第26話
「ギチギチ……」
「おー、目に見えて威力が上がってるね。これは強い」
新しい装飾品を身につけての実戦。私が放った【ウォーターバレット】を食らったバレットビードルが1発KO。確かな威力の上昇を感じさせてくれるね。
「動作による発動で威力が落ちてるはずだけど、それを上回る威力の上昇……これだけ重ねてれば当たり前か」
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・魔法威力100%上昇
・水属性魔法威力20 %上昇
・魔法発動速度25%上昇
・魔力効率12%上昇
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《流水魔法》と《氷雪魔法》のだけなら威力120%上昇。《振付》による動作発動25%軽減も気にならないね。
あ、そうそう《振付》ちゃんと買いました。ついでに《沈黙耐性》もね。動作で発動できるとはいえあれば便利だから……7万Gしてびっくりしたけど。
(合わせて12万G……貯金の8割吹っ飛んだ)
しばらくは高い買い物できない。そんな買うものないけどね。せいぜい食べ物買うぐらいだし。
「それにしてもなんかモンスターがよく来るね。やっぱりCAMが上がったからかな?」
今や私のCAMは300オーバー。多分、私よりもCAMが高いプレイヤーは居ないだろうね。そもそもCAMなんて上げてるプレイヤー私ぐらいだろうけど。ハハハ……
「ガチガチ!」
「今度はクワガタか……ふん!」
私は右手の人差し指と中指を合わせて伸ばしブレードスタッグに向けて振る。指先から水流が伸びて大顎を開いて向かってきていたブレードスタッグが左右に真っ二つになる。
《振付》による魔法の動作は今までやっていたものをそのまま使ってる。いきなり変えると間違えそうだからね。それに普段は口頭での発動にするつもりだし。
(あといちいち設定するのがちょっと面倒)
新しい魔法が増えたらその都度設定しなきゃいけないしね。【ウォーターバレット】と【ヘイルバレット】に関しては親指と人差し指だけ伸ばすと薬指も伸ばすで変化付けなきゃいけないから考えることが多い。
そんなことを思いながらも私は指を振って寄ってくるモンスターたちを切り刻んでいった。【ジェットカッター】こういう時に便利。
「覚えたての時は弱そうと思ってたけど、何回も使ってたらこれが一番使いやすいね」
スパスパ切れてストレスがあんまり無い。あとは射程がもう少しあれば良いんだけどね。それにしても本当に今日は集まりが良いね。メイカから沢山MP回復薬を貰っておいて良かった。
「おらおらー。細切れにされたい奴らからかかってこーい……あ、ウツボカズラはあんまり来ないで」
まぁ、そんなことを言っても来るもんは来るんだけどね。そういえばウツボカズラの素材を何に使うか聞いてなかったね……消化液とか本当にどう使うんだろう?
(私が飲む薬に使われてないことを祈るしか無いね……と、染料発見)
私は他の花より一回り大きな赤い花を採取する。最初に来た時に取った花は素材にならなかったけど、特徴的な花は素材として手に入れられる。特徴的とはいえこの花畑から探し出すのはちょっと骨が折れるけどね。特に狙った色を探すのは。
「ま、メイカからは見つけたやつ採取すれば良いって言われてるし。コツコツ集めよう」
お、青色見つけた。あとは黄色があれば良いんだけどね……この3色があれば基本的には充分なんだとか。確か色の三原色だったかな?調合するのが面倒だけど殆どの色を作れるんだって。
(調合比率は頭に入ってるって言ってたけど……相変わらず物作りだと変に器用だよね)
美術の作品とかも殆ど満点だったからね。え、私?平均的な点数ですが何か?芸術はちょっと苦手……基本的に迷走しがち。
そんなこんなで私はモンスターを倒しながら素材を集めて回る。有り余るCAMのおかげもあってモンスターの素材の方がよく集まっていく。特に虫系が結構沢山……まぁ、植物系はウツボカズラ以外動けないから当たり前か。そして素材が集まるってことは経験値も溜まる……つまりは。
「lv40達成。MP回復薬カツカツになったけど……」
やっぱり魔法使ってると消費が激しい。MPの量を増やせるスキルとかあれば良いんだけど絶対高そう。そんなことを思いつつ私は新しい職業スキルと魔法を確認し……
「ん?これは」
ちょっと動揺した。え、これちょっと強くない?てかちょっと毛色変わったような。魔法はそこまでぶっ飛んでないけれど。
「ちょっと……メイカに相談かな」
困った時の経験者。薬もほぼほぼ枯渇気味だから戻らなきゃいけないしね。
(流石にね……限定的とはいえMPが回復し続けるスキルとかどうすれば良いか分からん)
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「それでこれが件のスキルね……確かに現状を考えてもヤバいね」
「やっぱり?」
戻ってきた私の新しいスキルを見たメイカの一言。やっぱり強いよね……この《誘惑吸収》ってスキル。
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《誘惑吸収》
自分よりCAMが低い相手を攻撃した時
CAMの差に応じたMPを相手から吸収する
ただし物理的な攻撃でないと回復できない
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これが私の新しい職業スキル。物理攻撃によるドレイン攻撃。まさかの蹴りの方が爆増するスキルだった……ただ誘惑士って一応魔法系の職業なのに何故物理系のスキルが?
「誘惑士自体が魔法系かと言われると微妙だけどね……βの時にlv40 まで上げた人なんて居ないだろうから判断付かないし。そもそも職業スキルって人によって違うし」
「あ、そうなの?」
「職業スキルはその人のプレイスタイルに合わせたものが増えていくんだよ。一応、各レベルで覚えるのは似たようなものにはなるけどね」
例えば剣士だと手数多めの人は《ダブルスラッシュ》を覚えるけど一撃重視の人は《パワースラッシュ》を覚えるという感じで。つまり私の場合だと状態異常がメインってこと?
(《刺激的な初恋》を覚えるまでそんな戦い方した覚えないんだけど?)
あれか?ダメージ低いとか思ってたから?酸も毒も追加ダメージ関係の能力だし……それ考えると本当にどういう職業なのかさっぱりだね。
「ちなみに魔法の方はどうだった?」
「そっちは普通に便利系が増えた。スキルと合わせればだいぶ凶悪なのもあるけど……」
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【ウォータースパイラル】消費MP:25
水の渦を作り放つ
攻撃力は低いが拘束力が高い
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【スノースモッグ】消費MP:10
細かい雪の煙幕を放つ
明るいところで使うと目眩しになる
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拘束と目潰し。だけど【ウォータースパイラル】は強酸と合わせれば溶かす拘束に、【スノースモッグ】は毒と合わせれば毒雪煙になる。思ったけど水属性系の魔法って状態異常付与できると強いね。
「あ、そうだ。そういえばダンスを教えてくれる人と連絡ついたよ」
「早くない?というか本当に居たんだ知り合いに」
顔の広さに驚いてる私に「はい、これ」と何枚かの紙を渡してきた。見るとそこにはいくつかのステップやダンスの動きが書かれている。
「その人、このゲームのソフトは持ってるんだけど忙しくてしばらくログインできないんだよね。ただ基本的なステップのメモを貰ったから一先ずこれで練習してみて」
「ふんふん……確かに戦闘に組み込みやすい簡単なものが多いね」
ステップの足捌きとかターンを用いた移動。しかも1つ1つが短めだからその場その場で合わせやすい。
「モモカなら数日で大体マスターできるでしょ……あっ、ちなみに忙しいと言っても長くは無いらしいから。イベントの終わり頃を目安に最初の町に戻る予定。だからそれまでに花畑のボス潰してきておいて」
「あそこ探索2日目とかなんだけど?もうボスと戦う感じ?」
勝てるか不安なんだけど?時期尚早じゃない?
「花畑のボスはそんなに強くないよ。というかモモカなら相性的に負けないはず……逆に今の装飾品でブーストしてて勝てないってなると予定が狂うから勝ってきてくれないとちょい困る」
「あ、そんなレベルなんだ……」
なら頑張ってくるよ。とりあえずこのメモ見てステップの練習しよ……リアルでもやっとこうかな?運動不足解消になるだろうし。私は手元のメモを見て動きを頭に入れていった。




