牢獄とは何か?
大吾は腰をかがめて入れるよう、景哉を抱えたままカインを部屋へ連れてきた。しっかりと支える腕は、体を一度も揺らさなかった。
その高さから、カインはベッドに近づいていた。一言も発せないまま。
何を言えばいいかわからないだけではなかった。思考ではない何かが、言葉を禁じているようだった。
大吾は息子をベッドに置いた。粗野な動きに似合わぬ丁寧さで。
向き直り、出口へ歩き始めた。
「いつ起きた?」
カインは答えようとしたが、あの背中の姿が止めた。
指輪を握ろうとして、自分の皮膚しか感じなかった。
(時間を無駄にしているだけだ!)
「わからない、今朝だと思う」
「なぜ出た?」大吾は振り返らずに聞いた。
「新鮮な空気を吸いたかった」
そのトーンの皮肉さに大吾は目を細めた。完全に体を向け直した。
「ふざけているのか?」
「そんなことから始めないで!」小春がおかゆの皿を持って部屋に入りながら叫んだ。
通り過ぎながら、腰で大吾の太腿を軽く叩いた。小さなテーブルに皿を置いた。
「ゆっくり食べて休みなさい。もうすぐ夜になるから、明日また話しましょう」
小春は部屋を包み込むような微笑みとともに言った。カインは思わず視線を逸らした。
前にいた小さな女の子がドアの枠にもたれているのに気づいた。
母親は彼女のところへ歩いてしゃがみ込んだ。「蛍、お兄ちゃんはまだ休まないといけないの」
女の子はぷくっと口を尖らせてから頷き、明るいトーンで答えた。「はい、ままー」
大吾が先に部屋を出た。小春は蛍の手を取り、出ながら蛍がもう一方の小さな腕を持ち上げた。
「休んでね、おにいちゃん」
カインが指輪があるべき場所の指を強く握り締める中、扉が閉まった。
横になり、待っている質素な食事を見た。無視していた空腹が叱るように、いや、哀願するように感じた。
舌を鳴らし、視線を逸らした。部屋が片付いていることに気づいた。
投げ散らした引き出しは元の場所に戻っていた。クローゼットは服が床に落ちることなく閉まっていた。
カインは部屋の秩序を叱責として見た。
(戻るとは思っていなかった)
両腕を持ち上げ、純粋な怒りで見つめた。
(この役立たずの体さえなければ、今頃ゲートに向かっていたのに)
拳を握り、顔を殴ろうとした瞬間、以前拾わなかった小さなシャツが目に入った。
小さな布が折りたたまれ、ベッドの縁に置かれていた。
考えが真っ白になった。静寂は家族が下の階で夕食を食べる音が聞こえるほどだった。
目が部屋をもう一度見回した。
(俺もナタンの部屋を片付け始めた……父さんが帰ってこなくなった後)
食事の皿に近づき、座って持ち上げた。
「お母さんも俺が寝込んでいた時に食べ物を持ってきてくれた」
震えながら右目を覆い、黙ったまま。
家族が夕食を終えた。母親が娘を部屋へ連れていき、また降りてくる音がその空虚に寄り添った。
カインは腕を伸ばし、食器がないことに気づいて止まった。皿の横に箸が二本あるだけだった。
(エラーラは箸で食べられるか?)
(間違いなく、彼女は何でどうやっても食べるだろう)
唇が曲がろうとした。その意図は蒸発し、目へと昇っていった。
おかゆの姿がぼやけると、強く目を擦った。
(何をやってるんだ、カイン?)
(集中しろ!)
ずっとしたかった自分への一撃を顔に入れた。
(優先順位を整理しろ)
ベッドから立ち上がった。
(戻るために……まず何が必要だ?)
ゆっくりと体を観察した。
(ネタリは俺に何が起きたか知っているか?)
首を振った。(どこにいるか、どうやって戻るかを知る方が重要だ)
(このせいで……この体のせいで難しくなるだろう)
小春の声を聞いて飛び上がった。
「朝陽大吾!」
カインは怖くてドアを振り返ったが、閉まっているのを見て、声が下から来ていると気づいた。
トーンが下がり、言葉が聞き取れなくなったので近づいた。
耳を木に当てた。小春の声が何かを言い終えるのを聞いた。
「……起きたばかりだから、ダメ」
「小春、体に長期的なダメージがないか知ることが大事だ」
カインはシャツを持ち上げ、傷跡を確認した。
「休ませないと」
「甘やかしすぎだよ、小春」
「あなたが押しすぎなの」
カインはドアから離れるべきだと感じたが、深い欲求が聞き続けさせた。
「もう少しで失うところだった……まだ準備できていない」
カインの心臓が縮むようだった。
「わかった……数日猶予をあげる」
(数日、何のために?)
「ありがとう、ねえ。でも、その間は邪魔しないでね」
「様子を見に行く」
カインは怯えた猫のようにベッドへ滑り込んだ。
扉が開いた時には、もう寝たふりをしていた。
小春が入ってきて、食事が手つかずなのを見てため息をついた。
「温め直して持ってくるね、坊や」
カインは目を閉じたまま、母親が出ていき、下に降り、食べ物を温め、また上がってくる一歩一歩を聞いた。
しかし、殴られる以外のことがこれほどの痛みをもたらしたことは一度もなかった。
小春がお皿を置き、おでこに小さなキスをした時だった。
出た後、カインに寄り添ったのはシーツが動く音だけだった。
端に座った。時間が経ち、ため息とともに周りの幻想が溶けていった。
ゆっくりと額に触れた。
できるようになると、湯気の立つ皿を見て、黙って手で食べた。一口一口が苦労して降りていった。
空になった皿とコップがテーブルに置かれた。カインは横になり、目が木の天井をなぞった。
(何をすればいいんだ?)
計画を立てようとするたびに、思考は逸れるかアイデアが崩れ落ちた。
目を閉じることもできないまま、何時間も横になっていた。
(何も思いつかない……)
(この体では……いや、自分の体だとしても、どこにいるかわからない)
右目を覆った。(本当に他の誰かの体にいる……その人のベッドで、家で……家族と一緒に)
(彼らをどうすればいい?)
(なぜ気になるんだ?)
横向きになり、腕に顔を乗せた。小春が台所にいた時に聞こえた言葉が頭の中で回っていた。
(考えるな、カイン、お前にも待ってる人たちがいる)
(ここを出られるまで黙っている。どこにいるか、どうやってゲートに戻るか調べる。それから……行く口実を見つける)
「本当に申し訳ない、ネタリの家族」
(俺はあなたたちの息子じゃない)
計画を考え続けたくても、目が閉じ始めていた。
夜は待つことなく進み、その部屋を深い静けさで包んでいた。カインの瞼は、のしかかる重さとの戦いに負けた。
気づかないうちに眠りに落ちた時、体が緩んだ。
銀色の怪物がヴォイドストライダーたちを殺す映像。トリンとエルドレンの顔が、ヴェイルから落ちていく中で輝きを失っていく。セラが全てをおびえながら見ている。
ディランが地面に倒れた。足を掴み、カインを振り返った。
「俺が怪我したのはお前の右目のことを知っていたからだ。見ていなかったら、カバーしていなかった」
カインは一歩後ろへ引いた。
「黒髪、友達を自分の責任に巻き込んだな」銀色のマンドリルの横に立つアルドリックが言った。
カインの口が開きかけたが、エラーラを見て止まった。
「今度はどのくらい待たせるの?」
後ろから別の声が聞こえた。
「お父さんに何が起きたか探すと思っていたのに、お父さんみたいに消えちゃうんだね」ディランの横に母親と並んでいるナタンが言った。
母親は表情なくカインを見ていた。
カインが彼らのほうへ一歩踏み出した瞬間、ヴェイルが砕け、全員が落ち始めた。
暗闇が彼らを包んでいった。全員の目がまばたきせずカインを見ていた。
「違う!俺は……」
大きな音とともに、カインは激しい動きで目を覚ました。
体中から汗が滲み出ていた。興奮で呼吸が乱れていた。
少し頭を押さえた。落ち着いて呼吸できるようになると、風が当たって動いている窓を見た。
窓枠をわずかに触れる太陽の光は淡かった。その色は、始まろうとしている日のように初々しかった。
カインは指がそこにあるかのように、指輪があった場所を撫でた。
(そうだな……)
(もう誰も俺のミスに巻き込まない)




