繰り返される過ち
朝の光は、もう黄みを帯びた色に変わりきっていた。
カインはとっくに目が覚めていた。
(この体、朝が早すぎて困る)
(おまけに夜も早くに眠くなる。最悪だ)
木の箸が指と喧嘩をしていた。昨夜のことを思い返しながら、その細い棒を見つめた。隊商の後、家に戻ってから起きたことを。
家に入ると、コハルは籠を机に置くよう言った。大吾は重い荷物を隣の部屋に運んだ。
大吾は妻に近づいた。
「兎を調理してくれ」
コハルはすでに下ごしらえされた肉を見て、微笑んだ。
「村に着く前に仕留めてきたのね」
「夕食ができたら戻る」
大吾はドアをくぐって出ていき、家からほんの数歩のところにある物置へと真っ直ぐ向かった。
コハルは料理を始めた。ホタルが口ずさんでいるのをカインが耳にしたのと、同じ旋律を鼻歌にしながら。
「上にいます」カインは一段目に足をかけながら言った。
コハルは兎を持ち上げ、カインを見た。その顔には誇らしげな輝きがあった。
カインは笑い返した。この肉が好きで嬉しいのだと理解して。
(塩辛くならなければいいが。毎日飲んでいるあのスープみたいに)
部屋に戻って訓練を続けようと上がりかけたところで、ホタルが廊下で呼び止めた。
「お兄ちゃん、一緒に遊ぼう?」
小さな手がクマの手を動かして、ついてくるよう誘った。
「ごめん、ちょっとほかにしたいことがあって」カインは目を逸らしながら答えた。
ホタルは顔を伏せた。カインは自分の部屋のドア、その敷居の手前で足を止めた。
遠ざかるホタルの足音が一歩ごとに、手のひらと背中に冷たいものを走らせた。
後悔がコハルの声と同じ鋭さで、彼を叱りつけるようだった。
「何して遊ぶ?」
ホタルは弾けるように振り返り、小さく跳ねた。
「ほら、ほら。クマがね、狩りに行くんだよ」
その姿がわずかにぼやけた。カインは一瞬、幼い頃のナタンの面影を重ねた。
ついていくと、ホタルの部屋があった。質素なベッドと、床に散らばった木の人形。ぬいぐるみはクマだけだった。
小さな女の子が床に膝をついた。カインも同じようにした。
最初はどうすればいいのか分からず、ただホタルの流れに乗るだけだった。
少しすると、カインは怪物の声を出し始めた。クマが一体ずつ仕留めていく。ホタルはクマがお父さんと同じくらい強いと言った。
カインは指輪があるはずの指を押さえた。今度は優しく。指先が素肌をなでて、金属の輪郭を描いた。あるはずのない輪郭を。
(そうすべきじゃなかった。俺は……すまない)
ホタルが不思議そうに見てきたとき、カインはかろうじて笑ってみせた。一緒に遊びながら、あの記憶を追い払い、ゲートに向かって走り出したいという焦りを、縛り続けた。
時間がようやく動き出したとき、コハルの声が届いた。
「夕食できたよ。お父さんを呼びに行く間に下りてきて」
ホタルは今までで一番元気よく立ち上がった。カインは考えに沈んだまま後に続いた。
二人が席についた。ホタルは足をぶらぶらさせ、カインは机を眺めた。
コハルが入ってきて、大吾が続いた。全員が揃うと、夕食が並べられた。
深い椀に、また同じスープが入っていた。カインはため息をついた。だが今日は見たことのない野菜が入っていた。
コハルは微笑みながら、もう一枚の平たい皿を置いた。同じ削り出しの木。その上には米と麦を敷いた床に、火で炙った肉の一切れと、切り分けられたカブが載っていた。
二つの皿から立ち上る香りは違った。どちらも香辛料で味つけされていた。
量は多くない。配分された食事だ。それでもカインは、いつもより手をかけて作られたことが分かった。
籠をちらりと見て、直感を確かめた——中身はさほど減っていなかった。
全員が手を合わせ、目を閉じた。カインはこれを待っていたので、同じタイミングで合わせた。
大吾が祈りの言葉を唱えた。
「世界のマナに感謝する。命の循環に。去るものは戻り、終わるものは再び始まる」
コハルが同じ言葉を言うときとは違う、しわがれた重さがその声にあった。
カインは兎に手を伸ばして、止まった。全員がスープから始めているのに気づいて。
味は奇妙だった。見たことのない野菜が入っていた。まずくはない。ただやはり、彼には塩辛かった。
コハルがホタルに食べさせてやる場面があった。ホタルは文句を言いながらもにっこりして、スプーンを受け入れた。
「兎が食べたい、ママ」
「スープを全部飲んだらね、坊や」
その光景が心に刻もうとしていた。逃げたかった記憶だったから、スープを飲み終えると肉の皿を引き寄せた。
大吾は黙って食べた。ホタルはスープを飲み干して喜んだ。
カインは液体でないものには箸を使うべきだと覚えていた——コハルが以前、スプーンで何でもすくっているのを見てそう言ったのだ。
米は不格好に扱い、兎には突き刺した。
全員が食事に集中していた。大吾だけが、食べながら時折視線を向けていた。
「ふざけるな、カゲヤ」その声が夕食を断ち切った。
その言葉にカインは戸惑い、同時に不快感が走った。
(分かってる、分かってるよ。ふざけるなという言葉が嫌いなんだな。何度も思い知らせるな、カゲヤ)
「ふざけてない」肉を一切れ持ち上げながら言った。「お父さんの獲物を、味わってる」
その言葉と動作が、食卓を静寂で覆った。コハルが動きを止め、ホタルも箸を置いた。
大吾はゆっくりと、ぶっきらぼうに箸を置いた。
「では礼儀正しく食え。お前は相変わらず、しきたりを敬わない甘やかされた子どもだ」
(どんなしきたりだ?これを正しく使えということか……?)
カインは歯を食いしばり、机を見つめた。
「正しい使い方を忘れた」
大吾がゆっくりと息を吐いた。
「言い訳は尽きない」
カインは箸を強く握り、喉の奥から勝手に生まれかけた謝罪を飲み込んだ。
立ち上がり、箸を机に落とした。
「俺は一度も言い訳などしていない」ほとんど聞こえないほどの声でつぶやいた。
カインの目が大吾を捉えた。大吾がこれまで見たことのない強さだった。その視線を受けて、大吾も立ち上がった。
「もういい」カインは言って、背を向け、階段へ向かった。
大吾が二歩踏み出して口を開こうとした瞬間、手が机を叩く音が二人を止めた。
「今すぐ戻りなさい、カゲヤ!」
振り返りたくなかった。だがそのトーンが体を回した。
コハルの表情を見て、血が冷えた。大吾も同じだったのではないかと、横目で確かめた。
「お父さんがこの兎を持ってきたのはあなたのためよ!」彼女は叫んだ。「その気持ちを踏みにじるな!」
カインの視線が床に落ちた。机へと歩き戻った。一歩ごとに脚が重くなっていくのを感じながら。
席について、皿を引き寄せた。コハルは大吾の方を向いた。
「あなたも、もう責めないで。ちゃんと食べられるように、私が教える」
「明日を余計に難しくするな」
大吾は黙って座り、食事を続けた。
ホタルは固まっていた。コハルが微笑みかけて、全部食べなくていい、兎だけ食べればいいと言い聞かせた。
夕食はそのままの温度では終わらなかった。カインが作ったと分かっている沈黙の中で続いた。
大吾が最初に食べ終えて部屋へ引き上げた。カインが続いて、コハルに夕食の礼を言った。
彼女は朝になったら父にも礼を言うようにと言った。
上がる前に、箸を一膳手に取って部屋へ持っていった。
思い返し終えて、カインは指と喧嘩を続けている箸を見た。
(行動で人を傷つけることを、やめなければ……)
(自分の家族にさんざんそれをしてきた。今また、繰り返している)
(もっと自分を抑えなければ)
コハルの声が思考を断ち切った。
「朝ごはんできてるよ、カゲヤ!」
箸を引き出しにしまって、台所へ下りた。大吾はすでにそこにいた。大きな斧と、弓を二本、片手剣を一本持っていた。
「はい、どうぞ」コハルが木箱を二つ渡した。
「無理しないで。お父さんの言うことを聞いて、変なことしないように」
コハルが抱きしめた。
「また怪我して帰ってこないで」
「気をつける」カインは肩に軽く触れながら言った。
大吾がドアから出ていった。開けたままにして。カインも続いて、振り返りながらポケットに手が伸びた。習慣で。
(そうか、ここには鍵がない)
大吾に続いて村の外れまで歩いた。
(どこへ行くんだ。狩りだろうと思うが)
イワカミを見つけた。五人のネサリに囲まれていた。昨日井戸で挨拶してきた若者もいた。
全員が武器を持っていた——弓、片手剣、短剣。イワカミは大吾と似た形の双頭の斧を持っていた。
その中に一人、態度が鼻についた者がいた。
「アサヒ、準備はできています。選抜を始められます」
(選抜?)
「よし。イワカミ、試験を始めろ」
「これを」大吾は片手剣と弓をカインに渡した。
(嫌だ……なんで短剣なんだ)
(落ち着け、カイン。弓を使えばいい。あんな鋭い封切り刃には触れなくていい)
カインは不満を飲み込んで片手剣を腰に結んだ。弓を手にした瞬間、思考が流れていった。
(エラーラに使い方を教えたのを覚えてる。何ヶ月も一緒に練習した)
「では弓から始める」イワカミが木に的を取り付け終えて言った。
カインの笑みが薄れていった。五人の若者が並ぶのを観察してから、目をこすって同じように並んだ。
一人ずつ的を射た。誰も中心には当たらなかった。的そのものを外した者さえいた。
「次はあなたです、アサヒさん」
カインの構えは違った。他の誰よりも強く弦を引いた。矢を放つと、空気を切り裂いて、中心のすぐそばに刺さった。
(中心じゃなかった……)
振り返った瞬間、全員が不思議そうな目を向けているのに気づいた。
「ははっ、見たか、アサヒ。聖花道での一年が実を結んだな」
大吾は答えなかった。ただ静かに見ていた。
「では次の回を」イワカミが手を叩いた。
(今度は中心に当てる)
順番は同じだった。始まる前に、カインの体に緊張を走らせた言葉が交わされた。
「さっきの矢の勢い、見たか?」
「ああ。属性を纏わせたときの速さが楽しみだ」
(ネテリアにいることを忘れていた)
一本目の矢は炎を纏っていたが、的に届く前に燃え尽きた。
次の者の矢も炎を纏ったが、半分しか覆えていなかった。中ほどで炎が小さく爆ぜ、急加速したが的を外れた。
三本目は穂先が水で覆われ、的の下部に当たった後も止まらず、木を貫通した。
気取った態度のネサリが次だった。カゲヤを横目で見てから矢を放った。技術は粗かったが、矢に風が纏い、回転した。
最も中心に近かった。跡には五本の矢が入るほどの大穴が開いた。
(まずい。カゲヤがどの属性だったか分からない。分かったとしても、俺には使えない)
最後の者は穂先に薄い石の層を纏わせた。放つと、一メートルも飛ばずに落ちた。
若者が二人笑った。
「石は矢には使うなって言っただろ、ミヤマ」
「試してたんだよ!」
「マナを操れる者と、操れるふりをする者の差だな」風を使ったネサリが上から言った。
(こいつはルカンとタロスを足して二で割ったような奴だ)
「どうした、アサヒ」イワカミが言った。
カインは的の前に立った。
(賭けに出るしかない……)
目を閉じて弦を引いた。マナを矢尻だけに集中させることはできないと分かっていたから、矢全体を包んだ。ぼんやりと光った。
目を開けて放った。矢は真っ直ぐ的へ飛んでいった。触れた瞬間、マナが解放されて的が粉々に弾け飛んだ。
破片が落ち切って、沈黙が訪れた。
カインは木を見つめたまま、姿勢を崩さなかった。
(なぜ誰も何も言わない)
大吾が最初に近づいた。
「なぜ風を使わなかった」
「必要なかった」
大吾の視線がカゲヤの体全体を舐めるように走った。それからもとの場所へ戻った。
「選抜を続けろ、イワカミ」
(まだあるのか)
ひげ面の男が咳払いをしながら近づいた。
「よし、二人組を作れ」
「シラミネとフユゾラ。ミヤマとユキシロ。クロサワとアサヒは最後だ」
カインはじっとして、クロサワが近づいてくるのを待った。誰のことか分からなかった。
「ちょうどいい機会をもらった。なぜお前が次の村の長になるべきではないか、みんなに教えてやる」
(風のやつか。やっぱりルカンに似てる)
「それだけか、五番手」
「五番手?」
イワカミが強く手を叩いた。
「木刀を取れ。俺が勝者を宣言するまで戦闘は続ける」
(組み手か。この体で大丈夫か)
最初のペアが始まった。
カインは右目を手で覆いながら、口角を上げた。
(関係ない。溜まったものを吐き出す、ちょうどいい機会だ)




