やるべきこと
(何が起きている)
狩人と若者たちが全員、村の入口に集まっているのを見て、そう思った。
シラミネと話してから二日が経っていた。その間ひたすら訓練を続け、カゲヤの属性との繋がりが深まっていた。
その時間は早く過ぎなかった。あの日から一言も交わしていないことを、その重い時間が絶えず思い知らせていた。
それを考えないために、カインは今目の前で起きていることに意識を向けた。
前には大吾が立っていた。隣にイワカミ、その後ろに大人の狩人が二人。全員がいつもより大きな袋を担いでいた。
大吾がイワカミに若者たちへ武器を配るよう指示してから、全員に向かって言った。
「今日は選抜はない。全員が狩りに同行する。俺たちは亀裂の起きたダンジョンを探す」
弓と忌々しい短剣を調整し終えたカインは、周りの反応を確認した。
クロサワのグループはその機会を喜んでいるようだった。フユゾラはやや緊張した様子だったが、シラミネほどではなかった——シラミネは剣の柄を強く握り締めていた。
「イワカミが先頭、続いて狩人のフユゾラとコバヤシ。お前たちを任せる」
(あの狩人はフユゾラによく似ている。父親か親戚だろう。だからフユゾラには嫌がらせをしないのか。ただそれだけではムスビガリのことは説明できないが)
「カゲヤ、お前は俺の後衛だ」
横目で、他の者たちがどう見ているか確かめた。
(想定通りだ。その悔しそうな顔を飲み込んでいるのを見るのは悪くない)
大吾が出発の合図を出すと、カインはその隣に位置した。
一行は森へ入った。イワカミが見慣れないルートを取った。
もう一つの違いは、ひげ面が若者たちの指導をせず周囲の索敵に専念していたことだ——その役目はフユゾラの父親が担った。
大吾も同じことをしているのに気づいて、カインは最初に受けた指示の練習を始めることにした。
周囲のマナを感じること——環境から来るものも、木から来るものも、ネサリから来るものも。
大吾は息子が何をしているか気づいていた。
進みながら、かすかなマナの痕跡を感じ始めた。しかしもっと深く探ろうとすると、一つの存在感しか掴めなくなった——カゲヤの父親のそれだ。
(相変わらず、俺の邪魔をする)
若者たちの索敵は成果がなかった。この区域では獲物の気配が見つからなかった。
さらに一時間歩いたところで、イワカミが合図を出した。フユゾラの父親がそれを受けて、仲間たちをその区域の捜索に向かわせた。
大吾はカインの肩を叩いてから、イワカミの方へ向かった。カインは無言でついた。
合流すると、今まで見たことのない死骸に目が開いた。
二足歩行の爬虫類型の生き物。凍りついた緑色の鱗が鈍く光っていた。
「こっち側にも来ていたか」
大吾が屈んで調べた。指で鱗を一枚ぱきりと割り、顔に近づけた。
「少なくとも二日は経っている」
「この状態では売れないし、食べられもしない」
イワカミが死骸の隣にあった粗削りな湾曲した武器を手に取り、確認してから袋に入れた。
「役に立たないものを集めるのをやめろ、イワカミ」
「ははっ、こんな剣は見たことがない」
それ以上は何も言わず、二人は生き物がどこから来たかの痕跡を探し始めた。
雪がすでに手がかりを消していたが、折れた枝と踏み荒らされた下草が二人の経験を輝かせた。
それだけで、生き物がどこから来たか特定できた。
その間ずっと、カインは二人の動きと会話に注意を払った。
(マエナの教えと、ネサリと連携する必要性をこれが裏付けている。マナの感知だけでは亀裂を見つけられない時、地形の知識が不可欠になる)
イワカミが口笛を吹いて全員を集め、状況を説明した。
「ダンジョンにはトカゲビトが入っていたようだ。四人で閉じに入る。若者たちは入口を見張れ」
大人の狩人二人の反応を、カインは見逃さなかった。その種を知らないのだと理解した。
「倒し方で知っておくことはあるか」
フユゾラの父親が聞いた。
「熱を必要とする生き物だ」
大吾が死骸を蹴りながら答えた。
「これで三体目。食料を探して迷い込んだ斥候か狩り手だろう」
「亀裂と生き物のせいで獲物が散って、村に近づいてきた。弱っているはずだが油断するな。皮と鱗は硬い」
唸りとともに大吾が前進の合図を出し、今度は自分が先頭に立った。大吾が目で示すのを見て、カインはその隣に並んだ。
進みながら、カインは大吾がグループをまとめる手際に見覚えを感じていた。マエナの指示の効率に似た何かを。
(ここにいるはずのない魔物を知っているだけじゃない。戦ったことがある。ヴォイド・ストライダーと組んだことが?……違う、あのトーンで使った言葉が……もっと何かある)
軽く頭を振った。
(考えすぎだ。ネサリが自分たちでダンジョンを閉じるのは普通のことなんだろう。きっとそうだ)
森の奥へ進むにつれ、静寂が濃くなった。
風すら避けているようで、ブーツの音がより鮮明に聞こえた。
小さな切り開かれた空き地に着いた。中央に、地面から盛り上がった岩で作られた洞窟の入口があった。
周りの木が乱暴に傷つけられていて、数日前に何かが起きたのが分かった。
ダンジョンと外をつなぐはずの門がない。それが亀裂の最終的な証拠だった。
その障壁がなければ、魔物は何の妨げもなく出てこられる。
「規模は小さい。洞窟か通路が中心部まで続いているはずだ」
イワカミが他の狩人たちに説明し、二人がうなずいた。
「若者たちは誰が仕切るか、頭領」
コバヤシが聞いた。
「クロサワ」
名前を呼ばれた時の反応は驚きではなかった——傲慢さだった。
(試しているのか。俺が特権の部位を選んだ件が広まったからだろう)
大吾の小さな唸りとイワカミの視線が、その読みが合っていることを確かめた。
(馬鹿げている。大吾には伝統の方が大事で、カゲヤを贔屓にする気はない。狩りに一度しか出ていない者を選ぶわけにはいかないんだ)
大吾が大きな斧を構え、古参の狩人たちも各自の武器を手にした。
「入るぞ」
大人たちが慎重にダンジョンへ入り、姿が消えると同時にクロサワがグループをまとめ始めた。
「俺たち三人はこのエリアで待機。フユゾラ、周囲を確認して何か近づいたら知らせろ。シラミネは何かあった時のサポートだ」
(最初からシラミネが素材を獲れないよう仕組んでいる)
「アサヒ、お前は」
クロサワが来た道を指差した。
「後をつけられていないか確認しろ」
(要するに:邪魔するな)
「了解。頭領がついてきた者を見落とすほど素人だという前提で確認してくる」
「あ?俺の経験を疑うのか」
「まさか。独り占めが上手いだけだ」
「言っただろ、クロサワ。聖花道では吠え方を教えるんだ」
カインは笑みを浮かべた。
(ミヤマ、まだ苛立っているのか。もう友人のふりをしなくていいことに気づいたようだ)
「パパのところに告げ口しに行くかもな」
三人が笑い声を上げた。シラミネとフユゾラは黙って見ていた。
「お前がどう思おうが関係ない、アサヒ。俺が仕切っている。命令した。責任を回避するゲームをしに来たんじゃない」
(ゲーム……また例の言葉に締め付けられる。あいつの顔を叩き割りたい……落ち着け……カイン……)
「その通りだ。お前が凄腕のリーダーで、取り巻きたちがブーツを磨く以外にも使えるというゲームをしよう」
(落ち着けなかった)
クロサワと他の二人がカインを囲んだ。
「今の、もう一度言え」
「失礼、偉大なリーダー。耳が悪かったとは知りませんでした」
緊張が爆発寸前になった時、フユゾラが声を上げた。
「それは村に帰ってからにしろ!俺たちは入口を守るんだ!」
カインが振り返ると、シラミネも居心地が悪そうにしていた。
苛立ったため息をついて、クロサワに言われた場所へグループから離れた。
フユゾラはその反応を見て自分も離れ、トカゲビトが洞窟に近づかないか感知することに集中した。
「チ、アサヒも問題を起こすか調べないとな」
クロサワが仲間に囁いた。シラミネには届いていたが、クロサワは気づかなかった。
何分か迷ってから、シラミネは三人が何かを計画している隙にカゲヤのところへ向かった。
着くと、本当に周囲を確認していた。
「なぜクロサワに突っかかった、アサヒ」
カインが確認を一瞬止めて向き直った。
(分からない。色々重なった)
「嫌いだから」
シラミネはその答えを予想していなくて、消化するうちに笑いを漏らした。
「はは、俺も嫌いだ」
二人に笑みが浮かんで、それが消えると、シラミネが目を逸らした。
「避けていてごめん。色々考えていた」
「謝ることは何もない」
(俺のせいだ)
「お前が間違っている。説明してほしいと言われたのに答えられなかった。抱えていることに囚われすぎていた」
「シラミネ……また謝ったら殴る。話を変える前に……何があったか聞くべきだった」
(あの状態のお前にはできなかったが)
「そうだ、聞くべきだった」
シラミネが少し止まってから続けた。
「でも、お前がやったことに気づいていないと思っているなら、それは違う。ありがとう」
そのトーンでカインは口がわずかに開いた。その言葉と、シラミネの穏やかな表情が、肺を締め付けるようだった。
(やめてくれ)
一歩後ずさった。視線が周囲に逃げた。
「アサヒ?」
(ダイランのことを思い出させないでくれ)
「大丈夫か」
(喋るな)
シラミネが近づいてくるのを感じた瞬間、黙れと叫ぼうとして振り向いた。
声が出ようとした瞬間、森を揺らす爆発が意識を引き戻した。
「何だ!?」
シラミネの声が驚きで高くなった。
まだ混乱しながら、カインが周りを見回した。
(俺は何をしているんだ。帰る方法に集中しなければならないのに)
シラミネがカインの肩を掴んで、顔を向けさせた。
「集合しなければ!しっかりしろ、カゲヤ!」
(くそ、くそ!)
「行くぞ!」
二人が他の者たちのいる方へ走った。マナが周囲に衝突する音が繰り返し響いていた。
「どこにいた!あの魔物が四体出た!」
ユキシロが叫び、攻撃を打ち続けるクロサワのグループを指差した。
カインとシラミネが合流して、戦況を観察した。
どこから始まったかは分からなかったが、フユゾラが空き地近くで孤立していたことから、奇襲をしかけて失敗したのだと推測した。
爬虫類たちは木を盾にしていた。一体だけが頑丈な盾を持ち、その圧力で他の者たちの注意を引きつけながら前進していた。
シラミネが攻撃に加わった。四人のネサリが属性攻撃でフユゾラを援護しようとしていた。
水の槍、火の球、岩の弾、クロサワの竜巻。
カインは矢を構えたが、攻撃が互いに干渉しているのを見て放たなかった。
代わりに、残り三体の魔物に向けて撃ち始めた。それらが散りながら身を隠す動きで、何を企んでいるか気づいた。
迷わず空き地へ走り出した。
「囲まれているぞ!今すぐそこから出ろ!」
フユゾラには声が届かなかった。自分の位置からは脅威も見えなかった。攻撃を続けた。
近づいたところで、属性がぶつかり合って上がった土煙が魔物の動きも遮った。
(一つ一つの攻撃は制御されているが、数が多すぎる。どこにいるか見えない)
爬虫類の一体が弓で反撃を始め、クロサワがより強力な一撃を放った。
その竜巻を盾を持つ一体が受け止めた。地面に叩きつけられたが、攻撃が巻き上げた土煙がトカゲビトの一体がダンジョンの裏から回り込むのを隠した。
「見えない!どこだ!」
クロサワの叫びが位置を教えてしまった。矢が顔のすぐ横の木に刺さり、一歩間違えれば死んでいた。
「弓を持っている!木に隠れろ!」
カインも他の者と同時に身を隠した。トカゲビトが圧力を増してきていた。
(距離を詰めてくる。接近戦になったら何人かは死ぬ)
混乱の中で三体を数えた。四体目を目で探し始めた。
気配を掴んだ。フユゾラに気づかれないまま忍び寄っていた。
助けに飛び出そうとした瞬間、シラミネのことも危ないと思って足が止まった。
(まずい。囲まれるのを防げない……)
決めてから、他の者たちのいる方へ走った。
「シラミネ!フユゾラを援護しに行け!」
「馬鹿なことを言うな、アサヒ!出たら矢を食らう!」
クロサワが隠れたまま叫んだ。
カインがシラミネのところに着いた。
「黙れ、五番」
クロサワを見ずに返した。
「急げシラミネ。援護しないと終わる」
シラミネがうなずいた。アドレナリンと別の何かで体が震えていた。
空き地へ走り出すのを見て、カインがもう一つ言った。
「近づくな。木の陰に隠れたまま」
(すまない、フユゾラ。シラミネの方が大事だ)
「このまま仲間を埋めたくなければ誰かもう一人行け」
ミヤマもクロサワも答える前に、ユキシロが向き直ってシラミネの後を走った。
(よし……後はこっち側だ)
カインが弓を足元に落として剣を抜いた。
(カゲヤの属性に集中することを考えていたのに、弓を使うべきだという思い込みで自分を縛っていた)
左手で右目を覆った。
(自分のやり方が、周りに影響を与え続けている)
視線がトカゲビトたちに定まった。
(考えることはただ一つだけでよかった)
「やるべきことをやる」




