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ネテリア  作者: Netheria
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ゲート

カインは壇の中央に戻り、再び姿勢を取った。


「楽にしろ、必要ない」マエナの声から、権威の気配がわずかに薄れた。


「これから言うことは、個人的な見解だ」




カインは力を抜き、腕を体の横に落とした。


落ち着いて見えたが、心の中では走って逃げたかった。




「安心しろ、叱責ではない」彼女はそう言って、姿勢をわずかに緩めた。


「ドーンフォールン、これまでの実績を見る限り、お前には才能がある」




かつて生徒たちがいた広場へと視線を向けた。


「あの挨拶は、即興にしては悪くなかった」




一拍置き、カインの反応を観察する。


「聞こえただろう、あれは私が考えた試みだ」




(やっぱり!忘れてたわけじゃない、でも、なんで……!)


カインは思わず口を開いた。


「では、なぜ私に?」




マエナは眉を上げてカインを見た。カインはすぐに言い直した。


「理由を聞いてもよいでしょうか、指揮官」




マエナは満足そうにため息をついた。


「最高評価の生徒を試すことにした」マエナはカインの周りをゆっくり歩きながら答えた。


「全体的には——失望させなかったと言える」




彼の前で立ち止まった。


「演じるなら、信じ込め。迷っているときでも、揺るぐな」




指揮官は頭を傾け、苛立ちを含んだため息とともに付け加えた。


「『もう思いつかない』とは、何だ」




その言葉を聞き、カインは自分の発言を思い出して目を伏せた。


マエナは、その姿勢に僅かな羞恥を見た。




視線を固め、マエナを真っ直ぐ見据えた。


「指揮官、実際のところ——本当に何も思いつきませんでした」




マエナは式典の冒頭と同じ真剣さでカインを見つめた。


しかし、唇のわずかな動きが、一瞬だけ光った。




「正直であることは良いことだ」マエナは言った。声は静かだったが、権威は失われていなかった。


彼に近づき、目を正面から見つめた。


「だが分かっておけ。その正直さは……代償を伴うこともある」


「覚えておけ——嘘をつき通せないなら、つかない方がいい。沈黙は弱い嘘より強い」




言い終えると、指揮官はカインから離れ、確かな足取りで体を向けた。


カインは右手を見た。指揮官の言葉の意味を、理解しようとしながら。




前方で、マエナがちらりと振り返り、カインの顔に迷いを見た。


「焦るな。今日分からなくていい」




カインはなお右手を見続けた。胸の奥に、わずかな疼きを感じながら。


手を持ち上げ、ほんの一瞬だけ、顔の半分を覆った。




(分かってる。よく分かってる)




指揮官はいつもの毅然さと規律に戻った。


「下がっていい。仲間が待っている」背を向けたまま命じた。




「ありがとうございます、指揮官」カインは振り返り、遠くで待つ仲間たちの姿を見た。


離れながら、今日がどれだけ混乱に満ちているかを整理しようとした。




(これで二度目だ……エラーラはどうやって降りたんだろう)




マエナは遠くから三人を見た。視線は変わらず、揺るぎなかった。




「このクラスには……ポテンシャルがある」静かにつぶやいた。







三人は壇から離れ、目的もなく一緒に歩いていた。


興味を引くものに向かって歩きながら、式典での出来事を話し合った。




「はははっ、カイン、エラーラが段を降りるのを見てなかったのか」ディランが笑いを弾けさせた。


「ちょうど気になってた」カインが近づいた。笑みに好奇心が滲む。


「転げ落ちたのか、それとも滑ったのか?」


「歩けるわよ!」エラーラが赤くなりながら叫んだ。




ディランとカインが振り返り、笑みが大きくなった。


「お前より硬い柱は見たことがないぞ、エラーラ」カインが指を向けながら言った。


「ああーっ!」




冗談と笑い声の中で、時間は早く過ぎた。


訓練場と図書館を見て回った。図書館ではエラーラが本に見惚れて時間を忘れた。


当てもなく歩いているうちに何度か迷い、朝の式典と同じ広場に戻ってしまったこともあった。


二時間はあっという間だった。




エラーラが他の生徒に声をかけ、迷っているのを見た生徒たちが中央ホール——学院の中心部——への道を教えてくれた。




到着すると、すでに多くの生徒が集まっていた。


小さなグループがあちこちに輪を作っていた。




もう少し近づいたとき、一つの声が向けられた。


「ディラン!」聞き馴染みのある、陽気だが棘のある声が近づいてきた。




三人が振り返ると、金髪の青年が自信満々な様子でこちらへ向かってきた。


「ルカン!」ディランが手を上げた。




ルカンは決然と近づいてきて、カインの後ろに立つエラーラに気づいた。


「やあ……エラーラ。元気……かな?」魔法のように、態度が一変した。視線が左右に泳ぐ。


「元気よ、ありがとう」エラーラは髪を払いながら答えた。




ディランが挨拶を続けようとしたが、うまくいかなかった。


カインはそれを見て苦笑いし、ルカンと一緒に来ていたもう一人の生徒へと向き直った。


近づく。


「元気か、タロス?あのバカについていくのはまだ大変か?」


タロスは眼鏡を直しながら振り返った。


「カイン、あの人物が私に与える困難は計り知れない」




二人は握手を交わしながら笑った。




「バカと言うとは度胸があるな」ルカンがカインに近づいた。


彼の前に立ち、カインが壇でやったジェスチャーをまねた。


「もう思いつきません、ですか」




「もう一度言ってくれるか?『5位の俺、ランクを上げられませんでした』としか聞こえなかったんだが」カインは耳に手を当てた。




「あ……!?」ルカンが声を上げながら詰め寄った。


「毎回遅刻してやっと1位を保った奴が偉そうにしてる」




カインは上体を引きながら笑った。


「先生より早く来ても1位になれない気持ちは、想像もできないな」




一方、ディランがタロスに近づいた。気楽に笑いながら。


「はははっ、またあの二人が始まった」


「知ってる」タロスはまた眼鏡を直した。飽き飽きしているのが態度に出ていた。




ルカンがカインのシャツを掴んだ。カインは笑ったままだ。


「同じだと思うなよ、ここでは違う」




カインが口を開きかけたところで、声が遮った。




「生徒たち、注目!」教授の高く、厳しい声が飛び、全員の視線が集まった。




五人がそちらを向いた。スーツを完璧に着こなした大人だった。


顔には計算された真剣さが滲んでいた。


ルカンはカインを放し、タロスと共に列へ向かった。




ディランとエラーラがカインの隣に立った。


沈黙は一分ほど続いた。教授は苛立たしげに待っていた。


全員が揃ったのを確認すると、自己紹介を始めた。




「コービン・フェロウだ」


生徒たちを見渡し、丁寧に眼鏡をかけ直した。


「アルカ・ノヴァで歴史を担当している」


「同時に、全生徒の記録——特に実力と進捗の管理を担当する」




生徒たちは静かに耳を傾けた。


「これまでの実績に基づいてクラスに分ける。慎重に評価した結果だ、プロセスを疑うな」


声は乾いていたが、格式があった。


「はっきり言っておく——以前のランクは、アルカ・ノヴァでの出発点に過ぎない」


「目的は、不足している能力、あるいは欠けている能力を伸ばすことだ」




教授は腕を組みながら一歩前へ出た。


何人かがこっそり話していると、コービンは予告なく質問を投げかけた。




「お前」話していた生徒を指差した。「アルカ・ノヴァの目的は何だ?」


その生徒は言葉に詰まり、コービンを見てから学院の姿勢を取った。


「アルカ・ノヴァの目的は、ヴォイドストライダーとして働ける生徒を育てることです」


「不正解、コールドスパイア」教授は指でジェスチャーをした。


「認められたヴォイドストライダーは存在するが、アルカ・ノヴァの使命は一般的な傭兵を作ることではない」




コービンが前へ出ると、その生徒は一歩下がり、他の生徒の中に隠れた。


「我々の目的は、それを超えた段階へ到達させることだ——ごく少数だけが存在する精鋭へと」


「我らが指揮官と同じ段階——アンブラルナイトだ」




言い終わると、すぐに別の生徒を指した。


「お前、アンブラルナイトとヴォイドストライダーの違いは何だ?」




筋肉質な体格の青年が答えるために姿勢を取った。


「ヴォイドストライダーは、ポータルを越えてネテリアでの依頼を受ける傭兵です」


「仕事は魔物の討伐で、代わりに現地の民が素材で支払います」


一息ついて、感嘆の様子で締めくくった。


「アンブラルナイトは傭兵の精鋭です」




「不完全だ、ブレイズフォール」




教授は生徒の前を左右に歩き始めた。


「まず——ヴォイドストライダーはゲートと呼ばれる、両世界をつなぐポータルを通って移動する」


「依頼を完了すると、我々にとって価値ある素材で報酬を受け取る」


「その点は正しい、ブレイズフォール」




歩みを止め、生徒たちを見渡した。声のトーンが微かに変わり、誇りが滲んだ。


「アンブラルナイトは我々の力の象徴だ」


「知っての通り、ネタリは弱くない。中には手強い者も多い」




一人の生徒が友人に囁いた。「でも俺たちの方が強いよな」




コービンは指を立てた。他人を訂正するたびに繰り返される、癖のようなジェスチャー。


「歴史が示す通り、我々はかつて彼らと戦争を経験した」


「アンブラルナイトの誕生こそが、双方の均衡をもたらした」


「君と同年代のネタリは、君より二倍以上強い。ソーレン」


「アンブラルナイトは単なる『精鋭』ではない。我々の誇りであり、ネテリアの民との交渉に不可欠な存在だ」




生徒たちの顔に驚きが広がった。興奮で笑顔になる者もいた。


アルカ・ノヴァに持ち込んだ夢が、コービンの言葉によって育てられていた。




カインがディランに身を寄せた。「初日から授業があるとは知らなかった」小声で言う。


ディランは笑いながら、さりげない仕草でカインを黙らせようとした。




「最後の質問だ」コービンは空間に向けて言った。


「ゲートを使って向こう側に渡る方法を知っている者はいるか?」




エラーラが手を上げた。


「マナの橋が両端をつないでいます。ヴェイルと呼ばれています」


「正解、レイヴンクレスト」教授がうなずいた。「その情報は、自ら調べた者にしか出てこない」




間違えずに済んだ安堵感に、エラーラは満足そうに微笑んだ。




「ヴェイル——ネテリア由来のマナで構成された橋だ」


コービンは顎に手を当て、天井を見上げた。


「なぜこの橋が我々を通すのか、そしてなぜ我々だけが使えるのか——分かっていない」


「分かっているのは、不安定だということだ。渡ること自体がすでに試練だ」


「剛性を失う部分もある。落ちた者は、二度と見つかっていない」




コービンは頭を下げ、説明を続けた。


「渡り切れたとしても、それで全て順調とはならない」


「ゲートが我々のヴォイドストライダーを全く予期しない場所へ送り込むことがある」




新しい情報が全員の耳に届いた。多くの者が顔を見合わせ、言葉を交わした。


「ヴェイルのことは知らなかった」


「姉が任務に行ったとき、ヴェイルのことを話してた」


「予期しない場所に?」




コービンはひそひそ話が少し続くのを、声量が上がるまで許した。




ディランとエラーラが素早く視線を交わし、カインへと向いた。


彼が顔の半分を覆う中、真剣な眼差しが三人を包んだ。




「だからこそアルカ・ノヴァには、サバイバル訓練も存在する」


コービンはやや声を上げ、ひそひそ話を止めた。


「最も基本的なものから——地図の読み方、食料の調達」


「ネテリアのどの街や地域を避けるべきか、まで」




エラーラの前の生徒が友人に囁いた。


「叔父が言ってた、ヴォイドストライダーを嫌っている場所もあるって」




コービンは続けた。


「もう察しているだろうが——渡ること自体が、各任務の最も重要な部分だ」


「それこそが、ヴォイドストライダーとしての真価が問われる場面だ」


「聞けば壊滅的に感じるだろうが、こうした事態が頻繁に起きるわけではない」


「それでも、リスクは現実だ。それを明確にするのが私の役目だ」




コービンの言葉の重みを感じた生徒は少なくなかった。


冒険に興奮する者もいたが、沈黙が全員を包んだ。


迷いそのものに抱かれるようだった。




「これが最初の試練だ。よく考えろ」




生徒の中には、渡ることの重さを既に知っている者もいた。


エラーラとディランもその中にいた。




全員が不安を抱くのをコービンは見た。それが彼の狙いだったようだ。


腕で合図すると、助手が名簿を手に近づいてきた。




「各自の名前とクラスを読み上げる」


「各クラスの目的は明日、担任教官が説明する」


「六ヶ月後、進捗に応じてクラスの変更が行われる場合があることを伝えておく」


「繰り返さない。注意して聞け」




教授は名前とクラスを読み上げ始めた。


コービンが名前を読む中、カインとディランが視線を交わした。ディランの目に微かな不安が滲んだ。


それにカインが反応した。




その隣でエラーラは物思いに沈み、まばたきも少なかった。




「エラーラ・レイヴンクレスト、Cクラス」




彼女は目を見開き、前を向いた。「あ!はい!」


答えた後、また静かになった。視線がわずかに遠くなる。


頭から離れない考えがあるようだった。


それはカインの目に留まった。




(エラーラ、何かあったのか?)




名前とクラスが読み上げられ続ける中、カインは考え続けた。




「ルカン、Aクラス。アルドリック、Bクラス。タロス……」




言葉が遠くなり、背景のノイズと化していく。




「カイン」


「カイン」


「カイン!」




ディランが抑えた叫び声を上げた。


「聞こえてなかったのか?同じクラスだぞ」


「あ……悪い」カインはディランを見て頭を切り替えようとした。


「先生の声って、眠くなると思わないか?」


「まあ……少し」ディランはそれ以上言わず、元の場所に戻った。




教授が最後の名前を読み上げかけたとき、突然止まり、名簿をゆっくり下ろした。


「名前が呼ばれなかった者は、クラスに配属されていない」


「明日の最初の時間に、指揮官の執務室へ報告せよ」


「以上だ、今日は下がっていい」




生徒たちは学院の姿勢を取った。


その中に迷いを見せる者がいた——まさにコービンが求めていた反応だった。


終わると、全員が散り始めた。




ルカンが足を速め、カインの横を通り際に肩をぶつけた。


「最悪な日だ、お前と同じクラスとは信じられない」


「まだいたのか。タロスの付き添いだと思ってた。入学できたなら、おめでとう」




「あ……!?」ルカンが声を上げながら詰め寄った。


「いつも遅刻してやっと1位を保った奴が。ここではそう上手くいかないぞ」


「すぐに追い越してや……」




「争いを好む態度で争いを起こすのはやめろ」タロスが上着を引っ張りながら遮った。


「覚えてろ!今回は同じにならないぞ!」ルカンは友人に引きずられながら、ぎこちなく捨て台詞を吐いた。




ディランとエラーラがカインの隣に並んだ。


「はははっ、冗談で挑発するのはやめた方がいいぞ」ディランが笑いながら言った。


「反応しなかったら面白くない」




カインは一瞬立ち止まり、表情がわずかに消えた。


「いつも通りに反応してくれて、嬉しいよ」




「そうね、いつも通りのままでいてくれればいいけど……」エラーラが柔らかな声で言った。


「何か言ったか、エラーラ?」ディランが振り返った。


「何でもないわ」かすかな笑みで答えた。




「あ、そうだ……指揮官の執務室に行かないといけないんじゃ?」




三人は一瞬でマエナの存在を思い出した。


あの圧倒的な威圧感と権威のオーラ——心の中では三メートルあるように感じていた。




「すぐ行った方がよさそうだ」


「遅れるなとはっきり言われたからな」ディランが歩き出し、ゆっくりと震え始めたエラーラがそれに続いた。




カインは二人を見て、ようやくずっと引っかかっていた考えを追い払えた。小さな安堵が戻ってきた。




────────────────────────────




罰は、想像より遥かに地味なものだった。


マエナは三人に、翌日使われる教室の掃除と整理を命じた。




カインとディランはマエナの冷たい視線の下、手際よく作業をこなした。


エラーラの彫像がそのリズムについていこうとしていた。




一室終わるたびに、次の部屋へと護送された。


指揮官の常時監視の下、永遠が引き伸ばされるようだった。




太陽が最後の赤とオレンジを滲ませ、一日の終わりを告げていた。


夜はすでに、次の番を待っていた。




三人は罰から解放され、出口へと向かった。


魂が体に戻ってくるまでしばし立ち止まり、家へ向かう最後の力を取り戻した。




「私……帰る……」エラーラは手の感覚を確かめながら言った。


「二人はそっちの道だよな?」カインが聞いた。


「そうだ、途中で分かれるけど」ディランが道を指差した。




「エラーラ、地図は出さないのか?」笑いながら言った。「また逆さまになっても困るだろ」


「はははっ……自分の家への帰り道くらい分かるわよ!」赤くなりながら歩き始めた。




「またな、カイン……明日からいよいよ始まるぞ」ディランが拳を差し出した。


「そうだな」拳を合わせた。




カインは仲間たちが家へと歩いていくのを見送った。その姿が少しずつ小さくなっていく。


踵を返し、彼も歩き出した——仲間たちとは逆の方向へ。




朝には見られなかった周囲の景色を眺めながら歩いていると、交差点に出た。


しばらく考えた後、家から遠ざかる方向の道を選んだ。




道の先に、彼を引き付けるものがあった。


もう半時間歩き続けた。夜がすでに空を占め、月の光が地上を照らしていた。




街の外れまで来ると、草の上に腰を下ろし、顔を上げた。


地平線上に横たわるものへと、視線を定めた。




自らを飲み込もうとするかのような不穏な音を放つ、巨大な円が、そこにあった。


中心は、夜よりも深い黒のマナで満たされていた。その動きは、台風の目と同じだった。


銀色の縁は、より強く、逆方向に回っていた。




「ゲート」カインは、その非自然な力の名をつぶやいた。




数分間、その光景を見つめ続けた。表情には、驚嘆も恐怖も浮かんでいなかった。




右目を閉じ、二本の指の腹でそっと触れた。


閉じたまぶたの前で、指輪がかすかに輝いた。




あの門をくぐることが、目標や栄光の夢である者もいる。


カインにとって、その意味は——違った。



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