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小悪魔ちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 小悪魔のゲームスタート
27/44

第23話



ヒュン!ドコ!ドカ!


 闘技場に雹弾の飛ぶ音。蹴りと蹴りがぶつかる音が響く。偽物との戦いが始まってそれなりに経っている。偽物との戦いは未だに決着の兆しは見えていない。

 でも始まりのように受け切られ続けているわけではない。私だって学習するんだからね。


シュ!シュ!クル、ドカ!


 私は小さく足を振るフェイントで意識を引き、一回転してフェイントに意識を引っ張られた偽物の脇腹に重い一撃を叩き込む。やっと良い一撃を入れられたね。


「でも思ってたよりも軽い……当たる瞬間に勢いを殺されたかな?」


 当たる直前に横に跳んで勢いを殺された。あの一瞬で受けに回れるの感心通り越して怖い……それ私にできる気がしない。


「いや、やろうと思えばできるのかな?こいつのコンセプト的に」


 偽物と戦っていて気づいたことなんだけど、どうもこの偽物は私にはできない行動ができないらしい。もし私にできない動きをするなら、連続バク転とかプロのパルクールみたいな行動をしてきてるだろうし。


(偽物と呼んでるけど、ドッペルゲンガーっていうのが正しい呼び方な気がする)


 私を完全に真似した影。私よりも動きが良いのは失敗することへの恐怖が無く、その場その場で最適な動きを取ることができるから。機械的な動き方で脳みそだけAI製って感じかな?


「そのせいかよく見ると動きが固いんだよね」


 そしてフェイントに弱い。そこを理解したら後は動きの中にフェイントを織り交ぜて翻弄して動いてなんとか死なずに済んでる。


(優勢になってるかと言われたらそうでもないんだよね……)


 理由は単純にフェイントのせい。普段やらないことをしてるせいで動きが悪くなってる。ゴーレムたちとかフェイント使うことなかったし、自覚できるくらいには変な感じになってる。


「まぁ、その変な動きもフェイントみたいになってるのか戦えちゃってるんだけどさ……」


「…………」


 そんなこんなで優勢か劣勢か分からない戦い。そろそろいい加減に終わらせたい……何か打開の手は無いかな?


(私のスキルでまだ使えそうなのは……《舞踏》か)


 補助効果目当てのスキル。これの効果は踊りに対してより効果を発揮してくる。まぁ、元々そういうスキルだし。問題は動きをどうシステムに踊りと判断させるか……今のところ動きがより良くなった感じがしないからね。


「とはいえ踊りというか……ダンスの経験殆ど無い」


 せいぜい学校の授業で踊ったぐらい……そういえば1回体育の先生が腹痛で代わりに演劇部の顧問の先生がこんなこと言ってたな。


「ダンスというのはこの世で最も自由なのです。他人から奇天烈な動きと言われても、それがダンスだと思えばダンスなのです」


 その後、キレッキレのブレイクダンスを踊ってたせいで変に焼き付いてる。あの人、ダンスのことだと熱血系の先生になるんだよね……見た目清楚なお姉さんって感じなのに。あの時もギャップ凄過ぎて皆固まったし。


(ダンスは自由……なら私が自分の動きをダンスと思い込めばスキルが判断してくれるかな)


 ものは試しと私は頭の中の意識を切り替えた。回避も攻撃もフェイントも全て振り付け……動きの1つ1つを個別と考えないで流れるように繋げていく。


「…………」


 偽物の私から魔法が飛んでくるけど、それもターンを描くように動いて回避、動きも自分なりに優雅に踊ってる感じで……雑な知識だけどダンスは動きの強弱が大事らしいからね。


トントン!タン!ドカッ!!


「…………!?」


 攻撃を避けた後は短くステップを踏み、相手に揺さぶりをかけながら距離を詰めて一気に蹴りを放つ。ステップに気を取られた偽物に良い一撃が入った。かなり不意を突けたのか今までで一番良い感触。


「【ポイズンバレット】!」


 私はバックステップで距離を取りながら魔法を放つ。偽物は【スノーシールド】でガードし被弾を避けるけど、視界が途切れた隙を狙って私はホップ!ステップ!ジャンプ!と回り込むように近づいた。


「せい!」


「…………!!」


 偽物が【スノーシールド】を解除した瞬間、私は渾身の飛び蹴りをお見舞いした。鳩尾辺りにクリーンヒットし、大きく後ろに吹っ飛んだ。


「よっ!無事に着地」


 かなり反動でバランス崩したけどシュタ!と着地して私は無傷。うんうん、システムがダンスと認めてくれたのかさっきよりも体幹とかが良くなってる実感あるね。


「…………!」


 吹っ飛んだ衝撃から立ち直った偽物は私に向けて魔法を撃ってくる。だけど私のコピーだからさ、指でどこ狙ってるか丸分かりなんだよね。


「来ることが分かってるなら今の私なら回避は簡単」


 私は左右にステップして魔法を避ける。【ウォータースプラッシュ】や【アイススパイク】は流石にこれじゃあ避けれないけど、あれは予備動作大きいから注意していれば大丈夫。来たらしゃがむなりジャンプするなりで対処できる。


「…………!」


「お?私の真似をしてきたね。でもなんか動きがギクシャクしてる……」


 なんかロボットが踊ってるみたいな感じ。やっぱりある程度決められた行動しかできないのかな?あの様子じゃ《舞踏》の強化も無さそう。


「せい!やぁ!【アシッドショット】!」


 私はその後も蹴りと魔法を組み合わせて偽物を削っていく。偽物も私のダンスのコピーをやめて攻撃してくるけれど、段々と良くなっていく私の攻撃を浴び続け次第に輪郭がボヤけていった。


「これで……おしまい!」


「…………」


 最後の渾身の一撃を受け、偽物は遂に黒いモヤとなって消失した。黒いモヤが消えた後には空っぽの黒い箱が開いた状態で残り、そしてボロボロと崩れていった。


「あー……疲れた」


 戦闘が終わり気が緩んだ私はペタンと座り込む。かなり頭使った戦闘した気がする……


「でもあれだね。どうやれば強くなれるか教えられた気もするね」


 スキルをどう使うのか。それを理解する良い機会になった……ダンスについても少し勉強しようかな?


「とりあえず町に帰ろう。休憩したい」


 いつものカフェでパンケーキ沢山食べたい。私は気力を出して立ち上がって闘技場を後にする。この疲労を癒すために……待っててパンケーキ。


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― 新着の感想 ―
おっともう最新話だった。一気に読み込んでしまった⋯⋯ こっちの主人公は自分で戦うが故に王道な成長物語って感じですねえ。若干戦法が害悪系だけども⋯⋯() しかしまあ、物語最序盤のスライムバッティングに…
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