第24話
「ダンスを戦闘に?また面白いこと考えたね」
「そう?てかメイカは最初からその想定してたんじゃないの?この装備作ったんだからさ」
話しながらもせかせかと手を動かし続けるメイカを見つつ、私はテイクアウトしてきたお茶を啜った。あのカフェ、お茶とかの飲み物をテイクアウトできるから便利なんだよね……自分で淹れても良いんだけどちょっと面倒だからさ。
「私がそれ作ったの見慣れてたからだからね。お婆ちゃんの家でよく見てたからさ」
「あー、そういえばメイカのお婆ちゃんって衣装屋さんだったね。アイドルメインの」
私は何回か会ったことしか無いけど、結構界隈では有名な職人らしくて有名アイドルの衣装をいくつも手がけている名人。メイカが裁縫をやるようになったのもお婆ちゃんの影響が強いとか言ってたね。
「まぁ、それをお婆ちゃんに見せたら色々言われそうだな……もっと精進しないと。あ、そういえば装飾品あと少しで完成するんだけどさ。数は15で良い?」
「問題無いよ。今から枠増やすから」
偽物……ドッペルミミックを倒してポイントは必要分貯まった。覚醒玉も3つ交換済みだからいざスキル強化。
「とりあえず《着飾り》を強化しよ」
《着飾り》に覚醒玉を使用。選択肢は特に出ず《着飾り》は《傾奇者》へと強化される。な、名前……効果の方はちゃんと強いと良いな。
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《傾奇者》
装飾品の装備上限を10に増加
6個目から装備する毎に武器の性能10%減少
更に1つ装備する毎にCAMを10上昇し、敵に狙われやすくなる
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CAMの強化値が増えてるね。これでよりCAMを底上げできて強くなれる。さて残り2つは何にしよう?
「メイカは何を強化すれば良いと思う?やっぱり魔法?」
「まぁ、それが妥当かな。あとは蹴り関係もいい気がするけど……ぶっちゃけモモカのステータスなら魔法優先で良いと思う」
STRカスだしね。覚醒玉を2つも消費するのは厳しいけど……宵越しの銭ならぬ宵越しの覚醒玉は持たないで強化してしまおう。私は《水魔法》を《流水魔法》へ強化した。
『魔法が強化されたことで既存魔法が強化、統合、調整がされ新しい魔法を取得しました」
強化するとどうやら覚えていた魔法が変化したとアナウンスが聞こえた。どんな風に変わったのか確認しなきゃだね。どれどれ……
変化前
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【ウォーターショット】消費MP:10
水の弾丸で攻撃する
【ウォーターカッター】消費MP:20
水流を出し敵を切る
【ウォータースプラッシュ】消費MP:25
小分けした水の弾丸をばら撒く
【ウォータージェット】消費MP:20
足の裏から水を吹き出し移動する
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変化後
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【ウォーターバレット】消費MP5〜20
水の弾丸を作り出し射出する
消費MPを増やすことで弾の大きさ、数を変更できる
【ジェットカッター】消費MP10〜15
強烈な水流を放つ
消費MPによって威力が変化し、足裏から出すことで加速することもできる
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【ウォーターショット】と【ウォータースプラッシュ】が合体して【ウォーターバレット】に、【ウォーターカッター】と【ウォータージェット】が合体して【ジェットカッター】になった感じだね。そして《氷雪魔法》と数を合わせるためか新しい魔法が1つ増えていた。
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【ウォーターマイン】消費MP:20
踏んだ瞬間に爆発する水を設置する魔法
自分が踏んでも発動はしない
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置き地雷。中々面白そうな魔法だね。存在がバレても行動範囲の阻害はできるし、何より自爆の心配が無いのが有り難い。うっかりで踏んで自爆するとか恥ずかしいから。
「これで覚醒玉は使い切った。イベントの目的達成しちゃったけどどうしようかな?」
「あー、確かに素材に関しても充分あるしね。最近市場も飽和してきて売れ行きも悪いし」
更なる攻略を進めても良いんだけどね。でもそろそろ難易度的にキツくなってきそう……あと良い加減閉所飽きた。
「最初の町に戻るのもまだ早いし。ならこの町の先のエリアで素材集めしてもらおうかな」
「次のエリア?確か花畑だっけ?」
詳しいことは聞いてないけど、次のエリアは広い花畑で虫系と植物系のモンスターが沢山……あと染料に使える素材が多いんだったかな?
「多分、今イベント中だから人居ないだろうし。スキルを試すのに丁度良いと思うよ……あとこれ集めてきて欲しい素材のメモね」
「分かった。じゃあちょっと行ってくるよ」
私はメモを受け取って生産室を出ようした……が、ドアノブに手をかけたところでメイカに呼び止められた。ん?他に何かあったかな?
「ところでさ。今後もダンスを動きに取り入れるならダンスを誰かに教わってみたい?基礎的なことだけでも」
「んー、そうだね。ダンスのことに関しては全く知識が無いからね」
ドッペルミミックとの戦闘もダンスというよりはダンスと言い張った何かだからね。誰かに教えてもらえるなら有り難い……だけど。
「誰に教わるの?メイカはダンスとか詳しくないでしょ……そもそもリズム感覚悪いし」
「最後余計。まぁ、知り合いにダンス教えられる人居るんだよ。確かこのゲームしてるからコンタクトはこっちで取ってみるよ。どうなるかは分からないけどさ」
ふーん、メイカの知り合いね。メイカって変に顔が広いから予想つかないや。
「分かった。とりあえずそっちはお願いね。こっちはちゃんと素材集めてくるよ」
「うん、いってらー」
メイカに見送られて私は生産室を出る。さーて、それじゃあ新しい魔法を試してこよう。
◇
花の町フローラの真西。色鮮やかな花が地面を埋め尽くし、あちこちに生えている木も満開の花を咲かせている。風が吹けば花びらが舞い散り、幻想的な風景を演出している。
「モンスターが居なければピクニックしたい場所だね」
強くなればできそうだけど。私はそんなことを思いつつ足元の花を1本摘み取った。花はしばらくは手の中にあったがしばらくすると消えてしまう。んー、素材にならないものはやっぱり消えちゃうか。
「残念。まぁ、花を摘んでも花束とかにしかできないけどね」
てか使える素材を持って帰らないと怒られる。早速モンスターがこっちに来てるから実戦で新しい魔法を試しがてら素材を手に入れよう。
「ギチチチ!」
向かってくるのはカブトムシのモンスター。大きさはラグビーボールくらいの大きさ……メモの情報を見るにバレットビードルってモンスターかな?
「ギチチチ!」
バレットビードルは名前の通り弾丸のようにこっちへ真っ直ぐ突撃してくる。私はそれを見て右足を後ろに引き、ターンを描くように動いて回避する。
横を通り過ぎたバレットビードルはある程度離れたところでカーブしながら再度こっちへ向き直して突撃してくる。どうやら一度突進したら簡単には曲がれないらしいね。
「それなら狙い所だね。【ウォーターバレット】!」
私は指をバレットビードルに向ける。消費MPの増減は……これイメージで変えれるっぽいね。今回はデフォルトで使ってみる。
ビシャン!
「ギチ!」
水弾が直撃したバレットビードルは地面に墜落する。しかも角が地面に刺さって動けなくなっている……丁度良いから魔法に変化を加える練習しよ。
「MP量は兎も角、弾の数を増やすのは身振り手振りを加えた方がやりやすいかな……【ウォーターバレット】」
使う時は統合される前とあまり変わらないなぁ……そんなことを思いながらバレットビードルを倒した。よし、素材も確保。
「次は【ジェットカッター】か。こっちは攻撃面だけで良いかな」
まだ加速用の使い方は練習中。ここ広いし下は花でクッションとして使えそう……ここで練習しようかな?
「バレットビードルまた来てくれないかな?」
そんなことを思いつつメイカのメモを見ながら他の素材を探していった。




