第4話
ブブブブ……
キュア草を引き抜き、マンドラモドキをバットで叩き割っていると虫の羽音が聞こえてきた。うわぁ……とうとう来ちゃったかぁ。
「ブゥゥン!」
私が苦々しい表情を浮かべると同時に羽音の主が出てくる。薄紫色のミツバチ……小型犬くらいの大きさでちょっとキモい。
(黒いカサカサ以外は平気なんだけど……これは確かに苦手な人には辛そう)
ちなみにメイカの話ではポイズンビーには3種類居るらしくて、巣作りや狩りを行うワーカー。外敵から巣を守るポーン。ポイズンビーの頂点であるクイーン。こいつはワーカーだね。
「ブゥゥゥン!」
ポイズンビーは顎をカチカチと鳴らして様子を伺っていたが、獲物に決定したのか真っ直ぐ私に向かって飛んできた。自分の頭よりも大きいハチが向かってくる恐怖にビビりながらもわたしは指を伸ばして狙いを付ける。
「【ウォーターショット】!」
私が撃った水の弾丸はポイズンビーへと着弾する。一撃では倒せなかったけどポイズンビーはかなりふらついてるいた。魔法結構効いてる?
「ならもう1発」
私は2発目を間髪入れずに発射。フラフラしていたポイズンビーは地面に墜落して消えていった。2発で仕留められたね……
「もう少しlvを上げたら1発かな……」
そういえばステータスの確認しておこうかな。どれくらい上がってるか気になるし。
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モモカ
誘惑士lv7
・基礎ステータス
HP:36/36
MP:68/88
STR:16
VIT:16
INT:48
MID:16
AGI:16
CAM:48+4
・職業スキル
《誘惑》《恋の一撃》
・自由スキル
《水魔法》《回避》《カリスマ》
・使用可能魔法
【ウォーターショット】消費MP:10
◇◆◇◆◇◆◇◆
上がり幅はMP、INT、CAMが1上がる毎に3。その他は1ずつ上がってる……上がり幅思ってたより低くない?
「CAMはやっと50超えた……これで《恋の一撃》の威力上がったかな?」
それでも雀の涙程の威力だけどね。ただこのステータスでもポイズンビート戦えるのが分かった。
「ハチにビビる必要など無い。出てきたやつ全部撃ち落として『ブブブブ……』ヒィ!?」
調子に乗りかけたからか、すぐに羽音が聞こえてきた。し、心臓に悪い……私のハートはガラスのように繊細なのに。
「ブゥゥゥン!」
2匹目のポイズンビーも一度こちらを観察するように停滞してから襲いかかってくる。どうもポイズンビーは攻撃前に止まる癖があるみたい……なら止まってる隙を魔法を撃ち込めば。
「楽に戦えるね」
私はポイズンビーへ指を向けて魔法を撃ち込んでいく。これで毒針もう1本回収完了。
(よくよく思うと私と相性が良過ぎるね……メイカ、そこも考えて?)
そんなことを思いつつ私は採取と狩りを続けていった。ただしこれより奥には行かない。これ以上奥に行くと面倒なモンスターがいるらしくて、今はまだ行かないように言われてる。私の職業が誘惑士じゃないなら突撃させてたらしいけど……
「新しい魔法を覚えたら突撃かな……」
魔法は使い続けていると増えていく。明確な使用回数は決まってないようだから、メイカには使い続けて回数を稼ぐように言われてる。
「その分薬を飲まなきゃいけないのが辛いけど……魔法を使うよりも薬で胃がヤバいことになる方が辛い」
《大食い》は絶対に買おう。私は一度味わった地獄を思い出して若干気分が悪くなったりしながら仕事を続けていった。
そして吐き気一歩手前になったところで薬が無くなりそうになったから帰ることにした……オエップ。
▷▷▷
総合ギルドまで帰ってきた。とりあえず依頼の達成報告をして1500G程稼げた。ポイズンビーが1匹当たりの値段がそこそこあったね。素材売れない割には稼げたのでは?
「えーと、そうしたらメイカにメールを送って……返信早」
戻ってきたことをメールで送ると、すぐに部屋番号とそこに来てという返事が返ってきた。職員の人に部屋への行き方を聞き部屋に向かった。
「あ、ここだね」
ノックするとガチャと鍵が開く音がしてメイカが顔を出した。『さっさと入れ』みたいな表情をしていたのでスルッと入った。
「お疲れ。素材集めどうだった?」
「ぼちぼち?とりあえず渡すよ」
私はメイカに素材を全部渡す。フレンド同士ならストレージ同士でやり取りできるから簡単に全部渡せた。
「キュア草とポイズンビーの毒針が思ってたより多いね……結構寄ってきた?」
「割と。探しに行く手間がそんなに無かったね」
「《誘惑》。思ってたより素材集めに役に立ってるね……誘惑士以外とありか?」
取ってきた量には満足している様子。口角が少し上がってる……普段無表情だけど嬉しい時は口元に出るんだよね。逆に機嫌が悪いと目に出る。
「そういえばさ。そっちはどうだった?試すって言ってたけど」
「大体は終わったよ。とりあえずβとの変更点はあんまり無かったかな……一先ずは薬と服飾メインでやっていこうと思う」
理由としては同時進行しやすいのと私のサポートができるから。ゆくゆくは他のものにも手を出していく予定ではあるみたい。
「というか。ここまで素材集まってるならlv10になってるよね?新しい職業スキルと魔法増えたと思うんだけど確認した?」
「え?してない。なんか増えたらアナウンスとかされるんじゃないの?」
「このゲーム、その辺のアナウンス無いよ。だからこまめに確認しないと気づけなかったりする」
本当に面倒……と愚痴るメイカを横目にステータスを確認すると確かに職業スキルと魔法が増えてた。新しく増えたのは職業スキルは《目を奪う人差し指》魔法は【ウォーターカッター】って名前だった。
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《目を奪う人差し指》消費MP:10
自分の周りにいる全ての生物が対象
いかなる状況であっても自分に目を向けさせる
自分よりCAMが低いほど強制力は上がる
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【ウォーターカッター】消費MP:20
水流を出し敵を切る
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職業スキルは目線を無理矢理私に向けさせてくる能力か……戦闘だと使いにくくない?敵だけなら兎も角、味方も対象だからソロじゃないと厳しそう。
魔法の方は相変わらず説明が簡素だね。これはイメージで変化させる為にわざと簡素な説明にしているのかな?
(これは後で試そう)
どういう魔法か楽しみだね。私がそう思っていると素材を確認し終えたメイカが私に3000G渡してきた。
「こっちのクエストで稼いだお金。部屋のレンタル代とかは抜いてあるからスキルを買うのに使って」
「ありがとう。そういえば装備は買わなくて良いの?武器とかさ」
杖とかあれば魔法の威力上がりそうだからね。そうすれば少しでも効率上がりそうなんだけど。
「あー、杖使うなら《杖術》が必要になるんだよね。あと杖は魔法使いの職業スキル無いと微妙だし」
なので魔法を強化するならアクセサリーで強化した方が良いらしい。こっちだとCAMも少しだけ上げられる。それ故に買っておいた方が良いスキルがあるらしくて。
「《着飾り》?そのスキルが必要なの?」
「まぁ、意味分かんないよね。名前から効果把握しにくいし」
《着飾り》。その効果は装飾品の装備上限解放。通常装飾品は5個までしか装備できないけど、このスキルがあると10個まで装備できるようになる。これだけ聞くとかなりのぶっ壊れスキルに思えるけど……6個目から1つ装備する毎に武器の性能が10%ずつ減少。更に持ってるだけで敵に狙われやすくなる。
「近接だと武器の性能落ちるの致命的だし。遠距離だと敵に狙われやすくなると死にやすいし。その点モモカは……」
「《誘惑》で元から狙われやすいから関係無い。むしろ素材集めの観点から寄ってきてくれるのは助かる」
「そういうこと」
まぁ、あんまり狙われ過ぎても困るけど……新しい魔法が集団戦に役立つと良いなぁ。そんなことを思いながら私はスキルを買いに向かった。スキルを買ったらしばらく休憩……MP回復薬買うお金無いからね。
休憩中にメイカが私が集めてきた素材で薬を作ってお金を稼いでくれる。マンドラモドキの絞り汁とキュア草でHP回復薬が作れるんだって……ポイズンビーの毒針は何に使うの?って聞いてみたら。
「これ?ふふふ……」
凄い怪しい笑いを浮かべてたね。怖くて何も聞けなかった……一体何に使ってるのやら?ま、そこはメイカなりの考えがあるだろうから気にしない。それよりもスキルスキル。私は軽い足取りでスキルのお店に向かった。




