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小悪魔ちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 小悪魔のゲームスタート
17/42

第15話



ヒュン!パリン!!


「ジュリリ……!?」


「んー……これ毒になってくれた?」


 花の迷宮第2階層。早速遭遇したバインヒューマに毒薬を投げつけたけれど……やっぱり植物が毒になってくれるか不安だった。


「ジュ、ジュリリ……!」


「あ、なんか苦しがってる。毒にはなってるっぽいね」


 良かった。これでバインヒューマが毒になってくれなかったらフルーツトレントに使わなくちゃいけなくなってたからね。さて毒になってくれたから《恋の一撃》が発動してるかどうかだけど……


「んー……パッと見た感じ発動してないかな?酸を浴びてた時に比べて暴れてないし」


 一応、メイカにどの程度の毒かは聞いてきた。与えるダメージとしては私の酸と同じくらい……毒と酸で多少差が出るとは思うけど、この様子じゃ《恋の一撃》は発動してない。


(《恋の一撃》は私の攻撃に追加ダメージ……毒薬を投げつけるのは対象外?)


 その辺の判別がどうなってるか気になるね……とりあえずはアイテムは対象外、スキルによる付与は対象内で覚えておこう。

 私は毒で苦しむバインヒューマにトドメを刺して先へと進んだ。なるべくサクサク行こう。ここ私と相性悪いから……lv上げって意味で。


「通路だと《誘惑の香り》での引き寄せが上手くいかないんだよね……」


 360°じゃなくて前と後ろしかモンスターが来る場所無いからね……経験値稼ぎたい時は開けた場所の方が良さそう。


(【ウォータースプラッシュ】って範囲技も覚えたしね)


 まぁ、一度攻略をし始めたからクリアするけどね……山とは違って相性が悪いわけではないし。メイカの話だとどれだけ迷っても2日でクリアできる難易度って話。言外に『攻略に2日超えたら遅い』って言われてる……2日以内で攻略してやる!

 メイカからのサイレント煽りを燃料に私はどんどん進んでいく。出てくるバインヒューマとフルーツトレントを倒して経験値と素材を入手、小腹が空いたら摘み食い。


「もぐもぐ……」


 風景が風景だから気分はちょっとした散策。おやつが向こうからやってくるからね……それにしてもモモ美味。


「ナイフ無いから丸齧りだけどね」


 果汁で手とか口周りベタベタする。それに関しては魔法で水出して洗えば良いけどね。ちょっとした裏技というか、【ウォーターショット】は水の弾を作るまででイメージを終わらせてると発射せずに水を保持できる。MPは勿論消費するから贅沢な使い方だけどね。


「フルーツナイフだけでも持っておこうかな……戦闘で使わないなら《着飾り》も気にならないし」


 小さめの刃物でもあれば便利だしね。ちょっとメイカに話してみよ……と、次の階層へ降りる階段発見。今回は少し早めに見つけられたし、薬もまだ在庫があるから私はそのまま第3階層へと移動した。

 特に変化のない風景。敵も変わらない……と思って進んでいると現れたのはバインヒューマでもフルーツトレントでも無いモンスターだった。


「ギィィィィ……」


 現れたのは萎びたダイコン……というかマンドラモドキ。普通のマンドラモドキに比べたら大きいし、何より虚な目と口が不気味。


「ギィィ……ギィィィィィ!!」


「煩!?」


 私が少し警戒しているとシナシナマンドラモドキは絶叫を放つ。あまりの音圧に耳だけじゃなくて身体全体に痺れるような感覚がする。


「ギィィィ!!」


「っ!【ウォーターカッター】!」


 私が耳を押さえているとシナシナマンドラモドキが腕をムチのように振りながら伸ばしてきた。私は耳鳴りが治らないまま迎撃する……少し狙いが逸れたけど腕は切断できた。


(あの叫び声。まともに聞くと状態異常が発生するみたいだね……)


 また叫ばれると面倒。さっさとケリを付けないと……私は耳鳴りの残る頭を働かせながらシナシナマンドラモドキへと近づき指を向けた。


「【アシッドショット】!」


 指先から放たれた強酸の弾が直撃する。強酸に対して特に耐性も無いようで、しっかりダメージが入っている。


「ギ、ギィィィ……!」


「おっと、叫ばせないよ。【アシッドスプラッシュ】!」


 私は息を大きく吸うような動作を見せたシナシナマンドラモドキへ更に追撃を入れる。攻撃が当たれば怯ませられる……特に強酸は結構よく怯んでくれる。身体が溶ける感覚は耐えられないみたい。


「ギ……!」


「せーの!」


 叫びを出せず動きが止まったシナシナマンドラモドキを私は蹴り飛ばした。かなり酸を浴びせてるしHPは僅かな筈……



「ギ、ギ、ギィィ……」


 見立て通りHPが僅かだったシナシナマンドラモドキは宙を舞いながら光に変わっていった。さてさて、こいつはなんて名前なのかな?


「レッサーマンドラゴラ……マンドラゴラの苗株ね」


 モドキじゃなくて一応本物だった。なんかごめん、ずっとモドキって呼称してて……


「こいつのことメイカから聞いてなかったね……」


 本サービスからの追加なのか、いつもの悪戯か……分からない。ただこれの素材も集めた方が良いね。薬の素材になりそうだし。


「今度は見かけ次第攻撃だね。叫ばれたら厄介だし」


 叫ぶまでに隙があるから強酸浴びせればOK。レッサーマンドラゴラの対策はあるから行ける筈。問題は……


「ジュリリ……」


「ギ、ギィィィィィ……」


 他の奴と一緒に出てきた時だね。ここに来て複数相手か……しかもバインヒューマが前衛のように前に出ている。


(【アシッドスプラッシュ】を使えば対処は可能)


 問題は振り分けた【アシッドスプラッシュ】で叫びを止められるかどうか……


「ここはバインヒューマは無視するしかないか」


 先にレッサーマンドラゴラを落とす。私は敵に向けて走る。距離を詰めてバインヒューマがレッサーマンドラゴラを庇えないようにね。


「ジュリリ!」


「邪魔!」


 私に向けて腕を振り上げてきたバインヒューマの脇腹へ蹴りを入れ体勢を崩す。そして今にも叫びそうなレッサーマンドラゴラへ指を向ける。


「【アシッドショット】!」


「ギ、ィィ!?」


 レッサーマンドラゴラは顔に強酸を浴びて叫びがキャンセルされる。その隙に追撃を入れようとしたけれど……


「ジュリリ!」


「うぐっ!?」


 体勢を立て直したバインヒューマの攻撃を背中に受けた。やっぱり私のSTRじゃ大した時間稼ぎにもならない……しかもVIT低いから結構食らっちゃった。


(防具が初期のままだったらマズかったかも)


 【ウォーターカッター】で足でも切断してやれば良かったかな。過ぎたことはさておき私はレッサーマンドラゴラの脇を抜けるように移動して距離を取った。


「【アシッドスプラッシュ】!」


 反転しすぐさま私はバインヒューマとレッサーマンドラゴラへ攻撃を加える。回復なんてしてるとレッサーマンドラゴラが叫び出すかもしれない。幸い、バインヒューマは遠距離攻撃が無いからレッサーマンドラゴラへ弾を集中させる。バインヒューマには3発で充分……だって。


「自分が攻撃されたら仲間を守ろうなんて考えないよね?」


「ジュリリ!」


 私の見立て通りバインヒューマは自分に向かってくる弾を防ごうとして動きが止まった。レッサーマンドラゴラも何発もの弾を食らい継続ダメージで力尽きる。あとはバインヒューマだけ。


「さっきのお返し。【ウォーターカッター】」


 私は指を伸ばして縦に振り下ろす。バインヒューマは水流で頭から真っ二つになる。胴体を横に切断じゃまだ動けそうだけど……縦に切れば動けたとしても踠くくらい。私の勝ちは揺るがない。


「ジュ、リリ……」


 私はバインヒューマが光になって消え去るのを確認した。ふぅ……変に疲れた。というか背中ヒリヒリする。


「HP回復しなきゃ……」


 MPも回復させないとね。結構飲まないとだからちょっとMP節約しながら戦わないと……割りかしタプタプになりそうだからね。


(複数戦。思っていたよりも戦えたけど……やっぱり経験が無いから色々失敗したね)


 特に蹴り。STR低いから思っていたよりも威力が無くてバインヒューマの復帰を見誤った。スキルがあっても近接職じゃないとまともに扱うのは難しいかな。そもそもの話、私の蹴りは素人がなんとなくでやってる蹴りだし、スキルの力を100%発揮できてないのもある。


「次の階層へのゲートを見つけたら進もうかと思ったけど……蹴りの参考動画でも見にログアウトしようかな」


 魔法をメインにしていけば蹴りなんて必要無いけど、スキル買っちゃったから蹴りもある程度は使えるようにしたい。それに何より……


(蹴りが扱えなかったらオススメしてきたメイカに絶対煽られる)


 それだけは絶対に嫌。私の脳裏に黒い笑顔のメイカの表情が浮かびかけたのを頭を振って追い払いつつ、先へと進んでいった。



 

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