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ネテリア  作者: Netheria
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立ち上がる者への贈り物

カインは大吾の鋭い視線の奥にある意図を読もうとした。どれだけ試みても分からなかった。




「それで」




頭領の言葉は短く、倉庫の木材そのものが重さを感じたほどだった。




「えっと……その……そのまま思っている通りです」




「自分が何をしたか分かっているか」




「あなたが思っている通りのことをした」




「問題が起きると考えなかったのか」




「……あなたが想定している通りの問題は考えました」




「ふざけるな、カゲヤ」




「遠回しにするのをやめてください」




大吾がカゲヤに近づいた。その一歩がカインの骨まで響いた。




(殺される)




その瞬間、イワカミが笑い出した。




「はははっ、正直に言った方がいいんじゃないか、アサヒ」




苛立たしげな鼻息とともに、大吾がその場に踏み留まった。カインは盾を床に置いた。




「あの技を他の者の前で使うなと禁じた」




「囲まれていました」




「なぜクロサワは報告しなかった」




「俺のを見ていない」




(少なくとも剣をマナで纏わせたことは)




「見ていないはずがない」




「頭が良くないんです」




大吾がイワカミに目で合図して、笑うなと牽制した。




「実際に何があったか話せ」




「詳しく話すか、手短に話すか」




「何があったか」




(チ……)




「私たちは……ダンジョン入口周辺を確認していました。その時フユゾラがトカゲビトに発見されて、グループから孤立した」




(五番手の報告はどんなものだったんだろう)




「続けろ」




「全員でフユゾラを援護し始めました。その混乱を利用して、魔物の一体がフユゾラを回り込もうとし、残りは俺たちに前進してきた。接近戦になると判断した時でした」




カインは皮肉っぽく笑みを浮かべながら両腕を広げた。




「ご存知の通り、小さな狩人たちは接近戦が得意じゃない」




クロサワとの組み手を思わせるその言い方に、狩人二人は確信を深めた。




「エーテル合金を使ったな」




その技の名前を聞いてカインの目が開いた。二人の視線が刺さった。




(なぜその名前を知っている)




大吾が一歩踏み出し、イワカミが続いた。




「誰に教わった」




(ヴォイド・ストライダーを知っている)




「言え」




(ゲートの場所を知っているかもしれない)




大吾がさらに近づく前に、イワカミが肩に触れて先に出た。




「カゲヤ、なぜあの技を使っているのか知りたい」




「俺は……」




「怒っているわけじゃない。ただ、教えた者が属性制御への影響を説明しなかったはずがないと思って」




カインは思わず一歩引いた。




「何……?どういうことですか」




ついてこずに、イワカミがひげを撫でた。




「ガイリャクシャのマナの使い方は根本的に違う。連結じゃない。融合だ」




「それが俺にどう影響するんですか」




「自然じゃない」




大吾が近づかずに言った。




「変形だと思っていたが、完全に同じだ」




「マナというのは生まれ、循環するものだ。あいつらは体に吸収する。だから解放しても、世界に完全には返せない」




イワカミがより穏やかなトーンで続けた。




「同じことをすれば、核が連結して生み出す代わりに吸収を強制させられる。それが傷つける」




(最初はそれをやっていた。知っている方法がそれだけだったから。でも今は違う。この体のわずかなマナではそれが使えなかった。言うべきか)




「……同じことはしていない」




「説明しろ」




カインは大吾の目を見た。なぜ説明したいという気持ちが出てくるのか自分でも分からなかった。




「マナを体の中で武器まで流して、それから凝縮しています。武器に融合させて硬化させる。自分のマナを使っている」




「それも問題だ。それをやると属性と繋がれなくなる」




「間違っています」




カインは腕を伸ばした。証明しなければならないと分かって、ゆっくりと掌の上に風の球を作った。それが回転した。




大吾がそのコントロールを見て目を細めた。




「それができるなら、あの技に頼る必要はない」




(できるが、やめるつもりはない)




「使い続けます」




「いや、ガイリャクシャの手法は使わない」




大吾が踏み出すと、カインの指が強張り、風が激しく回り始めた。




「止まらない」




「お前がすべきことは、自分にふさわしい場所を取り戻すことだ」




「それをやっています」




「この方法じゃない」




「他に選択肢がない!」




イワカミが大吾の忍耐が切れたのを察して、その体格に似合わない静かな動きで二人の間に入った。




「アサヒ、少し落ち着け」




それからカゲヤの方を向いた。




「これ以上証明しなくていい。止めていい」




風の球の音が少しずつ消えていった。それと同時に、自分がやったことの現実がカインの頭に落ちてきた。




落ち着くのを待ってから、イワカミが大吾を横目で見た。大吾は唸るだけだった。




「では、その技を誰に教わったか教えてもらえるか」




「何のために」




「確認したいことがある」




「聖花道にいる間、自分で調べて、秘密で練習した」




「誰にも教わっていない?」




「はい」




イワカミが明らかにほっとした息をついて、大吾に近づいた。




「ライゼンに連絡する必要はないな、アサヒ」




「本当のことを言っているか、カゲヤ」




大吾が真剣なトーンで聞いた。




「はい、あの学院で誰かに習ったわけじゃない」




(ライゼンのことも知っているのか)




「よし。それでも、俺がいない時はあの技を訓練するな」




「分かりました」




(訓練する必要はない)




ひげ面が笑いながら大吾の肩を叩いた。




「片付いた、アサヒ」




「まだだ、イワカミ。計画を変えないといけない」




「旅のことか」




「ああ。俺が行く。お前は村を守れ」




「構わないが。俺でもいいぞ」




「カゲヤを連れて行く。頭領の義務についてもっと学ぶ時だ」




(え?)




「旅?どこへですか」




「明日、ミズキリへ発つ」




「何をしに?俺も行く必要が?」




(展開が早すぎる)




「行かなければならない」




イワカミが狩りの残り素材がある机を指差した。




「カゲヤ、あそこに何が見える」




「武器と魔物の残骸が少し」




「他には」




大吾はイワカミに息子の観察を任せ、カゲヤが机に近づいた。




(鱗、錆びた武器、ダンジョンで採取したであろう薬草と茸、それから骨。変なものは……骨?)




(なぜ骨がある。獲物の残骸をわざわざ持ち帰る意味がない)




一本を手に取った。いくつか亀裂が入っていた。古いが、それでも驚くほど硬い。




イワカミは大吾が黙ってカゲヤを観察しているのに気づいた。




「それで」




(残骸じゃないなら……爬虫類のものでもない。死骸から取り出すには時間がかかりすぎる。それにかなり古い)




「混合種のダンジョンでしたか」




イワカミが笑みを浮かべて答えた。




「いや、単一種のあらゆる証拠があった」




「では……別の種族と縄張り争いをしていた」




「違う」




大吾がイワカミの代わりに言った。




「その骨はホネガラのものだ。この区域の魔物じゃない」




(それが意味することは一つしかない)




「亀裂がもう一つある」




「二つだけとも限らない。二人でミズキリへ行き、兵を要請する」




(待て、二人だけ……大吾と二人きりにはなれない)




「イワカミ、早朝に出発できるよう準備しておけ」




「はい、アサヒ」




「休もう。旅は少なくとも五日かかる」




(五日!?)




「二人だけで大丈夫ですか」




「他の者は問題が解決するまで村を守らないといけない」




(くそ……発見された後でこれから逃げることはできない。俺は……)




「分かりました」




と力なく答えた。




イワカミが倉庫のドアを開けて、二人が出ると、カインはその場に留まった。




「少し待ってください。用があります」




「長くするな。母親がもう夕食を終える頃だ」




その言葉を残して、大吾はイワカミと遠ざかっていった。ドアは開けたままだった。




「分かっています」




カインは盾に歩み寄って、じっと見つめた。




(エーテル合金、ライゼン、聖花道。大吾とひげ面は思っていたより遥かに多くを知っている。五日……シラミネに聖花道か紫雲の方向を聞こうと思っていたのに)




軽く盾を蹴りながら考え続けた。




(離れようとするほど、引き戻される。なぜこんなに複雑になるんだ)




何度か息をついてから、足を止めた。




(これはいい機会でもある。自分がどこにいるか知るための。大吾に気づかれないよう、どこかのネサリに聞けるかもしれない。よし……まず元々考えていたことをやる)




屈んで盾を持ち上げ、倉庫を出た。空は疲れていた。かろうじて光を保っているような色だった。




迷わず赤いサクラソウのある小屋へ向かった。




ドアの前に立ち、三度叩いた。




「少々お待ちを!」




その声に気づいて、深く息を吸った。シラミネがドアを開けた。




「誰?」




台所からノゾミの声がした。




「アサヒだ、すぐ終わる」




シラミネが答えながら外へ出てドアを閉めた。




「カゲヤ、どうした。もう遅い」




「少し付き合ってくれ、シラミネ」




「ちょうど夕食のところだ。手短にな」




二人で小屋の裏に回り、話せる距離を取った。




「頼んでいたことのために来たか」




「違う。今はまだいい」




「じゃあ何だ」




「なぜフユゾラを援護しに行けと言った時に従った」




「ああ……従わない理由があったか」




「理由を教えてくれ」




シラミネが自分の判断を振り返るように周りを見た。




「クロサワと違って、お前は何をすべきか分かっているように見えた。だからついていっただけだ」




「なら特権でなぜ最後だった。全員で魔物を倒したはずだろう」




「俺が一番貢献できていなかった。フユゾラへの援護もユキシロの方が上だった」




「でも大吾が聞いたのはそういう話じゃなかった。本当のことを言えよ、なぜ最後だった」




「その話はしたくない。それだけなら、ノゾミの夕食がもうできてる頃だ」




「ノゾミ?シラミネさんの奥さんのことか」




カゲヤの口から出た言葉に、シラミネが完全に振り返れないまま止まった。




「それ以上言うな」




「そうだな。無視して自然に解決するのを待てばいい。皮が三枚あれば十分だしな」




「黙れ。お前はムスビガリの時にいなかった。口を出す権利はない」




「お前には何もしない権利はない」




シラミネがカゲヤを掴もうと近づいた瞬間、カインが盾で受けて地面に押し倒した。




「なぜ最後だったか言え」




「俺が最低の狩人だからだ!」




誰かに聞こえたかもしれないと思ったが、カインは気にしなかった。シラミネに近づいた。




「フユゾラよりもユキシロよりも強い。馬鹿なことを言うな」




シラミネが顔を向けた。その目は今感じていることをかろうじて堪えていた。




「なぜ戦わないか言え」




「俺はお前たちとは違う。お前に何があったかは知らないが、俺はお前みたいに簡単には変われない」




「一年が簡単に見えるか。六ヶ月この状態が続いていると言ったな。まだ時間はある」




カインは盾をシラミネの方へ差し出した。




「これはお前のものだ」




「いらない。哀れみは受け取れない」




「違う。当然の報いだ。お前がフユゾラを援護しに行かなければ、死んでいた。ユキシロが後を追ったのも、お前が先に動いたからだ」




「じゃあ礼を言うべきはあいつだろう」




「俺が言っている。あいつは関係ない」




「これで何も変わらない」




カインがシラミネの腕を掴んで、真正面から目を合わせた。




「なら変えろ」




両腕で盾をシラミネの胸に当て、受け取るまでそのままにした。




「本当に……できると思うか」




「分からない。でももうお前だけの話じゃない」




シラミネの後ろで、小屋がその言葉を受け止めたようだった。




「やらなければならないんだな」




「そうだ」




「どのくらいかかると思う」




「長い」




「そんなこと言うな……」




「どれだけかかっても関係ない。大事なのは続けることだ」




シラミネが冷たい鋼を強く握り締めた。その感触を指に刻むように。




「ありがとう、カゲヤ」




「俺は何もしていない。やったのはお前だ……それと盾を返してくれ」




その言葉でシラミネの表情が一気に崩れた。




「え?なんで」




「明日ミズキリへ行く。お前の代わりに売ってくる」




シラミネが子どものような動作で一歩引いた。




「嫌だ、俺が持っておく」




「待て、売った方が役に立つんじゃないのか」




「売るものが少ないのはこれが最後だ。また同じことになるかもしれない。でも次は本気でやる。それが違いになる」




シラミネが向き直り、盾を左腕にはめた。




「もう夕食の時間だ、カゲヤ。俺は……考えることがある」




「分かった。盾はお前のものだ」




二人は村全体を繋ぐ小道に戻った。短い別れの後、カインが歩き続けた。




小道に入る前、シラミネはカゲヤが遠ざかるのを見ていた。




「ありがとう、友よ」




その言葉はカインの耳には届かなかった。歩き続ける彼に、冷たい空気が寄り添った。




(盾を売ると思っていた。もう少し押すべきだったか……何か理由があるんだろう。盾は上等だ。防具として使える)




アサヒの家に着いて、今まで気づいていなかったその大きさをあらためて感じた。




(五日か……少なくとも、いなくなる前にあいつを動かせた。情報を集めることに集中できる。余計なことをしないように)




手がドアに触れた。




(長い旅になりそうだ、大吾)

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