戦術と静かなる決意
帰り道で、カインは随分遠くまで来ていたことを実感した。
一緒にいたのは自分の思考だけで、それは声に聞こえるほどはっきりしていた。
近づくにつれてその静寂は薄れ、ネサリたちの声が空間を取り戻していった。
腕と脚にわずかな震えがまだあった。戦いの消耗のせいだと自分に言い聞かせた。
もっと近づいて見ると、全員の立ち方と声のトーンから、重傷者はいないと分かった。
シラミネがグループにいなかった。
目で探すと、そう遠くないところにいた。
最初の一歩は自動的に出た。
気づいてから、カインは進路を変えてダンジョンの入口へ向かった。
シラミネがカゲヤを見つけ、進路の変化に気づかないままついてきた。
入口の近くで追いついて、隣に並んだ。
「大丈夫か、アサヒ」
「ああ……」
「よかった」
シラミネがため息をついた。
カインは振り向かなかった。
(でも俺はお前のことを忘れていた)
「心配した。クロサワからマナをかなり使ったと聞いた」
(本当は全部使い切った)
「気にするな、まだ十分ある」
シラミネはカゲヤがこちらを向かないのに気づいた。
「他の者たちのところへ行かなくていいのか」
「何のために」
「話し合いのために。俺たちの何人かはマナを半分以上使っている。これ以上魔物が出たら持たないかもしれない」
(半分……カゲヤのマナ量が少なくても、消耗の差がありすぎる)
「何を考えているんだ」
「クロサワは入口を守るべきだと。フユゾラは戻った方がいいと言っている」
カインは目を閉じて考えた。
(フユゾラは孤立した恐怖がある。それは責めない。属性での遠距離攻撃が使えない恐怖は俺にも分かる。でも間違っている。あの状態で戻れば待ち伏せのリスクがある。五番手の方は無能に見られたくないだけのはずだ)
「クロサワが正しい。残るべきだ」
「でもあの戦いの音で、もっとあの獣が集まってくるかもしれない」
「だから残るんだ」
カインが目を開けながら言った。
「最悪の場合、中に入って他の者たちを探せる」
「正気か。俺たちの誰もダンジョンに入ったことがない。見つからなかったら、迷い込んだら。追い詰められるだけだ」
「シラミネは分かっている、アサヒ。入ることは自滅だ」
クロサワの声が会話に割り込んできた。他の者を連れて近づいていた。
「誰か入れと言ったか。好きにすればいい」
カインはまだ誰も見たくなかったが、シラミネはそのトーンに気づいた。
「好きにはさせない。仕切っているのは俺だ」
クロサワの声が高くなったが怒鳴りはしなかった。
しかし全員が驚いたことに、カインは返さずに入口へ向かって歩き始めた。
「待て、アサヒ」
シラミネが近づく前に、クロサワが先に動いた。
「しきたりを無視するのをやめろ、アサヒ!」
「うるさい。興味ない、どうでもいい」
足音が近づいてくるのを感じた瞬間、カインは剣の柄を強く握った。
抜こうとして向き直り——シラミネが正面にいるのを見て、動きが止まった。
その葛藤した表情を、捉えずにいられなかった。
「俺が一緒に行く」
「馬鹿なことを言うな、シラミネ。経験のない奴のために別れるわけにはいかない」
「友達を一人にしておけない、クロサワ」
クロサワの取り巻きが口を挟み、シラミネを説得しようとした。
その意図は矛盾しているように見えた——カインが知っている妨害行為とは一致しなかった。
ただ、誰も死んでほしくないというのは、言い方から伝わってきた。
(なぜ余計に難しくする、シラミネ)
「入らない……」
カゲヤの声は強くなかった。それでも言い争いを止めた。
シラミネの肩が緩んだ。
「お前のせいで時間を無駄にした、アサヒ。もう入口を守るべきだ」
クロサワが言った。
カインはもう一度ダンジョンを見て、意識を今の状況に戻した。
「近くに隠れた方がいい。もしトカゲビトが外にいるなら、俺たちが起こした騒ぎで巣穴に戻ろうとするはずだ」
「入れてしまって、中の狩人たちの背後から攻撃させるのか」
「狭い場所で待ち伏せする。疲弊した状態で野外で相手をするのは無理だ」
「入れて外から叩く」
フユゾラが言った。
「いいと思う、クロサワ」
クロサワが明らかに苛立ちながらユキシロとミヤマの方へ戻った。
「チ……自滅よりはましだ。もう時間を無駄にするな」
グループは入口近くで二人組に分かれ、身を隠すために木に上った。
位置についてから、シラミネがカゲヤに近づいた。太い枝の上に並んで立った。
「大丈夫か、カゲヤ」
「ああ……」
「何があったんだ」
「何でもない。ただ……追い詰められていた」
「あんな風に制御を失うのを見たことがない。俺を殴った時でさえ」
(あの日を思い出させないでくれ)
「あれとは違う。戦いのせいだ」
「分かる。俺もまだ怖い。武器を持った魔物に攻撃されるのは全然違う」
シラミネが振り向いた。
「なぜ計画を変えた」
(カゲヤの友達を……危険にさらしたくなかったから)
「落ち着いて考えたら」
「その差は大きい」
シラミネが笑いながら言った。
「ダンジョンに入るのは間違いだった」
「もっと絶望的な状況を想定していた」
「どういう意味だ」
「トカゲビトが外に五体か六体以上いる状況。疲弊した状態で戻っていたら待ち伏せで全滅していた」
「あいつらは俺たちほど森を知らない」
「狩ることと狩られることは違う。見つかれば死ぬかもしれないと知って、同じことを言えるか。最悪、村への道筋を教えてしまう」
(マエナの訓練の恐怖が今でも抜けていない)
「……それは考えていなかった。でもダンジョンに入るのも同じじゃないのか」
「違いがある。中には他の者たちがいる。大吾がこんな魔物に負けるところが想像できない」
「一番安全な場所は狩人たちと一緒に……」
シラミネが口を開けたまま、それを考えていなかったことに気づいた。
「待て……もし囲まれて入ることになっても……同じ状況になる」
「合流できなければ、閉じ込められて確実にやられる」
カインはまばたきせずに入口を見ていた。
「それでも村を危険にさらすことにはならない」
(追いつかれたら一人残るつもりだった)
シラミネは自分が掴んでいる幹の腕に震えを感じながら、カゲヤの言葉を受け止めた。
「俺には……そんな計画は立てられない。村のことを考えていなかった」
(自分でもなぜそう考えたのか分からない。あの過酷な一週間のせいだろう)
息をついてから、声の力を抜いた。
「今は関係ない、シラミネ。そうなる気配もない」
「なぜそう言える」
「考えてみろ。もっとトカゲビトがいたなら、なぜ来ない」
シラミネが慌てて周りを見回してから、視線をカゲヤに戻した。
「そうだな、もう十分時間が経った。森で迷ったか」
(弓使いが二体と接近戦が二体。斥候じゃない。もっと別の目的で武装していた)
「どっちから来た」
「北から。フユゾラを見つけて、フユゾラが俺たちの方へ逃げて、それで待ち伏せしようとした」
(村と反対側から来た。四体。亀裂はしばらく前に起きている。熱と食料が必要な生き物……)
「巣穴の近くで狩りをしていたんだろう。後は狩人たちが出てくるのを待つだけだ」
シラミネがうなずき、緊張を解こうとした。時間が経つほど落ち着かなくなっていった。
「そういえば……ムスビガリのことをお父さんにもう話したか」
「いや……まだだ」
「じゃあまだ間に合う。頼まれたことを話せる」
「今はいい時じゃない。気を張っていないと」
「ああ……そうだな。ごめん」
(謝るな……)
「でも村に戻ったら話せる、な、カゲヤ」
カインは答えたくないのか答えられないのか、どちらか分からなかった。
「俺は……どうか……」
ダンジョンから出てくる狩人たちの声が、複雑な安堵をもたらした。
「後で話そう、シラミネ」
(大吾を見てこんなに安心したのは初めてだ)
若者たちが大人たちと合流した。大吾がクロサワに外での出来事を報告させた。
トカゲビトが来た方向から始まり、戦闘と奴らの戦術まで説明した。
話を聞きながら、カインは袋がかなり膨らんでいるのに目をやった。素材や武器が半開きの蓋から覗いているものもあった。
クロサワがカゲヤの技について何も言わなかったことにも気づいた。マナを使い果たしたことも。
その理由は、全員でまとめて倒したという曖昧な一言で分かった。
全情報を聞いて、大吾が古参の狩人たちに向き直った。
「素材と価値ある武器の仕分けを教えてやれ。村に戻ったら特権を分配する」
全員が動き始めると、大吾が一言だけ言った。
「カゲヤ」
それが何を意味するか分かって、カインはついていった。幸いにも他の者たちが仕留めたトカゲビトのそばまで。
大吾が屈んで調べながら、説明を始めた。爬虫類たちの栄養不足。湾曲した剣の使い道。牙の使い道のなさ。
最後に鱗を剥がしながら、使えないものを省く理由を説明した。
失われたマナでは、ルーンを動かす水晶も武器も作れない。だから売れない。
袋に全部しまい終えると、大吾が帰還の指示を出した。
帰り道でイワカミがカインを別に呼び寄せ、他の死骸で見たことを話した。
何を話したかまでは聞こえなかった。ただイワカミがわざわざ別に呼んだことで、後で問題になると察した。
大吾がいつもの唸りを出してから、息子の隣に戻って帰路を引き継いだ。
太陽が橙色になる頃、村に着いた。いつものように出迎えられた。
全員が倉庫に集まった。木の板に家名が彫られた区画が並んでいた。それぞれに皮、干し肉、素材、あるいはその組み合わせが収まっていた。
薬草、編んだ籠、植木鉢の花まで入っている区画もあった。
大きな机の上で、持ち帰ったものをカテゴリーごとに分け始めた。大人たちがダンジョンから出したものは別に置いた。
最初に特権を行使したのは大吾で、次がイワカミだった。
古参の狩人たちが続いた。カインが狩りの分配を実際に見るのは初めてだった。
最後の一撃を与えた者だけが重要なのではなかった。参加の度合いも評価に含まれた。
イワカミが大吾の評価を伝え、選べる部位が決まった。
最も貢献した者が最初に選べる。不公平が出ないよう、大吾が最終的な決定権を持った。
それは当然だった——売る際の価値を一番よく知っているのは大吾だ。誰かが価値の低いものを選んでも、大吾がより多くの素材を渡した。
この分配が普段の狩りとどう違うか、考えて把握しようとした。
若者たちの番がクロサワから始まると、カインは各家族の区画を見た。
クロサワたちの区画はかなり充実していたが、シラミネの区画は皮が三枚と少しの花だけだった。
赤いサクラソウが一本もないことが引っかかった。シラミネの小屋の前にあの花を見たはずだった。
(少なすぎる。あまり狩りに出ていなくても。肉を優先しているのか)
「アサヒさん」
イワカミに呼ばれてカインが前に出た。
(シラミネは最後まで……)
「仲間への援護、よくやった。アサヒ家の分を選べ」
カインは迷わず盾の方へ歩いた。
「これだけでいい」
大吾がわずかに目を開けた。
「それだけしか取れない」
「分かっています」
「次、イワカミ」
カインは盾を手に離れた。大吾がまだこちらを見ていた。シラミネが自分の特権を選びに近づいてきた。
(気づくと思っていた。この盾はあれだけの攻撃を受けても無傷だ。かなりの価値があるはずだ)
シラミネは価値があると思うものを選んだが、大吾が追加で渡した時の反応で、知識の乏しさが分かった。
しばらくして、頭領が分配の終わりを告げた。全員が引き揚げ始めると、イワカミが笑いながらカゲヤの肩を掴んだ。
横を通ったシラミネが心配そうに横目で見ていった。
大きな扉が閉まり、カインは大柄な男二人と残された。
「ミズキリへの旅の準備をしないといけない、イワカミ」
「分かっている、アサヒ」
二人がカゲヤを見た。
「その前に。死骸に剣の跡があった理由を説明してもらおうか、カゲヤ」
(やはりそうか)




