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小悪魔ちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第2章 小悪魔と???
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第37話




「よーし、ボス部屋到着」


 攻略開始してから3時間弱、遂に虫の迷宮最奥のボス部屋に辿り着いた。やっとこのカサカサ音から解放される。てか自然な巣穴に人工物の大扉が付いてるの違和感凄いな。

 ちなみにあれから特に苦戦も無かった。敵もエリートアントっていう兵隊アリ……正式名ソルジャーアントの強化版が居たくらいだね。蟻酸も使ってこないし、ソルジャーアントの防御力がちょっと上がってる感じの敵だったね。


「あの様子だとボスも苦戦はしないかな?」


 ただアリだからさ……大体ボスの予想が付いてるんだよね。私はそんなことを思いながらボス部屋へと入った。

 ボス部屋は広めの丸い空洞。その奥にはワーカーアントにソルジャーアント、エリートアントたちを引き連れた二回り三回りも大きなアリが鎮座していた。


「ギィィィィィ!!」


「女王様かな?大きいね」


 とりあえず攻撃しますか。私は女王様に向けて毒の氷を数発撃ち込んだ。しかし女王アリへの軌道の間にワーカーアントが割り込んで庇った。


「「「ギィ……」」」


「いきなり女王様は獲れないか……まぁ、そんな気はしてたよ」


 取り巻きがあんなに居る時点でね。幸い、死んだ分の追加は無いみたいだからジワジワ削っていきますか。


「ギィィィィィ!!!」


「「「「ギィィィ!!」」」」


 女王様の号令でアリたちが私目掛けて突撃してくる。私は、顎で噛みつき腹部の針で突き刺そうとするアリたちを回避しながら、毒の氷を撃ち続けた。


「よっ!ほっ!せい!」


 ドレミさんから仕込まれたステップで文字通り舞うように回避。隙を見せたやつから毒を仕込んで始末する。

 毒で動けなくなったアリが消えるまで障害物になるから、集団戦でも危なげなく立ち回れている。


「ギィィィィィ!!!」


 ある程度取り巻きが減ってきたところで女王様が大きな声をあげる。そして私の方へ動き始めた……身体が大きいせいで動き遅いな。


「一応、足止めだけして取り巻き全部片付けちゃうか。【ポイズンスパイク】」


 私は足止めの毒氷を生やして取り巻きを片付けた。蹴りも入れてMPも充分に確保……取り巻き全部片付けたからやりましょうか女王様?


「と意気込んだのは良いものの……まさかこうなるとは」


「ギィィィ……」


 えー、はい。ボスの女王様ですが……なんか毒になってました。どうも足止めに生やしておいた毒氷の棘、回避せずに突っ込んだみたい。そして毒になって死にかけてる。


「いや、馬鹿なのかな?」


 あまりにも間抜け過ぎる。身体が大きい分、毒の回りが遅いようだけど……殆どまともに動けなくなってたら強行突破の意味無いよ。

 呆れつつも私は女王様に追加の魔法を撃ち込んでトドメを刺した。消化不良な感じの戦いになっちゃったなぁ……


「まぁ、コレでお目当ての素材。クイーンアントの体液確保だね」


 あと覚醒玉。今4つストックしてあるけど……まだ使わなくて良いかな。《歌魔法》とか覚える予定だし、それで強化したいスキル増えるかもだからね。


「んー……それにしてもお腹空いた。ダンジョン出て何か食べようっと」


 肉はさっき食べたからスイーツとかあるかな?私はまだ見ぬスイーツを楽しみに虫の迷宮を後にした。


▷▷▷


 次の日、今日は用事があったから夕方からのログイン。クラスの友だちと買い物しに行ってたんだよね……あ、メイカは居なかったよ。メイカはこういうのあんまり来ないから特に夏はね。


「美味しいもの食べて、服とか買えたし満足だね」


 いつもならプールにも行ったりするんだけど……近くのプールは去年閉まっちゃったし。何より暑すぎてちょっと厳しいよね。学校のプールも無くなったくらいだし。


「さーて、今日はフィールドボスだね……ここはダンジョンよりも簡単らしいから気が楽」


 といっても敵が弱い訳じゃないんだけどね。私はそんなことを思いながら夕暮れのフィールドに足を踏み入れる。グラシスから行けるフィールドはちょっと変わっていて牧草地、もしくは放牧地と呼ばれている。


「ブヒィ!」


「モォォォ!」


「コケェェ!」


「話通り家畜のモンスターばっかりだね」


 広い草原にはブタ、ウシ、ニワトリのモンスターたちが闊歩している。コレが放牧地って言われる所以だね。おかげでグラシスの料理、肉料理のレパートリーが多いんだよね。


「奥の方だとヒツジも居るらしいし……てかボスがヒツジっていうのは分かってるしね」


 何せボスの素材で|羊皮紙«・・・»を作るんだからね。ヒツジじゃなかったらビックリ。

 で、ここの難易度が低い理由なんだけど……


「居たぞぉぉぉ!俺の獲物だぁぁ!」


「違う俺のだ!横入りすんな!」


「はっ!獲物なんぞ早い者勝ちだ!サーチアンドデストロイ!」


「ブヒィィ!?」


 リポップしたブタのモンスター目掛けて数人のプレイヤーが血相を変えて飛びかかっていく。あれがここの難易度が低い理由、ここのモンスターの素材って結構良い値段で売れる。そのせいで金策プレイヤーたちが沢山居て雑魚は見つけ次第狩られちゃう。


(そのせいで最も治安の悪いフィールドって言われてんだよね……)


 見てて分かる殺伐ぶり。これ絶対他のところに行って素材集めた方がお金になるよね? 今回の目的はボスだけだから雑魚に構わなくて楽できるから良いけどね。

 モンスターを探して彷徨うプレイヤー……表情怖過ぎてこっちがモンスターに見える。ボスエリアは個別仕様になってて良かった。


(てかボス周回の方が稼げるのでは?)


 と、そろそろボスエリアだね。雑魚モンスターと戦わずに来たから早く着いた。良いのかこれ?


「メェェェェェ!!」


「うわ、ボスなんかキレてる……外でお仲間がやられてるから?」


 牧草地のボスは黒い羊毛のヒツジ。目が赤く、黒いツノはなんかバチバチと音を立てている……あれ電気?


「黒い羊毛のせいで雷雲っぽく見えるね」


 恐らくモチーフにはなってそうではあるけど。ここの雑魚モンスターとして出てくるヒツジ、クラウドシープって言うらしいからね。


「メェェェェェ!」


 黒ヒツジは角のバチバチを身体の羊毛に纏わせる。そして私に向けて突撃してきた。やっぱり雷雲っぽい。


「動きはそこそこ速めだね。ただ突進は真っ直ぐと……」


 そしたらこっちの攻撃だけど。あのバチバチ具合じゃ蹴ったら電撃で痛い目を見そう。なら魔法だね。


「最初は殺傷性高めの氷から使おうか。【ポイズンバレット】」


 私は【ポイズンバレット】を黒ヒツジの背後から撃ち込んだ。毒氷は真っ直ぐ飛んでいき、羊毛にポスっと刺さる。おや?


「もしや物理系の魔法効かない?」


 あの羊毛、思っていたよりも防具として優秀だね。物理耐性はガチガチヒツジとか魔法使えないと有効なダメージ稼ぎにくい相手だなぁ。


(顔なら毛は無いけど突進のリスクが高い。うん、なかなかに厄介な特性だね)


 ただ私にはもう1つ魔法がある。私を1から支えてきた水の魔法がね。


「メェェェェェ!!」


「《アシッドバレット》!」



 再度の黒ヒツジの突進を回避し、私は強酸を浴びせた。バシャリ!と強酸が羊毛へかかり染み込んでいく……と、その瞬間。


バチバチ!バチン!!


「メェェェェェ!?」


 突然、強酸をかけた部分の羊毛が派手な音がなったかと思うと爆発するように弾けた。黒ヒツジから悲鳴が放たれる。え、何?羊毛からブスブスと煙が出てるけど……


「もしかしてショートした?」


 電気でバチバチのところに水をかけたから。しかもそのおかげか纏っていた電気が消えてる……こいつの攻略法を見つけたね。


「しかもちゃんと強酸は染み込んでいってるから……持続ダメージも見込めそうだね」


 そうと分かれば強酸をかけまくろう。私は怯みから立ち直った黒ヒツジの突進を回避しながら強酸をかけていった。

 黒ヒツジは走り回っている間に角に電気を溜め、再度羊毛に電気を発生させてくる。だけどすぐに強酸をかけてショートさせて電気は無力化。弱点を早めに見つけたおかげで厄介そうな電気を封じられた黒ヒツジは最早敵じゃないね。


「メェェェェェ……」


「よし倒せた。皮も無事にゲットだね」


 これで依頼達成。黒い羊毛もたくさん手に入ったからメイカも喜ぶはず……


「そういえば羊毛欲しいって言ってたね。雑魚の方は集めにくそうだし」


 私ならMP回復薬が切れなければ楽に倒せるしね。よーし、ポス周回頑張るぞー。その後、私は黒ヒツジ、正式名称ブラッククラウドシープを6体ほど狩って放牧地を後にした。



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― 新着の感想 ―
強酸、どう考えても強すぎるしドロップアイテムが劣化するとか量が減るとかデメリットあって良い気がする
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