第31話
レッスン2日目。今日も変わらず基礎練習、昨日も寝る前に復習したからある程度は様になってきたね。そういえばドレミさん、装備がOLみたいなスーツで腰に日本刀みたいな剣を下げていた。
「日本刀まだ無いらしいのよね……振り慣れてるから日本刀が早く欲しいわ」
「……それゲームで振り慣れてるって事ですか?それとも現実?」
わざわざ剣を抜いて振らないでください。本当に振り慣れている感があってちょっと怖さがある。あれ絶対現実での経験だと思う。
あと今日はステップだけじゃなくて手の振り方とか、あとは何故か歌いながら動く練習も追加だね。
「手の振り方は兎も角、歌いながらはどういう意図が?」
「並列処理の訓練ね。アイドルっていうのはステップ、手振り、歌を並列でやらなくちゃ行けない。それは戦闘においても同じでしょ?」
確かに戦闘時には移動と攻撃で並列処理が求められがち。この前のラフレシアも回避と魔法でかなり並列処理を求められた。特に私だと移動、回避、蹴り、魔法……パッと思いつくだけでこれだけの同時に考えなきゃ行けない。確かに並列処理大事だね。
「ちなみに歌についてはアカペラならコーラスやバラード系が良いんだけど……これは基本的にテンポがゆったりだから戦闘のテンポと合わないのよね」
戦闘するならパンクとかのハイテンポな曲が良いらしい。ただそれはいきなり踊りながら歌うには厳しいので最初はコーラスから。
「〜♪〜♪♪」
歌詞なんてものを覚えている時間は無い。だから単音だけの歌を歌いながら手足を動かしていく。これ結構難しい……頭の中ゴチャゴチャになる。
(ステップに関しては大体覚えてきてるし……歌と手振りに意識を割くようにしよう)
最終的にはステップを無意識でも扱えるようになる。呼吸や歩行みたいな感じで……勿論、そんなことすぐにできるはずもない。地道にコツコツやらなきゃ。
(普段から意識して練習しよう)
並列処理自体はそれなりにできるはず。お菓子作る時とか並列で別々の作業やること多いし……バレンタインの時とか忙しいからね。クラス全員分作らなきゃいけないからね。
「ステップ乱れてるよ。ちゃんと足の動かす位置を意識!歌は正味今は雰囲気で良いからね」
「それ先に言っておいてください」
そんな感じで2日目は進んでいった。そうしてレッスンは基礎練習と並列処理の練習で終わった。ただまぁ、レッスン終わった後も私は自主練で訓練場に篭る。今日は特に素材集めも頼まれていないからね。
「〜♪〜♪♪」
私は1人だけの訓練場でのびのびと練習した。
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レッスン3日目。今日は基礎練習ではなく応用編。実際の戦闘での動きを覚えていく。つまりは……ドレミさんとの模擬戦である。
模擬戦のルールは単純、攻撃は近接攻撃のみで魔法禁止。訓練場内ではHPが減らない仕様だからガンガン戦っていける。
「せい!やぁ!」
「ふん!」
ちなみに戦いとしてはこっちが不利より。私が近接得意なステータスじゃないのもあるけど……単純にドレミさんが強い。
訓練用の木刀で相手してもらってるんだけど全部綺麗に捌かれる。逆に私はポカポカ攻撃食らっちゃってる。
「い、痛い……なんでそんなに強いんですか?」
「まぁ、剣術とかやってたからね。大会とかも優勝してたし……流石に素人のJK相手ぐらいはできないと」
ついでに暇な時間でこの町周辺のボスたちを全員切り捨ててlvも上げてある。近接戦闘に必要なステータスの差は無いも同然。むしろ負けてそう……STRとか50くらいしか無いからね。
「フェイントが甘い。見てフェイントだと相手にバレるんじゃフェイントの意味無いよ」
「あう!」
また足を叩かれる。そして怯んだところにペチン!と追撃。ボ、ボコボコだよぉ……
(てか私……対人戦弱過ぎる)
モンスター相手にここまで苦戦する事はあんまりなかった。理由は相手があんまり賢くなかったから、本能優先でフェイントも無い真っ直ぐな相手。シャドウミミックは私の真似をしてきてたからアレだけど、真っ直ぐな相手ならヒット&アウェイで対処できてた。てかなんなら魔法で倒してばっかりだったしね。
でも対人戦は理性がある相手。見え見えのフェイントなんか引っかかってくれないし、むしろ相手のフェイントに私が引っかかる。転んで何回地面に倒れたか。
「んー……思っていた以上に素直ね。ここまでフェイントにかかりやすいとは思わなかったわ。いきなり私とやり合うのは早かったかしら」
「うぐぐぐ……」
地面に転がった私は何も言えずにいる。地面を転がった回数と頭を木刀で叩かれた回数……どっちが多かったか分からないね。
「まぁ、メイカちゃんからは魔法メインって聞いてるし……近接よりはフェイントの攻めと受けを練習しようか。これは回避とかにも繋がる技術だからね」
というわけで模擬戦はフェイント重視に変更。魔法もOKになったから近接はサブ寄りで運用だね……魔法使う前に《刺激的な初恋》と《有害的な毒愛》は一度切っておこう。
「【ウォーターバレット】。せい!」
私は音声で【ウォーターバレット】を撃ちつつ、《振付》によって【ジェットカッター】を発動。間髪入れない魔法の2連撃を放つ。
「魔法のフェイント。中々面白いね」
「そんなことを言いながら楽々と捌かないでください」
「いやー、視線でどこに飛んでくるか分かっちゃうからね」
訓練用木刀で【ウォーターバレット】は切り払われ、【ジェットカッター】は軽々と回避される。そして距離を詰められるけど【アイススパイク】で牽制……を刀の一振りで破壊される。嘘でしょ!?その氷、そこそこ硬いのに木刀で一撃破壊された。
(確かドレミさんの職業は刀系武器の扱いに特化した侍って職業。刀を強化する職業スキルがあるけど今の剣じゃ使えないって聞いてたけど……これ木刀が刀判定されてない?じゃないと極々普通の木刀が鉄の剣ぐらいの威力にならないでしょ)
(て、そんなことを考えてる場合じゃない!)
もうあれで叩かれるのは嫌だ!私は必死に回避に魔法、蹴りで対処していく。そうしてフェイントを身体に叩き込んでいった。レッスンが終わる頃には私はフルボッコ状態で地面に転がるだけのものになっていた。
(ド、ドレミさんにまともな一撃入れられなかった……1回も)
掠ったりはあったけど手応えのある一撃は1回も入れられなかった。てかドレミさん息切れすらしてないからね。
「今日はここまで……最後の方は良い動きになってきてたから頑張っていこう」
「ふぁ、ふぁい……」
疲労の沼に半身浸かりながら私は返事をする。明日は一撃入れられるように頑張ろう……




