけど、群れで出てくるモンスターが多いから私だと囲んでボコられるかガス欠。北西の山は薬の素材も多くて敵は状態異常メイン、私でも戦えそうな相手が多い……懸念点は山は迷いやすいこと。私方向音痴じゃないんだけど?


「まぁ、山のキノコはちょっと欲しかったし行ってもらおうかな……その前に防具出来上がったから先に渡すね」


「あ、できたんだ。どんな感じか楽しみ」


 私の初防具。ただ最後に調整とかしたいらしいからギルドの生産室まで移動する必要があるとのこと。私は残りのサンドイッチを詰め込みメイカと一緒にギルドに向かった。ついでにクエストの報告もしておこ……このお金でスキルを揃えたいね。


(今度はどんなスキルを買おうかな?)


 装備にスキル。ワクワクが止まらないね。



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