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追放令嬢の【ドラッグストア工房】〜ヘタレ法務監査官が悪知恵と法律で敵を論破し、実は最強の氷魔法で私を過保護に溺愛してきます〜  作者: 月神世一


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『セリア薬局』、堂々のオープン! 最初の患者様は、肩こりと「25歳未婚」に悩むケンタウロス娘でした

『セリア薬局』、堂々のオープン! 最初の患者様は、肩こりと「25歳未婚」に悩むケンタウロス娘でした

チンピラ騒動から数日後。

ポポロ村の目抜き通りに、手作りの可愛らしい木製看板が掲げられた。

『セリア薬局ドラッグストア・セリア〜お薬から日用品まで〜』

ニャングルの驚異的な手回し(と、村の職人たちへの巧みな交渉術)により、空き店舗はあっという間に清潔感あふれる薬局へと生まれ変わっていた。

一階の手前半分は、前世のドラッグストアを思わせる商品棚が綺麗に並び、奥にはセリア専用の『調剤室』が完備されている。

「うふふ、ついに私のお店が……!」

セリアは真新しい白衣(【ドラッグストア工房】のポイントで召喚した前世の薬剤師ユニフォーム)に身を包み、感動に打ち震えていた。

「おう、ねーちゃん、ばっちり似合っとるで! 清楚で真面目そうで、こりゃお客さんも信用して財布の紐を緩めるっちゅうもんや!」

ニャングルがパチパチと算盤を弾きながら、いやらしい笑みを浮かべる。

「……まぁ、悪くはないですね。清潔感は医療の基本であり、法的にも衛生管理基準を満たしていると評価できます」

クロードは店の隅のテーブルで、なぜか分厚い書類の束に目を通しながら、チラリとセリアを見て小さく呟いた。

監視役のはずの彼は、すっかりこの薬局の『用心棒兼・専属弁護士』のような立ち位置に収まりつつある。

「クロード様、また難しい顔をして……。はい、今日の分の胃薬です」

「……どうも」

セリアが白湯と一緒に胃薬を差し出すと、クロードは素直にそれを受け取って飲み干した。(最近は彼の方から無言でコップを差し出してくるようになっているのは内緒だ)。

「さて、開店準備も整ったことだし、早速お薬の調合を始めましょうか!」

セリアは奥の調剤室に入り、【ドラッグストア工房】のパネルを展開した。

この数日で分かったことだが、アナステシア世界の素材をシステムに取り込ませると、前世の薬効成分と掛け合わせて『未知の新薬(チート薬)』を錬成できるのだ。

「ええと、村の特産品である『陽薬草』は、傷を治して活力を与える効果があるのよね。これに、私のポイントで召喚した『ハイドロゲル(水分をたっぷり含んだ冷却素材)』と『メントール成分』を掛け合わせて……」

セリアが空中のパネルを操作すると、淡い光とともに、ピップリと冷たくて柔らかい、四角いシート状の物体が完成した。

「よし! 『陽薬草の極楽・冷感湿布』の完成! これなら、どんなひどい筋肉痛や肩こりも一発で治るはずよ!」

セリアが完成した湿布の香りを嗅いで満足していると、カランコロン、と店舗のドアベルが鳴った。記念すべき、第一号のお客様だ。

「いらっしゃいませ!」

セリアが笑顔で飛び出すと、そこには驚くべき姿のお客が立っていた。

上半身は美しく引き締まった人間の女性。しかし腰から下は、艶やかな毛並みを持つ屈強な馬の姿——ケンタウロス族だ。

彼女は銀色の鎧を身に纏い、背中には巨大な鎖と、ひどく重そうな鋼鉄の盾(パイルバンカー付き)を背負っている。

「あ、あの……ここが、新しくできたという薬局、だろうか……?」

「はい! ドラッグストア・セリアへようこそ。どうされましたか?」

「私は、この村の自警団リーダーを務めているマンミアという……。実は最近、ひどい肩こりと腰痛、それに全身の倦怠感に悩まされていて……村の者から、すごい腕の薬師が来たと聞いて藁にもすがる思いで来たのだ」

マンミアは25歳。元はルナミス帝国の騎士団長というエリートだが、村人たちを守るためにこの辺境の自警団へと下野した生真面目な女性だ。

しかし、彼女の顔には深い隈ができ、今にも倒れそうなくらいに疲労困憊していた。

「それはお辛かったですね。その重そうな盾や武器を毎日背負っていれば、無理もありません」

セリアが優しく声をかけると、マンミアはポロリと本音をこぼした。

「武器が重いだけではないのだ……。最近、村の若いカップルを見るたびに、胸の奥がキリキリと痛んで……。私など、ケンタウロス族なのに殿方を背中に乗せたこともない未経験の処女馬……。もう25歳だぞ? この世界では16歳で結婚するのが当たり前なのに……タローマートの半額シールが貼られたクリスマスケーキを見るたびに、自分のことのように思えて涙が止まらないのだ……うぅっ」

ズーン、とマンミアの背中に暗いオーラが立ち込める。

生真面目な女騎士の、あまりにも生々しい『25歳未婚の独身コンプレックス』からのストレス性疲労。

セリアは前世での自分の姿(夜勤明け、ワンルームで一人カップ麺をすするクリスマス)と彼女を重ね合わせ、思わずホロリと涙ぐんだ。

「分かります……! そのお辛い気持ち、痛いほど分かりますよ、マンミアさん! さぁ、こちらの椅子に掛けてください。今、最高の癒やしを提供しますから!」

セリアはマンミアの鎧を丁寧に外させると、先ほど錬金したばかりの『陽薬草の極楽・冷感湿布』を取り出した。

そして、ガチガチに凝り固まったマンミアの首筋から肩口にかけて、ピタッ、と湿布を貼り付けた。

「ひゃうっ!?」

マンミアの口から、屈強な騎士らしからぬ、可愛らしい悲鳴が漏れた。

「な、なんだこれは!? 冷たくて、ぷるぷるしていて……それなのに、貼った瞬間からじわぁっと筋肉の奥深くまで温かいような、不思議な力が浸透してくる……!」

「陽薬草の回復成分を、前世……じゃなくて、私の故郷の特殊なゲル素材で閉じ込めた特製湿布です。メントールが効いているので、スーッとして気持ちいいでしょう?」

「あぁ……あああっ……! 溶ける……! 重い鎖とパイルバンカーで酷使した私の肩甲骨が、とろけていくようだ……! 25年間、誰も癒やしてくれなかった私の体が、満たされていく……!」

マンミアは目を閉じ、恍惚とした表情でだらしなく口元を緩ませた。下半身の馬の尻尾が、嬉しさのあまりバサッバサッとちぎれんばかりに揺れている。

「ついでに、こちらの【最高級・滋養強壮栄養ドリンク】もどうぞ。ハニーかぼちゃの蜜で割ってあるので、甘くて飲みやすいですよ」

「ごきゅっ、ごきゅっ……ぷはぁーーっ!! 美味い!! なんだこれは、体の底から闘気エネルギーが爆発するようだ! これなら、明日の合コン……いや、パトロールも全力でこなせる!!」

完全に回復したマンミアは、ガシッとセリアの両手を握りしめた。

「ありがとう、セリア殿! あなたは女神だ! この湿布と栄養剤、自警団の経費で箱買いさせてくれ!」

「まいどありぃぃぃっ!!」

セリアが答えるより早く、横からニャングルが猛烈な勢いでスライディングしてきた。

「マンミアさん! 自警団への定期納入契約なら、このニャングルにお任せを! 今なら初回ロット、20%オフで契約しまっせ! ついでに独身男性の紹介オプションもつけたろか!?」

「ほ、本当か猫耳の商人殿! ぜひ頼む!」

「よっしゃ、商談成立や! ねーちゃん、いきなり超大口の固定客ゲットやで!!」

カチャカチャカチャッ! と、ニャングルの算盤が火を吹くような勢いで弾かれる。

セリアも、自分の作った薬で目の前の患者が元気になってくれたことに、心からの喜びを感じていた。

(よかった。私の知識とスキルで、この世界の人たちを助けることができるんだわ!)

「……コホン」

和やかな空気を切り裂くように、わざとらしい咳払いが響いた。

クロードだった。

彼はツカツカとセリアの側に歩み寄ると、マンミアとニャングルの前に立ちはだかるようにして、鋭い視線を向けた。

「自警団との大口契約は結構ですが。……いいですか、セリア嬢の労働時間は、帝国労働基準法に則り、1日8時間、週休2日を厳守していただきます。深夜の急な呼び出しや、過度なノルマの押し付けは、この監査官である私が決して許しませんからね」

「え……?」

突然のクロードの牽制に、マンミアが目を白黒させる。

クロードは冷ややかな表情を崩さず、しかしその背中でしっかりとセリアを庇うように立ち塞がっていた。

「彼女はただでさえお人好しで、頼まれたら倒れるまで薬を作りかねない性格なのです。彼女の健康と安全を管理するのは、私の重要な『法務』ですので。……ご理解いただけましたね?」

「は、はぁ……」

(クロード様……私のこと、そんなに心配してくれていたの?)

セリアはクロードの広い背中を見つめながら、ぽっ、と頬を染めた。

「監視役」と言いながら、彼が一番セリアのことを過保護に甘やかそうとしていることに、クロード本人は全く気付いていないようだった。

かくして、お人好し薬剤師、過保護なヘタレ監査官、ツンデレ猫耳商人の三人が運営する『セリア薬局』は、波乱と大繁盛の初日を迎えたのであった。

第4話をお読みいただき、ありがとうございます!

『セリア薬局』、ついにオープンしました!

記念すべき最初の患者は、自警団リーダーのマンミアさん(25歳・未婚)。強くて真面目な騎士なのに、結婚への焦りで闇を抱えている彼女ですが、セリアの「特製湿布」で無事に昇天(?)してくれました(笑)。

そして、ニャングルの商魂たくましさと、クロードの**「お前ら、俺のセリアを過労死させる気か!」**と言わんばかりの超過保護な牽制!

クロードは「法務のため」と言い張っていますが、完全にヒロインを囲い込みにかかっていますね。

いよいよ次回、ニャングルのえげつないビジネスプランが動き出し、セリアの薬がポポロ村の「三か国の兵士たち」の胃袋と健康を牛耳り始めます!

「マンミアさん可愛い!」「クロードの過保護っぷりが最高!」「湿布のチート、気持ちよさそう!」

と思っていただけましたら……!

ぜひ、画面下(または上)にある、

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【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価・応援をお願いいたします!

皆様からの応援ポイントが、次話を書き上げるための【特製・滋養強壮ドリンク】になります!

引き続き、第5話もお楽しみに!

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