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小悪魔ちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 小悪魔のゲームスタート
31/43

第27話



トン♪テン♪ターン♪ドゴ!!


(リズミカルなリズムの終わりがバイオレンス音なのだいぶシュールだね……)


 水の渦で動けなくなっているバレットビードルへ蹴りを入れながら思った。メモのステップで勢いを付けつつ放つ一撃……それは素晴らしい威力だったけど。側から見ればあまりにもシュール過ぎる。


「これが蝶のように舞い、蜂のように刺すってやつなのかな?」


 多分正しい意味とは違うと思うけど。昔のボクシング選手のことということしか知らない。

 なお、ステップを教えてもらって早くも2日経過してたりする。イベントも明日で終わり……はい、今日はここのボスを倒しに来ました。なので道中の敵はできるだけノーセンキュー。


「それでも寄ってきちゃうんだけどね」


 CAM高くし過ぎた気がする。《誘惑吸収》で多少はMPを節約はできるけどボス行く前に回復枯渇は洒落にならない。《誘惑吸収》も回復量3とかだし。


「無いよりマシ程度。ま、そこはどうにかステップやターンで誤魔化していこ」


 合間合間のイベントダンジョン攻略でも動きの練習したし、リアルでも1時間は鏡を見ながら練習に当ててる。あぁ、イベントダンジョンの攻略は大したことも無かった……ボスとかも今までの強化個体しか出てこないし、私の偽物も出てこなくなったからね。あれと戦えれば多少は動きの練習できたのに残念。


「ギチギチ!」


「と、【スノースモッグ】」


 私は不意を突くように飛んできたバレットビードルへ指パッチンする。音に反応するように雪煙が発生してバレットビードルを包み込む。


「ギチ!?」


「せい!」


 雪煙に怯んでいるバレットビードルに飛び回し蹴りを入れて地面へ堕とす。【スノースモッグ】は結構怯ませやすいんだよね。顔に冷たい雪を当てられれば誰でもビックリするか。

 地面に転がったバレットビードルへはゲシゲシと蹴りを入れてMPを吸い取りながら倒す。これで【スノースモッグ】分は戻ってきた。


「うーん、もうちょっと動きを滑らかにしたいな……ここはこっちと合わせるべき?」


 戦いの中で感じた問題はちゃんと振り返って直したり試したりする。こうして段々理想に近づけないと……私はメイカみたいに1回で完璧にできないからね。試行錯誤は必須。自己練習しかできてないし。

 そんな感じで進み続けること1時間半程。ボスの居場所に近づいたのかモンスターたちの数が減ってきた。周りの景色は特に変化は無いけど……なんだか甘い匂いが強くなってきた。


「ジュルルル……」


 その匂いの元までくるとそこに居たのは先が毛でフサフサな見た目の植物。毛からはベタベタしてそうな粘液が垂れて地面へ染み込んでいく。そんな植物がいくつも生えていてその中心には牙のあるラフレシアのような花が大きな口を開けていた。


「ギ、ギチギチ……」


「ガチガチ……」


 毛の生えた植物に捕まった虫たちが粘液塗れでラフレシアへ放り込まれていく。バリバリと噛み砕くような音が鈍く聞こえてきた。


「私もあの毛に捕まったらあんな感じになるのかな……」


 絶対捕まらないようにしよ。と、向こうも私に気付いたようだね。


「ジュルルル!」


 大食いラフレシアは毛の生えた植物を伸ばしてくる。速度はそこまで早くないから回避は簡単……だけどただ避けるだけじゃダメだね。


「【ジェットカッター】!」


 私は伸びてきた植物を避けながら毛の生えた部分を切断していく。毛が生えていない部分には粘液は付着してない。絡め取られて口にポイはされないはず。しかもどうやら切られた部分は再生しないみたいだね。


「なら全部切っちゃおうか」


 私は次々に伸ばされてくるフサフサを切り飛ばしていく。大食いラフレシアは意地を張るように伸ばしてくるけれど全て【ジェットカッター】で切り飛ばした。


「ジュルルル……!」


「よーし、全部切断完了」


 これで粘液には恐れずに済む。とはいえ触手自体は伸ばせるし動かせる……今もムチのように私を狙ってきてるしね。


「でも速度も乗ってないから蹴りで簡単に弾けるね」


 しかもこれ物理攻撃扱いだからMP回復できる。あのラフレシアに接近するの怖いからあっちには【ポイズンバレット】を撃ち込んで削っていく。


「というかこれ……動きの練習相手に良くない?」


 手数が多いけど油断しなければ痛手を負うことはない。手数と粘液捕縛に特化してたからなのか、フサフサを切り飛ばしてから特殊な能力使ってこないからね。そして相手の攻撃はステップと蹴りで捌けるから練習に丁度良い。


(メイカが言っていた相性ってこれのことだったのかな?)


 なら地道に削りながら私の練習相手になってもらおう。ボスエリアは他のプレイヤーが来ることも無い……1人で練習するのに良い場所。


「ジュ、ジュルルル!?」


 何かを察したのかラフレシアが伸ばしてくる植物が震えた気がした。ふふふ……大丈夫安心して。


「死ぬのは私が満足してからだから。それまで頑張って攻撃してしてきなさい」


 その後、私は満足するまで練習した。最終的には毒の削りで倒したから強制終了だったけども……最後「解放された……」みたいに消えていったのがなんかちょっと不服。


「まぁ、ボスは再戦できるから問題無いか。それじゃあ2回目と」


 MP回復の当てもあるから今から再戦。できるだけボスの素材を集めておけばメイカも喜んでくれるはず。


「…………ジュルルル?」


「またあったね。私のダンスパートナーさん?」


 まだまだ時間はたっぷりあるから付き合ってね。私はにっこりとラフレシアへと笑顔を浮かべた。


「ジュルルルルルル!!?」


「【ジェットカッター】!」


 私は手早くフサフサを除去していった。ラフレシアの悲鳴が聞こえた気がしたけど……きっと気のせい。

 そうして私は合計5体のラフレシアを倒したところで満足した。早速、素材をメイカに渡してこよう。


「沢山手に入ったネバネバ……何に使うんだろうか?」


 トラップぐらいにしかならなさそうな。絶対、私に使わせて試させてくるだろうし。


「あー、怖い怖い。私に変な悪影響が無ければ良いけど」


 帰り道に寄ってくる虫たちを蹴り飛ばしてる私の頭の中には、新しい素材を手に入れて黒い笑みを浮かべるメイカが思い浮かんでいた。


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― 新着の感想 ―
うーむ、マーダースパイダーよりさらに(主人公と)相性の悪い可哀想なボスであったか⋯⋯(遠い目) 今の所モモカが大苦戦する様なボスはドッペルゲンガーちゃんだけだったけれど、あのボス、他の人も遭遇してるん…
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