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ネテリア  作者: Netheria
19/44

何が起きたんだ?

薄いカーテンから差し込む太陽の光は、小さな木の部屋を暖めることができなかった。




 カインは鳥のさえずりが耳に届こうとしているのに、そのメロディを聞き分けられなかった。




 少し頭を動かしたが、目はその動きに従わなかった。視線は鏡に固定されていた。




 反射像があまりにも鮮明で、口で呼吸し始めた。




 目の前の人物は彼より背が高く、粗い素材の緩やかなシャツとズボンだけを身に着けていた。




 その体が後ろへ一歩下がった。心に言葉一つ浮かばなかった。




 なぜかわからないまま、右手を耳まで持っていった。




 耳だけでなく指にも触覚があった。冷たさ、先端、軟骨の鋭さを感じた。




「右腕で感じられる?」




 両腕を前に出した。手のひらを見て瞳孔が収縮した。




「なぜ?左腕を失ったはずなのに」




 全身が小さくけいれんするのを感じながら、鏡に近づいた。




 表面に触れ、右目があった場所を手で隠した。




「俺は……死んだ?」




 そう考えた時、瞼が閉じた。




 頭を振って目を開けた。鏡の中の若者が見つめ返してきた。




「いや、まだだ」




 拳を握り、鏡に鈍い一撃を与えた。




「ヴェイルに落ちて体が健康になった?」




「だから外見が変わった?」




 歯を食いしばり、鏡から離れた。




 指が髪に絡まり、力強く握った。




「で、どうすればいい?」




 胸が激しく上下した。




 もっと静かに呼吸しようとした。やがて鳥のさえずりがようやく耳を通り抜けた。




 振り返ると、今まで無視していた朝の光があった。




「集中しろ、カイン。今重要なのは他の奴らに何が起きたかだ」




「ディランは大丈夫か?全員戻れたか?ヴェイルはどうなった?」




「戻らなければ」




 窓に近づき、開けて出ようとした。




 扉の外から足音がして、その場で止まった。




 木の床のきしみがだんだん小さくなった。続いて小さな跳び跳ねる音のようなものが聞こえた。




 下で二つの声が話していた。距離があり、カインには一言も聞き取れなかった。




 ナイフが刻む音が部屋まで反響してきた。




「ここに他の人がいる。何が起きたか知っているかもしれない」




 突然めまいが襲いかかり、カインをとらえた。体が弱くなっていく感覚。




 倒れないよう壁に寄りかかった。




「娘、お兄ちゃんの様子を見てきて」




「はーい!」




 小さな足音がどんどん大きくなった。カインは動けないまま立っていた。




 ドアが慎重に開いた。




 茶色の髪と小さな尖った耳を持つ小さな女の子が入ってきた。




 その目の色は、カインが鏡の中で見たのと同じ暗い緑だった。




 女の子は壁で支えているカインを見た。目が瞬時に開いた。




「おにいちゃん!」




 走って出ていった。声が廊下に響いた。「ままー!おにいちゃん起きたよ!」




 カインは心が締め付けられるのを感じた。




 ナイフが床に落ちる音と、女の子の母親が急いで近づいてくる足音を聞いて、その感覚は大きくなった。




 女性が入ってきた。同じ髪、同じ目。




「景哉(かげや)!」声は安堵していたが、表情は心配していた。




「なんでベッドから出てるの!?」




 その体の口が開いたが、一つの音も出てこなかった。




 あのネタリ女性の姿がカインの瞳の中で揺れていた。今にも地面に崩れ落ちそうだった。




 母親は抱きしめ、落ち着いた狼狽とともにベッドへ導いた。




「まだ起き上がれないの」




「どんな気分?」




「疲れた、お母さん」と景哉は答えた。




 カインが感じていためまいは、言われた言葉を理解させてくれなかった。




 しかし最も衝撃的だったのは、その返事の速さだった。




 母親はため息をつき、微笑みながらその目が潤んだ。




「休んでね、坊や」




 立ち上がり、女の子の手を取り廊下へ向かった。




「柔らかいものを持ってきてあげる」




 急いで出た様子は明らかで、ドアを閉めた。




 部屋がぐるぐると回った。カインの考えは起きたことを追いかけようとした。




 瞼が閉じた。




 目が覚めた時、太陽の光はオレンジ色の色調になっていた。




 右手を顔に当て、その側を隠した。




 左のサイドテーブルには、おかゆのような食べ物と水の入ったコップが置かれていた。




 頭を空白にしたまま、カインはベッドの端に座った。コップを手に取った。




 液体が喉を流れる感覚は、何日も喉が渇いていた人のような安堵をもたらした。




 コップを置き、じっと見つめた。食べ物を見た時に感じた穏やかさが自分を責めた。




 歯を食いしばり、皿を押しやった。できる限り遠くへ。




 肘を膝に乗せ、額を手のひらで支えた。床を見ながら黙っていた。




「何が起きているんだ?」




 目を閉じた。「何かがおかしい」




「あの人たちは誰だ?」




 指が額に食い込み、答えを埋めようとしていた。




 風が窓に当たり、ガラスを揺らした。




 カインは立ち上がり、窓から外を見た。




 土の道を歩く人々。木の家々に囲まれていた。




 草の緑と屋根は、見覚えのない薄い白い層で覆われていた。




 それが不思議だった。見渡すと、全員が尖った耳を持っていた。




 右の瞼に指を当てた。「気のせいじゃなかった。視力が上がった」




 窓ガラスに触れた。「ここはどこだ?」




 離れ、もう一度鏡を見たいという深い衝動を感じた。




 カインは進んだ。一歩ごとに高まる恐れを消そうとしながら。




 止まり、まばたきせずに反射像を見つめた。




 顔を触り、次に体を触った。腹のあたりで何か不規則なものを感じた。




 シャツを上げると、胃の半分ほどにわたる傷跡が見えた。




 その粗さのざらつきは荒かった。最近のものだとカインは思った。




 もっと近づいた。鏡の中の人物は細く、筋肉は鍛えられていなかった。




 失望して布地を下ろした。




 体を見続けていると、目に警戒の色が浮かんだ。




 左手を見た。「指輪が!」




 素早くサイドテーブルへ走り、物を床に落とした。




「ない、ない!」




 クローゼットへ行く前に止まった。首の後ろに手を当てながら。




「エラーラの髪ゴムもない」




 ベッドを力強く叩いた。「馬鹿、なぜ気づかなかったんだ」




「時間を無駄にできない」




 カインはクローゼットを探し、役に立たないと思うものは何でも除けた。




 小さなシャツが床に落ちた。体が止まった。




 膝をついて、腕が素早く伸びてシャツを拾い上げた。その服が部屋に縛りつけていた。




 苦労して立つ前に拳を握った。指が布地に触れた。




「なぜ拾おうとした?」




 体が折れ、木の床に座った。




「俺に何が起きている?」




「戻らなければ。ナタンとよく学校まで送るようにすると約束した」




 指の関節で自分の顔を殴った。純粋な本能に導かれて。




「迷うな!」




 荒々しく厚い革のブーツを履いた。




 ドアに寄りかかり、注意深く聞いた。音は何も聞こえなかったので、部屋を出た。




 階段を下り、玄関へ向かった。ノブに触れたが、回せなかった。鍵がかかっていないとわかっていながら。




 道を知っている不快感は、行きたくないという感覚と共に来ていた。




 必要以上の力でノブを回した。誰もいないことを確認するために顔をのぞかせた。




 道が空になった瞬間に出て、村の出口がどこかを見分けようとした。




 小道を歩きながら走りたい衝動を抑えた。足取りは確かで急いでいた。




 道の半ばで体を抱き、息ごとに白い息が漂った。




 皮革が立てる音はカインには新しかった。一歩ごとに白い層に跡を残した。




 出口に近づくにつれ、息が激しくなった。コントロールできない疲れが増していくのを感じた。




 正門の近くにネタリの男性がいるのに気づいた。がっしりとした体格で、顔は黒いひげに覆われていた。




 視線を逸らし、出口へまっすぐ向かった。




「朝陽(あさひ)?」




 その男が言った。カインは振り返らなかった。




「誰に話しかけてる?」




 カインのほうへ向き直った。




「起きたんだな。よくなってきてよかった」微笑みながら話し続けた。




 立ち止まらないのを見て、混乱して声を大きくした。




「おい、どこへ行く?」




 カインは止まらずに横目で見た。




「くそ、俺に話しかけてる」




 見知らぬ人に向けて腕を伸ばした。指を開いた。




 男は一瞬だけ止まり、顔に軽い混乱が浮かんだ。




 再び近づいてくる足音が聞こえると、走り始めた。




「待て!出られないぞ、朝陽」




(追いつけるか見てみよう)微笑みながら思った。




「マエナは六回しか追いつけなかった」




 足にマナを送る体勢を取った。コントロールが不格好だった。




 非常に不格好だった。




 マナが思い通りに反応しないのを感じた時、ほとんど躓いた。




 ネタリが後を追って走り始めた。




「なぜ動かない!?」




 マナを強引に脚へ送った。感じた痛みも止まらせなかった。




 しかし爆発させようとした時、体が地面に突っ込んだ。




 激突し、少し滑った。




 素早く向きを変えて立とうとしたが、完全に失敗した。




「何をやってるんだ!」




 男の怒鳴り声でカインはいざりながらも止まった。




 追いつかれたと感じた時、向き直った。肘を地面についたまま、もう一方の腕を伸ばした。




「近づくな!」




 黒いひげのネタリは急停止した。伸ばしていた手を引いた。




「朝陽……大丈夫か、何かあったか?」




 カインは体が倒れそうになるのを感じた。さらに苛立った。




「俺はここにいられない。行かなければ」




 男は慎重に近づいた。




「おかしくなってる、混乱してるのはわかる。怖いのもわかる。でもここがお前の家だ」




 ひげが動き、カインに話し続けた。カインはただ首を振るだけだった。




「お父さんのことは心配しなくていい、お母さんよりずっと心配してたくらいだから」




 そばにしゃがんだ。




「一緒にいた間ずっと、怯えた野ウサギみたいだったぞ」しゃがれた笑い声とともに言った。




 カインは首を振るのをやめた。目が燃えるような感覚がして、右目を隠した。




「わかっていない……俺はその子の息子じゃない」




「馬鹿なことを言うな!」男は反論した。




 景哉の体を抱え上げた。まるで軽いものを持つように。




「お前の怪我を知った時、走って迎えに行ったんだぞ」




「走って連れて帰ってきたんだ」




 カインは何か言おうとしたが、口が答えなかった。




 舌さえ動こうとしなかった。




 その男に抱かれながら、カインは一歩ごとの重さを感じた。




 目が漂い、意図もなく周りを見回した。




 一日最後の光が、屋根、荷車、地面を覆う薄い層に反射していた。




 自分が残してきた足跡に気づいた。戻りたくない場所へまっすぐ続いていた。




 牢獄ではなかった。もっと恐ろしいものだった。




 ひげの男の沈黙が帰り道をより重くした。聞こえるのは革靴が雪に新たな跡を残すきしみ音だけだった。




 カインは理由もわからないまま恐れを感じた。




 一軒の家まで来ると、体が完全に緊張した。




 その家の前には複数の足跡があった。




 低い鼻息をつきながら、男はカインを見た。




「落ち着け、坊主」




 家の前で女性が話しているのが聞こえた。カインがいた部屋から声が来ていた。




 言葉は聞き取れなかったが、苦しそうなトーンがあった。




「大吾(だいご)!いい加減出てきなさい、余計な仕事させないで」ひげの男が叫んだ。




 その名を聞いた時、カインは硬直した。




 声が止まった。人が下りてくるこだまが小道まで届いた。




 扉が開き、息を切らしたネタリ女性が現れた。




「景哉!」と彼女は出てきながら言った。




「なぜ出たの?」




 景哉の腕を掴んだ。「できないの。起きたばかりなのよ」




「落ち着いて、小春(こはる)」




 大吾が後から出てきながらしゃがれた声で言い、出てくると彼女の隣に立った。小春の頭が彼の胸にやっと届くほどだった。




「大吾、あなたには残業代が……」




「何が落ち着けよ!?」ひげの男を遮って小春が言った。




 男は一歩下がり、景哉をまだ抱えていた。




「息子がどこにいるかわからなくて、それだけしか言えないの!?」




 大吾はドアの枠からひげの男を見た。




「まず景哉がなぜ外にいたか知る必要がある」




「そんなのどうでもいい。なぜまだ部屋に連れていかないの?休まないといけないのに」




 大吾は景哉を受け取った。景哉は完全に黙っていた。




 小春は体を傾けた。




「ありがとう、岩上(いわかみ)さん、連れてきてくれて」




「入口の近くで見つけたんです。できるだけ早く回復したいと言ってました」岩上は言い、大吾が景哉を抱いて家の中へ入っていった。




 カインはひげの男が小さくウインクするのを見た。




「立派な狩人になろうと頑張ってるのは素晴らしい」笑いながら小春に別れを告げた。




 小春は家の中へ入り、ドアを閉めた。大吾は息子を連れて階段を上っていった。以前より狭く感じる階段を。



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