第10話
「着てみてどんな感じ?一応、CAMが増えるかつ動きやすさメインで作ったんだけど?」
「結構良い感じだよ。引っかかったりするところも無いし……人体構造を無視した動きしなきゃ大丈夫そう」
「人体構造を無視したら化け物では?」
肩や腰を動かしたりジャンプしたりしながら私は装備の着心地を確かめた。用意してもらった防具は白黒のモノクロ基調としたもので、白いノースリーブのシャツの上に更に黒いノースリーブのベストを羽織った感じ。下はスカートっぽく見える黒い短めの短パン。全体的に白いレースとか付いてて可愛い。
両腕には二の腕の半分くらいまである黒いアームカバーのようなものが付き、足は太腿の半分くらいまでの薄い黒の靴下と革靴。
(このシックな感じは割と私の趣味ではある……)
リアルの普段着もこんな感じだしね。流石幼馴染、私の趣味を理解してる。ちなみに性能はこんな感じ……説明文載せると長いから装備一覧見せるね。
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装備一覧
▷武器
右手:無し
▷防具
頭 :無し
胴1:蜘蛛糸の白シャツ
胴2:狼革のベスト
腕 :狼革のアームカバー
腰 :無し
足1:蜘蛛糸のロングソックス
足2:狼革の靴
▷アクセサリー(10/10)
魔除けの指輪×8
魔除けのピアス×2
▷総合強化値
VIT+12 MID+12 CAM+36
魔法威力16%上昇
魔法発動速度4%上昇
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大体防具1つに付きVITとMIDが2。CAMが6上昇する感じ。あ、ちなみに初期防具の数値はオール0……ただ服って感じ。
あと装備欄の腰が無しってなってるけど、これはワンピースを着てるからだからね。制服のスカートの下にジャージを履くようなもの。だからワンピース着てて腰の部分が有りになることないから。
「そういえばこの革の防具はどうしたの?私は狼と戦ったりしてないけど」
「それは知り合いに作ってもらった。ちなみに作った本人から『楽しかったから次作るときはうちをよろしく。素材持ち込みで安くするよ』ってさ」
「一度も会ったことない人なんだけど?まぁ、メイカが頼んだってことは実力のある人だろうからお願いできるならしようかな」
これにて装備紹介終了。では次は新しいスキル……とりあえずメイカに指摘されたのは近接の弱さ。敵に近寄られた時の対策が何も無い……
「バットはダメなの?」
「あれは本当に序盤だけだから。MPが少ない魔法職のお助け要素……あと《着飾り》あると武器はね」
性能落ちるからね。こればかりは職業との相性も含めてどうしようも無い。だからメイカが私に勧めてきたのは蹴りだった。
「《格闘》《蹴術》の2つでそれなりにダメージ出せるから……格闘家の職業スキル無いから敵を倒すには心許ないけどね。モモカSTR低いし」
「非力で悪かったね……てかパンチは選択肢に無いの?」
「別にパンチでも良いよ?ただモモカって魔法使う時に手を使うじゃん。それなら足の方が良いでしょ」
確かに。パンチだと拳を握り締めなきゃだからすぐに魔法が使えない。それなら蹴りの方が良いね。
ちなみに蹴りといっても敵を倒すためと言うよりも、近づいてきた敵を近寄らせないや足払いで転倒させたりの用途。隙を作れればトドメは魔法で刺せば良い。
「あとは耐性系のスキルだね。毒、麻痺はどんなプレイヤーでも持っていた方が良い。耐性系は1つ1万Gするけど……買えるでしょ?」
「まぁ、2つぐらいならね」
食費くらいしか使ってないからね。ちなみに耐性スキルは沢山取っていた方が良いのかと思ったけど、どうも耐性系は覚醒玉を使って強化していくもの筆頭……取り過ぎると戦闘用のスキルに使える覚醒玉が減っちゃうらしい。
「イベントとかでも覚醒玉は貰えるけど、それでも足りないって言われるからね……そのせいで戦闘と生産の両立がほぼ無理っていう」
「毒薬と爆薬が武器になりそうな人がそれ言う?」
バットでスライムとウサギをホームランしてたしね。とりあえず耐性系は毒と麻痺を揃えれば良いんだね。なお、この2つな理由は毒は使うモンスターが多いから無いと不便。麻痺は受けると動きが悪くなってソロだと致命傷になりかねないからだとか。
「北西の山は毒と麻痺のモンスター多いから耐性あるだけ快適だね……あ、そうだ。山で集めてきて欲しい素材のリストこれね」
「ありがとう。ちゃんと生えてる場所書いてあるよね?」
月光草の時の悲劇はゴメンだからね。私はちゃんと情報が書いてあるかメモを確認。問題無さそうだったのでお弁当を用意して北西の山に向かった。
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北西の山。森と同じで木々が生い茂っていて見た目はそれほど変化がないように見える。しかし明らかに違う点としてこっちは湿気多め……どうも川があちこちに流れていてそれがこの湿気を生み出してるみたい。
「これだけジメジメしてるなら、キノコが生えてくるのも納得だね」
ちなみにここで集まるのはドクタケ、マヒタケ、ネムリタケ……名前から分かる通り状態異常を引き起こすキノコだね。
(何に使うかは……まぁ、聞かなくても分かるね)
他にもニガタケとか薬の素材になるものもあるけどね。メイカからは見つけたキノコは全部取ってきてと言われてるから、見つけたキノコは全部採取してる。
「触れる程度じゃ状態異常にならないらしいけど……毒キノコ素手はなんか怖い」
確かリアルには触れるだけで酷い炎症を起こすキノコがあったよね。カエンダケとかいう見た目唐辛子のやつ。このゲームにも触れただけでヤバいキノコとか有りそうだし……手袋かトング欲しい。はっ!もしかして。
「このための《毒耐性》と《麻痺耐性》!?……んなわけ無いか」
自分でボケて自分で突っ込むというくだらないことをしていると、不意にガサ!と音がした。そしてヒュン!と風を切る音が響く。私がサッとしゃがむと上を細い木の枝が通り抜けていった。
「やっぱり動いてくれないと私には分からないね」
「ギギギ……!」
私は立ち上がって距離を取りながら攻撃してきたモンスターを見る。攻撃してきたのは細い苗木のような木。スプラウトトレントっていうモンスターで木に擬態する特徴がある。一応、擬態は完璧じゃなくてよく見れば分かるらしいけど……私にはさっぱり分からん。
ただ攻撃自体が遅めだから不審な音が聞こえたら回避すれば問題無い。食らっても死にはしないしね……最初に遭遇したやつはご丁寧にビンタしてきたけど。ムカついたから魔法でボコボコにしてやった。
「【ウォーターカッター】!」
「ギギギギ……!」
私の魔法がスプラウトトレントの表面に傷を付ける。やっぱりこいつ私と相性悪いな……スプラウトトレントは見た目通り植物。そのせいか《水魔法》との相性が良くなくてダメージが通りにくい……【ウォーターショット】じゃほぼノーダメージ。
(切断系なら通るんだけどね……)
それでも【ウォーターカッター】3発は必要。火とか風なら有効なのかな……そんなことを思っている間も魔法を叩き込みスプラウトトレントを討伐する。
スプラウトトレントからは若木の枝ってアイテムが手に入る。使い道はよく分からないね……ただの細い枝にしか見えないし。とりあえずメイカに渡せばいいか。
「とはいえ戦闘の効率悪いなぁ……1回、指輪の数を減らして武器でも持つ?」
《着飾り》も装飾品の数を調整すれば武器使えるからね……とはいえ武器なんてバットしかないか。木を叩いても効果無さそう。
魔法でチマチマ頑張るしかないかなと思ったその時、ガサ!と音が鳴る。またスプラウトトレントかと思っていつでも魔法を撃てるように構える。しかし出てきたのはスプラウトトレントではなく……なんかボロボロのプレイヤーだった。
「し、食料をくれ……」
「えぇ……なんか死にかけてる」
私は予想外の遭遇に戸惑っていた。




