選抜が始まる
「あそこに立て」アルドリックは第一グループとは反対側の的を指差した。
教官の言葉とディランが別の方向へ歩いていくのを見て、何人かが期待を膨らませた。
「セラ」
「はい、教官」ピンクの髪の女子生徒が答えた。
構えを取った。少しの後、彼女が戦闘を始めた。
防御を崩さずに力強い斬撃を繰り出し、アルドリックに反撃の機会を与えなかった。
教官が一歩踏み込むと、同じ力で後退した。その戦い方は激しくも抑制された突風のようだった。
アルドリックが構えを変え、防御に意図的な隙を作った。セラはそれを見逃さず、勢いよく踏み込んだ。
罠だった。近づいた瞬間、アルドリックが一瞬で武装解除した。
「優れたスタイルだが、経験不足がそれを補いきれていない。攻撃のペースを落として経験を積め。第二グループ」
「はい、教官」微笑みながら答え、ディランたちのいる方向へ歩いていった。
時間を置かず、アルドリックは試験を続けた。
「攻撃への恐れが大きすぎる。第一グループ」
「動き方が非常に不安定で、戦闘の流れを読めていない。第一グループ」
「参加したくありません、教官」
「体力は非常にいい、それを使い続けてプレッシャーをかけろ、ただし周囲を疎かにしすぎている。第二グループ」
生徒たちが次々と前に出た。
「カイン」
カインは笑顔で返事もせずに歩いた。
「俺の気が散る黒髪」アルドリックがつぶやいた。
前日の実演を思い出してひそひそ話をする生徒が何人かいた。
カインがアルドリックの前に立つと、すでに見せていた構えを取った。
他の者たちと違い、アルドリックが最初に動き、カインの意表を突いた。
剣が一度、二度、三度ぶつかり合った。
アルドリックがさらに踏み込んで動ける空間を奪うと、カインは体全体を回転させてマナをまとった蹴りを放った。
教官は片手でそれをブロックした。激しい打ち合いのリズムに、他の生徒たちが静まり返った。
アルドリックが横一文字に斬り、カインは体全体を低くしてかわした。
教官のサーベルの下をくぐり、マナをまとった刃を力強く持ち上げた。
アルドリックは体を後ろに傾けてかわした。カインはバランスを崩しそうになり、素早く後方へ跳んだ。
アルドリックは額に手を当てた。「お前の動きが自分を裏切っている、まるでマンドブルを持っているかのような動き方だ」
カインは唇を尖らせた。「俺のせいじゃない、こんな爪楊枝を使わされているんだから」
「それでも、このおもちゃでも役に立てる方法がある」
「見せてみろ」アルドリックは構えを取りながら答えた。
カインは笑い、サーベルの鞘を掴んだ。マナをまとった腕で力強く投げつけた。
アルドリックはその速さにかろうじて気づき、間一髪で鞘をかわした。直後、小さなマナの爆発音が聞こえた。
カインを見ると、すでに距離を詰めていた。その足元には小さな軌跡が見えた。
「体でもその技が使えるのか!?」アルドリックの考えが口から出た。
詰めた距離を活かし、カインはサーベルにマナをまとわせながら持ち上げ、アルドリックに自分のサーベルを頭上に構えさせた。
それが囮だと気づいたのはそのときだった。カインが蹴りを放った。マナをまとった脚が小さな爆発を起こし、教官へと向かった。
アルドリックは体を回転させ、片手で頭上のサーベルを維持して最初の攻撃をブロックしながら、もう片方の手で蹴りをブロックした。
その衝突が訓練室に響き渡った。
蹴りをブロックした後、教官の体が自動的に動いた。
衝突の勢いを使った回転で、カインの顔の右側に向けて高い蹴りを放った。
アルドリックはクリーンなインパクトを感じ、目を見開いた。自分の攻撃が当たるとは思っていなかった。
まるでカインがその攻撃に反応しなかったかのように。
学生は教官から数メートル先に倒れた。
「大丈……」聞き終わる前に、カインはすぐに立ち上がった。
「はい、大丈夫です、少し気が散っただけです」痛みを隠しながら答えた。
アルドリックは安堵のため息をついた。
「お前の戦い方は非常に特殊だ、防御に亀裂を生じさせかねないリスクを取っている」
「それに、ああいう戦い方は消耗が激しい。マナの使い方を大切にしないといけない」
「だがお前の本能は鋭い。非常に鋭い。マナのコントロールは高度だ。ヴォイドストライダーの中でも高い水準にある」
アルドリックは微笑みそうになった。それが辛く感じたのは、選抜の目的を思い出したからだった。
「第二グループ」
カインはうなずいて、笑顔のまま背を向け、ディランたちのほうへ歩いていった。
ディランはカインを称えるために手を上げようとしたが、途中で動きを止めた。視線が下がった。
カインは友人の仕草が止まったことに気づかなかった。ディランの隣に立ち、顔の右側に手を当てた。
ディランは首を振った。「なんて激しい戦いだ……」
見せていた笑みが、カインが顔を撫でているのを見た瞬間に消えた。
拳を強く握った。
「カイン」声に心配以上のものが混じっていた。「大丈夫か?」
「うん、うん、心配するな……少し熱くなりすぎただけだ」カインはゆっくりと手を下ろしながら答えた。
「本当に?怪我してるみたいだ……目が」ディランが一歩前に出た。
表情が真剣になった。握っていた拳がわずかに震えていた。
カインは姿勢を変えず、視線だけを動かし、左目で友人を見た。
「頬に当たったんだ、目じゃない。心配するな、かすっただけだ」
カインは笑って笑顔を向けた。ディランの顔の険しさと対照的だった。
「お前は……」
ディランがその言葉の続きを言う前に、別の生徒がアルドリックと戦う音が遮り、そちらに目が向いた。
音が少し激しくなってから、突然止まった。
「マナの強度とコントロールは非常にいい、ただし攻撃の姿勢と形が非常に硬い。第二グループ」
「グループに五人揃った、本格的な訓練が始められる」カインは笑顔を崩さずに言った。
言い終えるとさらに笑顔が広がった。
「そうだな……もうすぐ……」ディランは同じ熱を込めることができずに答えた。
試験はグループ分けが完了するまで続いた。
第一グループは十三人だった。
第二グループは七人で構成されていた。
「第一グループ、今し方与えた観察点を練習しろ。第二グループ、俺についてこい」
七人が教官に続いて部屋の奥へ向かった。
簡単な説明の後、全員が構えを取った。
アルドリックは短い打ち合いをしながら、一人ひとりの課題に集中した。
学生から学生へと渡り歩き、休む間を与えなかった。訓練の強度が上がっていった。
ときおり他の生徒たちが見ていた。その顔に映る不快感は、彼らが感じる息苦しさを映していた。
ルカンは振り返らず、最後の一時間を自分自身に捧げた。
十三人にとって授業は早く終わった。残りの七人にとっては必要以上に長く続く地獄だった。
アルドリックは壁に嵌め込まれた時計を確認し、サーベルを鞘に収めた。
「鐘が鳴る前に十分間休憩を取れ」
汗だくになって床に倒れ込み、息を取り戻そうとした。
アルドリックは急いで他のグループの生徒たちのほうへ歩いていった。
「練習してきたことを見せてくれ」
打撃の音と教官の修正の声が、カインたちには歪んで聞こえてきた。
鐘の音はすぐに来た。
「明日、遅れてくるな」アルドリックは第一グループの生徒だけに向けて言った。
ルカンは直接出口へ歩いた。ただ出る前に、床からゆっくりと立ち上がる七人の生徒たちを振り返った。
その視線が一人に釘付けになり、口から小さく舌を打つ音が漏れた。
「今日はきつかったな」ディランが言い、カインに手を伸ばした。
カインはその手を握り、ディランに支えてもらいながら立ち上がった。「教官から憎しみが伝わってきた気がした」
「ははは、俺もそう思った」ディランが笑った。
最後の生徒たちが部屋を出ていった。アルドリックは疲れた笑い声を上げながら出ていく最後の二人を、物思いに沈んだ目で見送った。
「……これでもまだ、気が重い」つぶやいた。
訓練室の外では小グループが散らばっていた。その中で二つの人影がメイン通りから外れた。
会話はどんどん白熱していき、抑えようとしていた穏やかな声がじわじわと大きくなった。
「本当にそう思うのか、カイン?」ディランは必死に抑えながら聞いた。
「そうだよ!話したら心配させるだけだ」カインが続けた。
カインがそう言った瞬間、口論になった。声が広がっていく。
「それは守ることじゃない、遠ざけることだ!」
「いつから物事を隠すようになった!?」
カインの表情が一変した。ディランのほうへ近づき、上着を掴もうとした瞬間、遠くから声が聞こえ、すぐに向き直った。
「ごめん、みんな!」エラーラが走りながら叫んだ。「また遅れちゃった」
「エラーラ……」ディランは腕を後ろに引き、拳を強く握った。
「エラーラ」落ち着いたトーンに聞こえるよう、声のトーンを上げて繰り返した。
彼女は走ってきたが、二人の様子を見て速度を落とし、ゆっくりと近づいてきた。
エラーラとディランの目が合った。
エラーラは喉を難しそうに鳴らした。
「何があったの?教官に叱られたとか言わないでよ」
ディランは何か言おうとした。言葉の前に止まり、すぐに不自然な笑いを漏らした。
「今日の訓練でカインが教官に蹴られた」
「本当に?大丈夫?」エラーラは彼のほうへ近づきながら聞いた。
カインは歩き始め、彼女を見ずに答えた。「うん、大したことない。ごめん、トイレに行きたい」
「先に行ってて、すぐ追いかける」
エラーラはその場に立ち止まり、ただ彼が訓練室へ入っていくのを見ていた。
「何があったの?カインがあなたを掴もうとしていたのが見えた」
ディランは視線を落とし、自分の考えを整理するための数秒を取った。
エラーラは向き直り、心配そうに彼を見た。
「俺がカインを少し追い詰めた。アルドリック教官との訓練の後……ネテリアに行くまでまだまだ俺たちには足りないことがあると言ってしまった」
ディランの言葉がかろうじて口から滑り出た。
「なぜそんなことを言ったの?あいつがどんな人か知ってるでしょ」
「心配させたら、一人でやろうとするだけだよ」
エラーラはカバンの紐を握り締めながらため息をついた。
「彼が……ということはわかってる」
「私たちが彼と一緒に行ける準備をしなきゃ」エラーラは微笑みながら言った。
ディランの呼吸が止まった。それを自然に見せるためにただうなずいた。
「じゃあ昨日と同じ場所で何か食べながらカインを待とう」エラーラは食堂へ向かって歩きながら続けた。
ディランは黙って後に続いた。
二人は訓練室から離れていった。
その内側では、カインがトイレで鏡を真っすぐ見ていた。
蛇口を捻り、冷たい水を顔に浴びせた。一度、
二度、
三度。
(なぜディランに怒るんだ、馬鹿野郎。あいつのせいじゃない。)
カインは自分を見下す目をやめた。
(迷うな。もうやるしかない。)
(誰も傷つけるな。一人でやれ……)
カインは出口へ向かって歩き、扉のすぐ手前で立ち止まり、目を閉じた。
(止まるな。お前にその権利はない。)
外に出ると、アルカノーヴァを風が吹き抜けた。今回はより冷たく感じた。




