表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/34

夢の通い路

 彼はただ、走っていた。


 殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺


「……っ」


 どこかで、誰かが。

 あえいだ気がした。

 高く、澄んだ声。


 殺せ。

 頭の奥で誰かが叫ぶ。

 殺せ。手遅れになる前に。

 殺せ。殺せ。

 死にたくないんでしょう?

 声が、踊る。「白い悪魔」が、すべて染め上げていく。思考も、感情も——


〝何度も死にたくなった。何度も廃人になりかけた。何度も狂いかけた。それでも必死であがいて苦しんで生き続けたのはきっと……、きっと、今日のため〟


 ——いつの、声だろう。


〝さすが、俺の派手髪仲間〟


 知ってる声。それぞれつぐみさんと瀬戸さんの声だ。でも、知らない言葉。


〝できれば、殺生病感染者を殺したくはない〟


 また、聞いたことのある声だ。今度は医長さん。でも、そんなこと言われた覚えは。


〝もし、よかったら、なんだけど……その、このあと……い、一緒に勉強会、とか……〟

 知らない、声だ。遠慮がちで、それでも信念を感じる声。こんな声、帚木慶ボクは知らない。


〝おれは見届けるだけだ。おれは最古参で、白道優人のルームメイトで、お前の友達だからな〟


 この、すべて任せられそうな頼もしい声も。


 なのに、どうして。

 どうして、こんなにも鮮明に「思い出せる」んだろう。

 ボクは——。


〝惨殺、だった〟


 ——誰の、声だろう。


〝内臓をぐちゃぐちゃにした。腸は細切れだったし、心臓は握りつぶした。本当はそこまでする必要ないのに、ぼくはいつもそうやって殺してきた。――――蛍も、最初のルームメイトも〟


 知らない光景だ。


"そんな『白い悪魔』と、きみは仲良くなりたいっていうの?"


〝優しくて正しい人だと思った〟

 

 違う、知ってる言葉だ。


 痛い。心臓じゃない。頭、額の奥。痛い。ボクは——


 痛みの向こう。

 尋常じゃない音。例えば、誰かを蹴り飛ばすような音。

「っ天花! 大丈夫?」

 知っている声。でも、記憶よりも明瞭な響き。その声は。

「つぐみ? なんでここに?」


 頭痛。内側から無理に押されているような、ひび割れていくような、そんな痛み。

 でも、この体は走っていた。





 そして。

 この手は、刀になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ