クロスゲート
ただ一瞬だけ変わった。教室の高い席にカインが座っているのが見えたとき。
ディランは上がって、カインの隣に座った。
「廊下で先生を見かけた、もうすぐ来ると思う」
「つまずくか、幽霊に驚かされて来られなければいいんだけどな」カインは笑いながら言った。
「理論の授業が二連続はお前にとって拷問だよな」ディランは笑いながら返した。
「コルヴィンの授業は」カインはため息をついた。「満月ごとに一回でいい」
「いや、ゼロ回がいい。ゼロ回を希望する」
学生たちはかろうじて話していた。言葉に乗るため息がすでに疲れていた。
扉が蹴破られたかのように開いた。
「おはようございます!ミラ先生です、マナの理論と応用クラスへようこそ!」
自己紹介を終えると両腕を広げ、反応を期待した。何もなかった。
目の前にいる全員が拷問室から出てきたような顔をしていた。
「コルヴィンの後に入れたくなかったのはこのためよ」彼女は苛立ちながらぶつぶつ言った。
扉を閉めて二度跳ねると、教室の中央に立った。
「今日はマナとその応用について始めます!」
「そこ!名前は?」先生が大げさな身振りで指差した。
「トリンです、先生」
「よろしい、よろしい、よろしい」閉じた拳を口に当て、二度咳払いした。「教えて!脚で走るとき、どれだけのマナを使うの?」
「回転マナ理論で説明して。強化の公式は使わないで」
学生たちは先生を見た。まるで別の言語で話されたようだった。
トリンは息を呑んでから答えようとした。「マナを回す公式と、強化の理論ですか?」
「違う違う違う。回転マナ理論と強化の公式」
ミラは答えを待っているうちに気づいた。頼んでいた用語は四年生向けのものだった。
「そうだそうだ。まだそこは教えてなかったわ」小さくジャンプしながら、自分の隣のある場所を指差した。「気にしないで、実践は理論より上。前に来て」
トリンは教室の中央に立った。
「今、マナを使っている?」
「いいえ、先生、ただ立っているだけです」
「ダメダメダメ!使っているのよ。アルカノーヴァに認められたということは、三年間ヴォイドストライダーになるための準備をしてきたということ」
ミラは飛び跳ねながら学生の反対側に回った。「毎日やらなければならなかった最初の練習は何?」
「落ち着いた呼吸に合わせて、体全体にマナを集中させ、吸収する練習です」
「よろしい、よろしい、よろしい!その練習は十四歳から始まる。それより前はダメ!体に悪い!」
ジャンプして、両手で空気を掴むようなジェスチャーをした。
「その練習はマナを圧縮する。目的は?体、筋肉、骨をマナと融合させること」
「はい、先生、それは知っています」
「じゃあなぜマナを使っていないと答えたの?」ミラは木の定規を振り回しながら言った。
「体全体がマナを使っている、呼吸するときさえ」
学生たちはひそひそ話し始めた。言われてみれば当たり前なのに、誰も考えたことがなかった。
ミラは手で合図して、トリンを戻した。
「もっと楽しいことに移りましょう。マナを体に使って攻撃を防ぐ方法を知っている人は?」
「ランク一位に聞かなくていいんですか」ルカンが笑いながら先生に言った。
ミラは二度跳ねて近づき、彼の前に立った。
「それが私の質問だったかしら?」顔から表情が消え、目に光がなくなった。
また二度跳ねて離れ、奪っていった命のかけらを少し持ち去った。
「どう?」先生は手を上げ、耳のほうへ持っていった。
「私が、先生」カインが席から立ち上がりながら言った。
「よろしい、よろしい、よろしい!」ミラはメガネを直した。「すぐに中央へ」
カインは自分の席から降り、教室の中央に立った。
先生が木の定規をこれほど強く握ったせいで、カインは寒気を感じた。
「完璧!さあ教えて、攻撃からどう守る?」
答える前に、潜在意識が間違えるなと警告を発した。
「避けられない攻撃から守る方法はいくつかあります。一つ目はマナを硬化させること、皮膚をより抵抗力のあるものにできます」
「この技には発展形があり、特定の部位にマナを集中させることで、その部分のマナ凝縮密度を高められます」
「ダメダメダメ!」ミラは笑い声を上げた。先生らしくない笑い方だった。むしろ嘲笑に近い。
「どんな学校で習ってきたの!」
「第一段階はもう持っている!三年間マナを吸収してきたことで、骨から皮膚まで体全体が、すでに強くなっている」
「第二段階はそれに制御を組み合わせる。体の特定部位にマナを集中させる。例えば腕への攻撃がきたとしましょう」
ミラは袖をめくり、腕を伸ばした。「方法は二つ。一つはその部位にマナを追加して強化すること。これで非常に強固な防御ができるが、マナの消費が速くなる」
腕がわずかに光を帯びてから消えた。
「二つ目は体内のマナを動かして、その部位に集中させること。抵抗力は同じだが、時間がかかるのが欠点」
ミラはマナを定規に集中させ、輝かせた。カインを見て微笑んだ。
背中からかかとまで寒気が走った。
「さてここで重要な質問。第二段階でこの攻撃から守れる?」
「守れません、試したくもありません」カインは落ち着いたトーンで答えた。内心の恐怖を隠しながら。
「よろしい、よろしい、よろしい。いい答えね」ミラは定規を持ち上げ、もう片方の腕を伸ばした。
学生たちは何をしようとしているのか分からずに見ていた。衝動的な動きで、定規を自分の腕に打ち付けた。
定規が二つに割れ、もう一方の破片が飛んで天井に刺さった。
ミラはクラスに腕を見せた。満面の笑みで。
「これを第三段階と呼べる。マナをできる限り薄く集中させること」
「刃の刃先の厚さまで凝縮できれば、完璧にブロックできる。マナを無駄にしないだけでなく、強力な攻撃でさえ止められる!」
その興奮は肌で感じられた——むしろ伝染してしまうほどだった、一部の学生には。ミラは学生たちを見るのをやめ、教室を歩き回りながらつぶやいた。テーマの深さをかろうじて触れているだけだった。
「さらに素晴らしいことを言いましょう!」跳ねながら、折れた定規でクラスを指差した。
「練習すれば武器にもこの技術を使える。サーベル全体を包むのと、刃の刃先だけにマナを集中させるのは全く違う」
教室全員がミラのデモを見ていた。互いに顔を見合わせる者もいた。ミラが見せてくれた可能性の世界に感染していた。
「よろしい、よろしい、よろしい、授業を続けましょう、実践をもっとやります!」
教室の外からは、マナの音と驚きの声が聞こえてきた。
廊下は徐々に沈んでいく太陽の光で色づき始めていた。
一つの孤独な影が掃除を始めていた。講師が着るのと同じ制服に身を包んでいたが、それと異なるのは茶色のくるくるした髪だけだった。
アルカノーヴァの外、訓練場では学生たちの声がより激しく聞こえていた。
Cクラスの授業は続いていた。基本的な体力トレーニングから、規定のサーベルを使った繰り返し練習まで。
「エラーラ!姿勢のバランスが崩れている、それが斬撃のずれを引き起こしている」
「はい、教官」もう一度ポジションを取り直し、動作を繰り返した。息は上がり続け、額に汗が流れていた。
「全員、十分休んでストレッチ、今日はここまで」教官が言った。
エラーラはゆっくりと歩きながら、額の汗を拭った。呼吸は激しかったが、コントロールされていた。
体を伸ばした後、スタンドへ向かい、冷たい石の上に座った。
「はあ、やっと」エラーラはため息をついた。
一人の学生が同じようにため息をつきながら近づいてきた。
「この授業は拷問ね」
エラーラは彼女を見て、疲れた笑みを返した。
「そう、一日に二回あるなんて信じられない」
学生はエラーラの隣に崩れ落ちた。
「不公平よ。Cクラスが戦闘で少し遅れてるからって、こんなに授業を詰め込むなんて」
「アナリス!」教官の声が、隣にいた学生を驚かせ、思わず叫ばせた。
「はい、教官」
「体力が平均を少し下回っている、明日から体調改善を重点的に行う」
アナリスは視線を落とした。目から小さな涙がこぼれそうになっていた。
「はい、教官」
「エラーラ!」教官は続けた。
名前を聞いた瞬間、体が緊張した。「は、はい!教官!」
「戦闘技術と姿勢に大幅な改善が必要だ、明日からより多くの戦闘訓練を行う」
「はい、教官」
教官は歩き続け、一人ひとりの名前と観察を告げていった。
「明日は過酷になるわね」アナリスは疲れたようにため息をついた。
エラーラは頭を向けて彼女を見た。体の緊張を解きながら。「言わないで」わずかなため息が漏れた。
二人はほんの少し笑った。
「さあ」アナリスは腕を伸ばした。「最後の授業も終わった、もうすぐ鐘が鳴るわ」
エラーラは立ち上がり、学院の出口のほうを見た。
「あと六ヶ月、遅れを取るわけにいかない!」
鐘が三度鳴り、アルカノーヴァの授業の終わりを告げた。
「また明日、アナリス」手を振りながら別れを告げ、学院の装飾された正門へと歩いていった。
「また明日、エラーラ!」アナリスが笑顔で叫んだ。
同時に全学生が教室から出始めた。
歩きながら小さなグループが自然と形成されていく。太陽が傾き始める中、アルカノーヴァの空気は会話で満たされていた。
学院のメイン通りはすぐに、家路に向かう学生たちで溢れた。
エラーラは道の端に立ち止まった。視線が期待しながら友人たちを探していた、肩にカバンを持ちながら。
遠くに二つの人影が見えた。笑顔の緑の髪の青年と、強烈な黒い髪を小さな束にまとめ、その隣を漂うように歩くもう一人の青年。
安らかに眠れない霊のようだった。
近づいてくるにつれ、エラーラは少し声を上げた。
「カイン!ディラン、ここだよ」
彼女の小さなジャンプで気づいた二人が近づいてきた。
「最後の授業はどうだった?」ディランが聞いた。
エラーラは顔を伏せ、両手を見た。顔には恐怖が刻まれていた。
「四時間の体力トレーニングが少なくとも一ヶ月は続く」
「あなたたちはどうだった?」震えながらカインのほうを見た。
彼が自分と同じポーズをしているのに気づいて、少し目を細めた。
「あなたたちも重い一日だったみたいね」エラーラはディランに向けて言った。
「最後から二番目の授業がコルヴィンで、マナ理論の先生は最初はすごく元気だったけど……最終的に実践した内容を全部まとめて書かせた」
カインは手を見たまま呟いた。「ここに拷問耐性トレーニングがあるとは知らなかった」
「大げさすぎ」ディランは笑いながら背中を軽く叩いた。
エラーラは手を口に当て、頭を下げながら静かに笑った。ため息をつき、出口の方向に体を向けた。
「私はもう死んでる、早く家に帰りたい」
「俺も」ディランとカインが同時に答えた。
三人から笑いが弾けた。
ディランは出口の方向に歩き始め、友人たちを振り返った。「行こうか?」
二人が頷き、後に続いた。
メイン通りは次第に空いていった。学院が静かになり始め、遠くで掃除を続ける講師の音だけが残っていた。
三人は学院のメイン通りで足を止めた。一緒にいるときに自然と作る小さな輪が、いつものように生まれた。
空は完全に沈む前の最後の色を帯びていた。
小さな友人たちの輪は別れを告げた。
ディランとエラーラが一緒に歩き去り、カインが一人で自分の道を歩いた。
二人は無言で歩いていた。初日の疲れがまだ体に張り付いていた。
やがて道の交差点に差し掛かった。
エラーラが手を振って別れを告げようとしたとき、ディランが遮った。
「大丈夫か、エラーラ?」
「ただ疲れただけ、思ったより重い一日だった」エラーラはカバンの紐を握りながら答えた。
「そういう意味じゃないのはわかってるだろ」ディランは優しいが直接的なトーンで言った。
「心配しないで、最初の数日だけ辛いから」
二人の間に短い沈黙が落ちた。
ディランが一歩近づいた。
「カインがまたバカなことをしないよう守ると約束したのはわかってる。でも君は——」
「誰が義務だと言ったの?」エラーラはカバンを離し、真っすぐ彼の目を見た。「同じクラスじゃないからってペースについていけないと思ってる?」
ディランはその言葉を聞いて止まった。「そういう意味じゃない……ただ、君の責任じゃないと感じてほしくないだけだ」
「あなたの責任でもない……ナタンの責任でもない。三人ともカインがどんな人か知ってる……彼は自分の気持ちを話してくれないのに、それでもいつも私たちのそばにいてくれる」エラーラは苛立ちながら彼を見た。
エラーラはディランに一歩近づき、一メートルの距離で立った。「なぜ今これを言うの?一年半前に三人全員で同じことを約束したじゃない」
「わかってる、本当にわかってる……でも君が危険なことをするのは嫌だ、カインのバカなことを防ごうとするためだけに」ディランは視線をそらしながら言った。
「危険なのはわかってる、私……怖い……」エラーラは彼を見つめながら、離したカバンを握り締めた。「でもカインがまたバカなことをして、今度は戻ってこないほうがもっと怖い」
ディランは無言で顎と拳を固めた。
「今更気づいたの?あいつについていくってどういう意味か。ナタンは私たちのためにギルドを作る、あなたと私で何があっても傷つかないように守る」
「なぜ今私を迷わせようとするの?」
エラーラは一歩さらに近づきながら言った。彼女の表情に浮かぶ感情は言葉では表しにくかった。
ディランは両手を額に当てた。「君の言う通りだ、ごめん、エラーラ。ただ今日少し迷った」
「なぜ?」エラーラは落ち着こうとして一歩引いた。「何があったの?」
「ルカンが君が緊張しているのを見たと言って、カインも気づいた」ディランは両腕を下ろしながら言った。
エラーラは手を胸に当てた。「ルカンの言葉は気にしないで、あいつはこれまでのことを全部知らないし、知ったとしても問題を大きくするだけ」
「それに……カインが気づいてたって、カバーしてくれてありがとう」
「一つだけ約束してくれ」ディランは頭を上げ、エラーラを真っすぐ見た。「もし辛くなったら、言ってくれ。俺を信頼していい」
「約束する……ありがとう」エラーラは微笑もうとしながら言った。
二人はしばらく無言で立っていた。
夜が完全に覆い、それぞれの家路へと歩き出した。
夜はどんどん冷えていった。月は星空の真ん中に輝いていた。
アルカノーヴァでは小さな人影が正門を閉めていた。動きは疲れて不器用だった。
「またマエナに罰を受けたくない」疲弊しながらアルドリックはつぶやき、歩き始めた。「しかもまだクロスゲートに寄らなければならない」
目の下の隈と疲れた顔も、歩くペースを落とすことはなかった。すぐにクロスゲート——彼が副団長を務めるギルド——に到着した。
建物はゲートに最も近い位置にあった。中型の建物だったが、アルカノーヴァと同じ威圧感をまとっていた。
アルドリックは正面の扉に到着した。学院と同じ紋章で飾られていた。
「アルドリック、やっと来たわね」ギルドの管理者が声をかけた。洗練された容姿の女性で、コルヴィンと同じ風格をまとっていた。
「今はいいんだ、リオラ、今日のミッションの報告書だけ受け取りに来た」アルドリックはいつものトーンで言った。
リオラはメガネを直し、二階の一つの扉を指差した。「全ファイルをすでにあなたの机に置いてあります。早めに確認をお願いします」
アルドリックは手でジェスチャーだけで返しながら、自分のオフィスへ向かった。
到着すると、机に腰を落とした。「もうマエナを怒らせられない」
時間が流れる中、アルドリックは報告書を確認していった。二時間後、オフィスの扉が開いた。
「コーヒーをお持ちしました」リオラは机の上にカップを置きながら言った。「リーダーを怒らせるべきではないですし、感謝してください。いつものより罰がずっと軽かったです」
「明日授業があるからな」アルドリックはカップを取りながら言った。「前もって仕事を進めてくれてありがとう」
リオラは背を向け、出口へ歩いた。「こんなに遅くまで残った分の補償を請求します」
アルドリックはリオラが退出して扉を閉めるのを、ただ微笑みながら見ていた。
「あと二件だ、ここで寝ることになりそうだな」疲れた声でつぶやきながら、仕事を続けた。
もう少し時間が経ったとき、一階から強い衝撃音が聞こえた。
「アルドリック!早く来て!」リオラの声に切迫感が宿っていた。
彼はオフィスを飛び出し、受付まで階段を駆け下りた。
到着すると、一人のヴォイドストライダーが血を流して床に倒れていた。
「何があった?」アルドリックは叫ばずに声を張り上げ、ハンターの隣にしゃがんだ。
傷は深刻だったが、命に別状はなかった。
「銀色のマナに包まれた怪物たちに……襲われました」
ヴォイドストライダーは血を吐いた。胴体に傷があった。
「医師を早く!」リオラが叫んだ。
「三体の怪物に一瞬で囲まれました。そこに人間に近い外見を持った一体が現れました。あいつらを指揮していました、アルドリック」
ハンターはアルドリックの服を掴んだ。「カエルス様と共に戦いました。一体の怪物を仕留めることができたとき……あの怪物が一瞬でカエルス様の腕を引き千切った」
アルドリックは耳にしていることが信じられず、目を見開いた。
「カエルス様が撤退を命じました」言葉が途切れ始めた。「七人のヴォイドストライダーが命を落としました。申し訳ありません」
「謝るな、情報を持ち帰るのがお前の任務だった」
医師たちが走って到着し、アルドリックを脇へどかした。
「リオラ」
「はい」
「マエナに伝えてくれ」アルドリックは拳を固めながら命じた。「緊急だ」




