アサヒの名と背負う義務
カインの目が二人の頭領を行き来した。シラミネの父親には、敵意のない小さな笑みがあった。
大吾は違った。いつもの表情の下にある視線が、完全には読み取れない何かを伝えていた。
失望なのか、困惑なのか、それとも凄まじい怒りなのか。
ゆっくりと瞬きをして、黙っていられない自分を内心で罵った。
「そう……説明が難しくて」
「気にしないでください、アサヒさん。遠慮なく話してくれて構いません」
(それが問題なんだが……待って。『ちょうど目が覚めた』とはどういう意味だ。カゲヤが意識を失っていたことを知っているのか。でも会うのはしばらくぶりだと言っていた)
「シラミネ頭領、俺の見る限り、息子さんの人生にそれほど関心がないように見えます」
「ん、そう思われる理由は」
「体調を聞いていないから」
「俺たちの話を遮ったからではなく?」
「それが理由なら、最初の返しが義務についてではなかったはずです」
「なるほど。それでも、少し早急な結論では」
「俺が間違っていると思わせる話は、まだ聞いていない」
シラミネがカインをじっと見てから笑い出した。大吾は小さく頭を振って唸った。
「情報を引き出そうとしているんですね、アサヒさん」
「ああ……」
(罠にかからなかった……)
「では……俺が知らないことを教えてください」
「推測になる。それでは意味がない」
「それを言うということは、あなたも全ては知らない」
「俺は村で直接見ているのに、それを言うのは無視していることになります」
「おっしゃる通りです。でも一年ぶりの再会でしょう」
「情報交換をしてきました」
「なるほど、では問題の理由は把握している」
「かなり明確に」
「ただ、俺にはまだ聞かせてもらっていない。あなたを確信させるには、俺が知っていることを聞く必要があるのでは」
(チ……どこで捕まえられた)
「はははっ、こんなに楽しんだのは久しぶりだ。アサヒ、もっと頻繁に息子を連れてくるべきだな」
「ん。難しいが」
と大吾が答えた。
「それはそうでしょう。以前より率直になった。二人で聖花道に行くべきだったかもしれない」
シラミネが笑みを浮かべてカゲヤに向き直った。
「では、楽しませてもらった礼に俺が知っていることを話しましょう。その後はあなたが同じことをする番です」
「分かりました」
「そう……全部話すのも違うか。何と言いましたか。そう、推測になると」
(ああもう……どうしてそこまで難しくする)
「ムスビガリには俺はいなかった。忙しくしていたから、まだ話せていない」
「なるほど、息子は全てを話したくなかったのでしょう。恥ずかしいと思っているはずだ。そうだろう、アサヒ」
「それが無難でしょう」
「では……一つのことを意味します」
「そうですね」
(やっとムスビガリが何か分かる)
シラミネが立ち上がったのでカインは戸惑った。茶を追加で準備しに行くのを見て、どれだけ隠そうとしても苛立ちを隠せなかった。
完全に無言で茶を準備し終えて、アサヒの二人にもう一杯ずつ差し出した。
カインは机の下で足を叩きながら飲んだ。心の中で、シラミネの父親は楽しんで拷問をしていると誓った。
「そういえば、カケルさんとムツミさんも呼びましょうか」
(また知らない名前だ)
「必要ない」
「アサヒさんに会いたがっているはずです」
「明日出発前に会う」
二人がもう一口飲んで、ゆっくりと椀を置いた。
(また同じことが起きようとしている)
「では……ムスビガリから始めましょう。よいですか、アサヒ」
「どうぞ」
(なぜ大吾に確認する)
シラミネが椅子ごとカゲヤの方へ向き直った。
「去年、二人で話し合いました。もうすぐ二十一になる。これ以上遅らせるのは得策でない、と」
話が進むにつれて、笑みが少しずつ濃くなっていった。
「息子は納得して、タケルさんのところへ話しに行った。そしてムスビガリを始めることを受け入れてもらった。何度も村を行き来して、かなり疲れましたよ」
「ん。それはお前のせいだ、村を作ったのだから、シラミネ」
「まあ、俺だけの発案でもなかった。あなたの頭領としての姿勢がカケルさんも動かした」
大吾が小さな笑いのような唸りを返した。カインにはそれが不快だった。聞いたことのない音だった。
(二度とやらないでくれ……)
「名契り高でやり過ぎましたかな」
「競争がないと思っていたか、シラミネ」
「まさか、アサヒ。ただ思い出すと疲れる」
「慣わしだからやらなければならなかった」
「そうですね」
二人がまた茶に戻った瞬間、情報を得ていたにもかかわらず、カインは苛立ちを堪えられなかった。
(「知っていることを話す」とはどういう意味だったんだ)
「公平だったよ、アサヒ。名契り高で俺に有利にしてくれなかった」
「ん。荷車は役に立った」
「実は少しだけ……ムツミさんが俺に好意を持っていてくれたことを告白してもいいですか」
「娘が住むことになる小屋を建てた姿を見た後では無理もない」
「あの時の独り言を今でも覚えている。我々のノゾミがシラミネになることが嬉しい、と」
大吾がカゲヤをちらりと見てから続けた。
「アサヒの名前を欲しがった者は多かった。本当のことを示してみせたのは正しかった」
その言葉を聞いてカインの目が開いた。内側で何かが震えた。すぐに分かった——その返しはシラミネだけに向けられたものではなかった。
(今何が……)
「息子が教えてくれたことだが、俺も使わせてもらった」
「前もって言わなかったのは正解だよ、シラミネ」
「アサヒさんが開けた箱を活用させてもらっています」
「ん」
カインは言葉に意味を与えるのをやめて、思考に沈んだ。
(待って……ノゾミはアサヒだったのか。家族が受け入れて贈り物を渡す?競争もある?みんな若くして結婚しているとは思っていたが、シラミネの父親まで遅いと言っていた)
唾を飲んだ。かなりの力を使って下ろした感覚があった。
(泣くな、カゲヤ。そんなことはしない。できない。お前の知識なしにこれをこなすだけでも十分難しい。それ以上難しくしないでくれ……もういい。それより、五番手のことを二人に話すのは最悪のアイデアだと思う)
「アサヒさん」
(あの高慢なやつが、この二人に怒られる顔は見てみたいが。でもできない。シラミネとノゾミの関係がさらに複雑になる)
「どれだけ考えているんだ、アサヒ」
(どうすればいい。五番手はほぼ確実にアサヒの名前のためにシラミネを妨害していると思う。でもシラミネはもう結婚している。ではいったい何を得ようとしているんだ)
「カゲヤ、答えろ」
「え?何を聞き逃しましたか」
「はははっ、退屈させてしまいましたか、アサヒさん」
「そんなことはない」
「では、あなたの番です」
「待ってください、まだ俺に話してくれていない。シラミネさんの問題は何なのか」
「俺が間違っていると言っていたはずですが」
「間違っている、とは言っていない。関心がない、言った」
「その違い、大事ですね。今でも同じように思いますか」
(いいえと言ったら……)
「刀を買うことと、手入れをすることは違う」
大吾が椅子にもたれて唸った。シラミネは肘を机につけて顔を手のひらで支えた。
「息子がその義務を果たせないと言っているのですか」
「ああ……俺のことを言ったわけではなくて」
「一人で背負わせるわけにもいかない。もう六ヶ月経って、世継ぎの気配もない」
(どんな穴に落ちているんだ)
「カゲヤ、お前にはそれを言える立場じゃない」
内側で謝りたい衝動が溢れてきた。
「何が違うんですか。二人は遠くから見て、何もしないまま判断できる。それと同じです」
大吾が立ち上がろうとした瞬間、シラミネが手を伸ばした。唸りを受け取ってから——暗黙の許可のように見えた——カゲヤの方を向いた。
「では……どうすべきだと思いますか」
「聞くべきは:なぜここへ戻らせたくないのか、です」
「義務を……」
「果たさなければならない、はい、分かっています。なぜここではできないのですか」
シラミネが少し落胆したように息をついた。
「もっと楽しませてくれると思っていました、アサヒさん。その質問は多くを明かしてしまっている」
カインはその瞬間に、引っ張られるままに話していたことに気づいた。
「面白い相手でしたが、ここまでにしましょう」
「待って、まだ……」
「カゲヤ、黙れ。シラミネ、もう暗い。休む部屋へ案内してくれ」
「喜んで、アサヒ」
シラミネが妻に声をかけると、笑顔で下りてきた。
「アサヒさん、またお会いできて嬉しいです。頭領、夫がきちんとお迎えできましたか」
「そんな心配はいらない、シロカ。お二人のためにとっておいた茶を出したから」
「息吹くマナを、シロカさん。カゲヤをよろしく」
「こちらこそ喜んで。こちらへどうぞ、アサヒさん」
カインは何も言わずにうなずいて、シロカの後をついていった。シラミネの横を通る時、彼が静かに肩を掴んだ。
「学ぼうとすることは悪くない。その方法もね、予想外だったが」
穏やかに手を離しながら微笑んだ。
「まだまだ先は長いが、そこまで決意を持っているとは頼もしい。俺は間違いを認めてもそこで終わらなかった。息子に会ったら、前に進み続けるよう伝えてくれ」
「伝えます」
シロカが一階の部屋へ案内してくれた。その所作は穏やかで自然だった。
いつの間にか、彼女から感じるものをコハルと比べていた。部屋に残してもらった後、おやすみなさいの笑顔で見送ってくれた。
服を脱がずに、今日あったことを考えながら布団に入った。
目を閉じながら、木越しにかろうじて届く二人の頭領の会話に意識を向けようとした。
呼吸がだんだん遅くなっていった。断片を理解しようとしている頭とは裏腹に。
カゲヤの体にはいまだに慣れなかった。すぐに、早い時間に眠くなる。
元の体では不眠に苦しんでいた。目が覚めるのも一苦労だった。極限まで体を再生した後遺症の一つだ。
だからこそ——大吾がシラミネへの妨害に気づいていたこと、全てを把握しているわけではないこと、そこまで聞こえていたのに——眠りに落ちるのを止められなかった。




