第14話
花の迷宮に入って30分程経過した。フルーツトレントはオレンジの他にリンゴとモモが居て、どちらも大変美味しかった。特にモモは本当に美味しくて1番のお気に入り。
「食べられるアイテムを落としてくれるモンスター、今まで倒してこなかったからね」
ほとんど虫と戦ってたから。仮に食べられるものが手に入ったとしても虫はちょっと……クモとか確かカニみたいな味がするらしいけどさ。
「それにしても……レベル上がりにくくなるって聞いてはいたけど、ここまで上がらないとは思わなかったね」
このダンジョンに入ってそこそこ戦ったけど……lv1しか上がってない。必要経験値5倍くらい増えた?
(lv30まで上げるの割と苦労しそう……)
このペースだとイベントまでには上げられないよね。数を倒そうにも私は火力自体は低め、《恋の一撃》と《刺激的な初恋》のダメージ加速コンボも強いけど劇的に戦闘時間が短くなるわけじゃないしね。地味に強いだけだし。
「ふーむ……やっぱり火力不足は課題だね」
現状、補強するなら装飾品を強くする感じかな。そういえばそろそろ新しい装飾品ができる頃だね。メイカが今日明日には用意するって言ってたから……1回帰った方が良いかな?
「多分、そろそろメイカが教えてくれたあれがあるはずなんだけど……」
私がキョロキョロと進んでいると不意に広い空間に出た。そこには青色の水晶と入る時に触れた揺らめくゲートが設置されている。
あれはセーブポイントと次の階層へ移動するゲート。ダンジョンは複数の階層に分かれていてこのダンジョンは5階層。青い水晶は町へと帰還できて、次入る時に最後に触れた水晶から再開できる。
「素材を渡すのも兼ねて確認しに帰ろっと」
私は水晶に触れる。一瞬の浮遊感を感じたかと思うと私は町の広場の隅っこに立っていた。こんな感じで帰るんだ。
「えーと、メイカは多分ギルドだよね?」
この町のギルドは今居る広場から近い。私は念の為に地図を確認してからギルドに向かった。新しい装飾品できてるかな?
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「装飾品?あぁ、ついさっき届いたよ……月涙石がだいぶ難敵だったみたい。まぁ、こんな序盤で手に入れるのレアケースだし仕方ないだろうけど……琥珀の方はあっさりできたみたい」
ギルドの生産室。手元に毒々しい見た目の液体が入った瓶を置きながらメイカは立ち上がった。その液体の正体は聞かないでおこう……多分、碌でもない代物っぽいし。
「まず琥珀の方は指輪ね。今着けてるやつに比べて細めだから指は動かしやすい筈。月涙石の方はネックレスだね」
机の上に置かれた装飾品。磨かれた琥珀を細い木の繊維で編み込むように作られた指輪に涙の形に整形された革紐のネックレス。効果の方も今着けているものよりも強い。
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・魔琥珀の指輪
魔法威力6%上昇
▷説明
トレントの琥珀をスプラウトトレントの繊維で編み込むようにして作られた指輪
魔力の通りが良く、魔法使いには重宝される
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・月涙石のネックレス
魔力効率12%上昇
▷説明
月涙石のネックレス
周囲の魔力を吸収し魔力の効率を良くする
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「魔力効率?これどういう効果なの?」
「魔力効率はMPの消費軽減だね。消費分軽減というよりは使った後に%のMPが回復するって感じ」
なお、小数点以下は切り上げ。【アシッドショット】を使った場合は20の12%である3回復するって感じ。強い魔法を使うなら嬉しい効果だね。
(終盤ほど活躍しそう)
序盤だと恩恵感じ難い系。消費MPが少なめだと1とかしか回復しないだろうし……でも小さな節約も大事だからね。
「そういえば強酸の方はどうだった?使えそう?」
「うん。だいぶ良い感じだった。《恋の一撃》とシナジーもあったし」
「ん?あの残念意味無しスキルと?」
《恋の一撃》に対する酷い批評が放たれたけれど私は説明した。持続ダメージにも追加ダメージが反映されるって点にはメイカも驚いてたね。
「持続ダメージにも追加ダメージ。《恋の一撃》と似たスキルは他にもあるけれど……他のスキルでそういう話は聞いたことないね」
「本サービスからの追加ってこと?」
「んー……でも掲示板を見たところそういう話題は無いんだよね。だから《恋の一撃》だけの仕様っぽい……」
メイカは考え込むと机の上の紫色の瓶を手渡してきた。
「次ダンジョンに行く時、この毒薬を使ってみて。アイテムのダメージにも反映されるか知っときたい」
「りょ、了解……」
私は濁った毒々しい液体を見る。やっぱり毒かぁ……瓶ごと投げつけてみるかな。それ以外に毒にする方法無いし。
(植物に毒って効くのかな?)
私はそんなことを思いながらストレージに毒薬を数本入れる。それじゃあダンジョン戻るかー。
(とりあえずフルーツトレントには使わないようにしよ)
果物が毒で食べられなくなったら困るからね。食べ物を粗末にすることは許されない……これ常識。
「あ、そうだフルーツトレントの果物なんだけどさ。貰っても良い?」
「私が食べる分以外なら良いよ。でも何に使うの?メイカ料理しないって言ってたし……料理にも手を出すの?」
調薬と裁縫の2つでやっていく筈じゃ?別にメイカ、リアルで飯マズでは無いけどさ……メイカの手料理で私が食べたことあるの、米と卵だけのチャーハンにキャベツとモヤシのみの野菜炒めしかないけどさ。
「別に料理するわけじゃないよ。フルーツトレントの果物を使うと薬の味を変えられるんだよ。今の薬不味いでしょ?」
「まぁ、美味しくは無いね……それ以上に飲む量が多いのがキツイけど」
偶に《大食い》あってもウッ!ってなることあるし……不味いのは薬だから仕方ないって耐えられる。
「ちなみに回復量は増えたりは?」
「残念ながら……そっちは花の迷宮の4階層にいるモンスターの素材が必要だね。まぁ、美味しくなるから沢山飲みやすくなるよ?」
「うん。ありがとう」
味が良くなってくれるのは嬉しいね……それで飲む量が減ってくれるのが嬉しいんだけど。胃のキャパ超えそうになると普通に困る。
(次、《大食い》を強化しようかな……)
割と真面目にそんなことを思いつつ花の迷宮へと向かった。さーて、ダンジョンに毒撒きますか。




