出発
月は何度も空を渡った。渡るたびに、その輝きの一部を失っていった。
最後はやっとのことで夜を照らした。
アルカノーヴァでは、授業が変わらぬプログラムで続いた。一つのクラスを除いて。
日が経つにつれ、指揮官の訓練は強度を増していった。
グループは毎日限界まで追い込まれた。各セッションは最小限の詳細まで計算されていた。
圧力下での撤退シミュレーション。危機的状況での救出訓練。
時には、学院全体を二十周走らせた。彼女が追いつけば、さらに三周追加だった。
何度も追いつかれた。
授業が終わると、疲れ果てて家路についた。カインとディランは欠かさずエラーラと会った。
ただし、あの話題には二度と触れなかった。その間ずっと。
最終訓練日、指揮官は全校に向けて発表を行った。
まるで日常のように、そのイベントを告知した。
最初から計画されていたように、征河道との合同任務を十周年の記念として、完璧に提示した。
翌日、ダウンフォール家の朝は違う始まり方をした。カインはすでに身支度を整えていた。
左手に指輪を固定したまま、母親と朝食を取っていた。
「今日はお兄ちゃんより早いね。特別な日だってわかる」
「うん、お母さん、特別な訓練があるんだ」
ナタンが部屋から下りてきて合流した。
「こんな時間に起きてるなんて珍しいな、弟よ」
「できないんじゃなくて、したくないだけだ」
朝食を終えると、カインは全ての皿を集めて流し台へ運んだ。
「気をつけてね、坊や」
カインの手が一瞬止まった。冷たい水が両手に当たっていた。
「そうする」
母親の横を通り過ぎる時、肩に触れた。
その触れ方は束の間だった。
「夜に」と言いながら出ていった。兄が後に続いた。
「リアは?」
「学校に早く来なきゃいけなかったんだ。授業をサボって罰を受けたから」
カインはドアが閉まるのを待ち、二人で歩き始めた。
「リアはいつもそうだな」カインは笑いながら言った。
ナタンは微笑んだ。「そして毎回捕まる」
二人は近所の端まで話しながら歩いた。
「一緒に来るのは珍しいな、兄さん」
「もっと頻繁にするようにするよ」
ナタンはカインを見た。不器用に笑みを隠そうとした顔をした。
「奇跡は二度起きない」
カインは顔をしかめ返し、笑いながら手を上げて離れた。
兄はもう少し立ち止まり、弟が小道を遠ざかるのを見ていた。
「また奇跡があるといいな」
カインがアルカノーヴァの入口に近づくと、ディランがいつものように塀に寄りかかって待っていた。
「信じられない、早く起きたのか」
「お前までそんなことを言うのか」
ディランは壁から離れた。「エラーラはもう中にいる」
西の広場に着き、他の三人の仲間と並んで隊列を組んだ。前にはアルドリックがいた。正装を纏っていた。
クロスゲートのアンブラルナイトが着用するユニフォームだった。
二年生と三年生が、指揮官が準備を終えている演台へ続く道の両側に整列していた。
一分ごとに、そこにいる全員の鼓動とともに時間が進んでいくようだった。
マエナが振り返った時、その鎧の音が場所全体に響き渡った。
「アルカノーヴァの誇りを担う者たちに敬礼を!」
指揮官の命令で、全員が一斉に学院の敬礼を取る音が響いた。唯一の例外はミラで、彼女は小さく跳んでからそれをした。
「ついてきてください」とアルドリックが言った。
護送路を歩いていく中、左側でカインとエラーラの視線が交わった。
彼女の目が、彼が演台に上るまで追い続けた。
グループは指揮官の前で肩を並べて整列した。アルドリックが後ろに控えた。
「ディラン・ラストライト」ディランは指揮官のほうへ歩み寄った。
アルドリックはアルカノーヴァの紋章が刻まれた槍をマエナに渡し、彼女はそれをディランへ手渡した。
「自制心を持ち、恐れず行動しなさい。守ることの最善は、柱となることです」
ディランは敬礼で槍を受け取った。それから西側の出口へ向かい、他の者たちを待った。
「セラ・ノックス」
マエナは二本の剣を渡した。それぞれの柄に紋章が輝いていた。
「素早く、正確に。行動する前に考えなさい」
セラが演台を降りると、次の者を呼んだ。「トリン・ブライト」
カインはマエナの声を聞いていたが、その言葉に意味を見出せなかった。
視線は西の門に迷い込んでいた。
「……fallen」
「カイン・ダウンフォール!」
指揮官の声が頬を叩き、カインは素早く歩み寄った。
マエナは彼を見た。学院を二十周させる意図があった。
三度目を凝視し終えると、振り返って片刃の大剣を持ち上げた。
カインが手に持った瞬間、マエナはより個人的なトーンで話した。
「馬鹿なことはしないで。父親と同じ種類の武器を使うことが重荷でないことを示しなさい」
カインは柄を顔まで持ち上げ、一方の拳で右目を打ち、もう一方の目でマエナをまっすぐ見つめた。
「やってみせます」
カインは指揮官が渡した剣帯を装着した。大剣を背に背負い、演台を降りた。アルドリックが他の者たちが待つ場所まで続いた。
指揮官は演台の端に立ち、手のひらを開いて腕を伸ばした。
「アルカノーヴァはヴォイドストライダーを育てる学院であるだけではありません。あなたたちが選んだ運命の夜明けです」
「明日の午後、そのレガシーを受け継ぐ者たちを迎えます」
最後に腕を下ろし、武器の柄に置いた。
「解散してください」
全員が緩んだ時、エラーラが最初に西の門に向かって隊列を崩した。
アルドリックはマエナの任務開始のサインを受け取った。
「ついてきてください。他の学生たちはすでにゲートにいます」
グループは頷いた。アルドリックについて歩き始めると、カインは群衆のほうへ振り返った。
エラーラが近づいてきているのに気づき、立ち止まって迎えた。
二人は見つめ合い、二度だけまばたきした。そしてエラーラがカバンから何かを取り出した。
深い藍色のヘアゴム。カインはそれを受け取り、そんなに小さなものに宿るべきでない重みを感じた。
ポニーテールをほどき、もう一度結び直し、エラーラに微笑んでから歩みを再開した。
エラーラは胸に手を当て、カインの背中がアルカノーヴァの出口を最後に渡るのを見た。
小さな光の軌跡が空の門を照らしていた。
三十分後、グループはゲートに到着した。
ポータルから聞こえるうなり声はより鮮明だったが、不気味なことにそれほど大きくはなかった。
アルドリックが先に進み、待つよう命令した。担当者二人のところへ行き、書類を渡した。
カインは警備が増えているのに気づいた。入口を四人多くの衛兵が護衛していた。
(こうなることは予想していた)
横には、完全装備のヴォイドストライダー五人と、学院のユニフォームを着た別の五人がいた。
「あの学生たちを前に見たことあるか?」カインはディランに話しかけた。ディランは首を振った。
「一年生と同じ色だ」セラが近づきながら言った。
アルドリックが担当者と書類を確認してから戻ってきた。
「今から五人は一つのユニットです。クロスの際は中央に位置します。私のすぐ後ろに」
「私の指示に従ってください。ヴェイルを通る道は普通の歩みで十分かかります」
トリンが一歩前に出た。「十分なんて何でもない、走れば三分だ」
「走れない、筋肉。歩きながらヴェイルが固さを失っていないか確認しなければならない」
アルドリックの目が険しくなった。「銀色の怪物がその道に現れる危険もある。現れた場合は戦闘に入ることを禁じる」
全員が視線を交わし、アルドリックが使ったトーンで武器の柄を握り締めた。
全員で集合し、ポータルから数歩のところに立った。黒いマナが渦を巻き、飲み込もうとするようだった。銀色の縁が逆方向に回り、遠ざけようとしているかのように見えた。
「恐れないで、目を閉じないでクロスしなさい」
アルドリックが指示した隊形を取った。
アルドリックに続き、五人がクロスした。目を閉じた者もいれば、顔を覆った者もいた。全員が苦労して一歩を踏み出した。
しかしカインは確固たる足取りで、目を開けたまま踏み出した。
クロスし終えると、銀色に金色が混じったプラットフォームが反対側まで伸び、二倍の大きさの別のゲートとつながっていた。
寒くも暑くもなかったが、一息ごとに肺が爆発しそうな感覚があった。
体内のマナが勝手に動きたがっていた。手足の指先がしびれていた。一歩一歩が前より不格好に感じられた。
「リラックスして、集中を切らさないで」アルドリックは進みながら断続的に繰り返した。
ヴェイルは狭くはなかった。肩を並べて歩けるほどだったが、その下に広がる暗い虚空が、綱渡りのように感じさせた。
何人かにとって、それは経験した中で最も長い十分間だった。
もう一方のゲートが目の前にそびえ立った。最初のものよりずっと威圧的だった。
「出る時は目を覆いなさい」アルドリックはクロスする前に言った。
クロスしてまず感じたのは、顔に直接降り注ぐ太陽の光だった。
一時的な視覚喪失はすぐに消え、程なくして目の前の風景が見えてきた。
ネタリの検問所がゲートを囲んでいた。奥には、バリケードを抜けた先に土の道が地平線まで続いていた。
目に映ったのは、そこから放たれる色と同じほど広大な平原だった。
草の色は、かつて見たどのキクの花も比べ物にならないほど鮮烈な緑だった。
左側には巨大な森の端が見えていた。その木々の色合いはさらに濃かった。
息をするたびに、その香りが胃まで届いた。一歩踏み出そうとした時にそれが影響した。
セラが地面に倒れ、腕で体を支えた。強烈なめまいによるものだった。
ディランはただ頭を抱えた。トリンはヴォイドストライダーに掴まり、同時にエルドレンも別の一人にもたれかかった。
アルドリックは全員の状態を見た。
「深呼吸しなさい、初めてネテリアに踏み入れた時、体がマナに慣れる必要があります」
「一人ひとりへの影響は違います。めまいは徐々に消えます」
カインを見ると、彼は問題なく立っていた。
「大丈夫か?」
「俺はめまいを起こしにくいです、教官」カインは答えてディランのほうへ行った。
(最初の時はほとんど吐きそうだった。初回だけで済むのがよかった)
背後から二人のネタリが近づいてきた。外見は自分たちとよく似ていた。ただ耳がより尖っていた。
一人の耳は少し長かった。
「アルドリック様、またお会いできて光栄です。ご一緒いただけますか?」
アルドリックはカインから目を離す前に顔をしかめた。「わかった、行こう」
彼らに続いて兵舎へ向かった。手紙が手渡しされた。
彼らの間の会話は数分続いた。
一組が合流すると、アルドリックが集まるよう合図をした。
「最初の目的地は東へ二時間の小さな町です」
「あなたたちが先に行きなさい」アルドリックは学生たちを指しながら続けた。
通り過ぎる際にカインを止めた。「お前はここにいろ」
検問所の外に出ると、ゲートのうなりが距離で弱まり、香りがより強く包み込んできた。
圧倒的ではあったが、押しつけがましくはなかった。草の香りは、まるで最近水をやったかのように鼻に絡みついてきた。
アルドリックは他の者たちの気が散っているうちにカインに近づいた。
「帰ったら、あの衛兵たちがどうしてお前のことを知っていたのか、私とマエナに説明してもらう」
カインは答えなかった。仲間たちが景色に見入っているのを見続けた。
(明日はとても辛い一日になるだろう)
アルドリックは彼を押して他の者たちに合流させた。
土の道は野原と谷を越えて続いた。グループは互いに話しながら、見えるものを共有した。
後ろでは、アルドリックのグループが計画を再確認し、聞かれないよう注意していた。
地平線に、一つの街が少しずつはっきりと姿を現してきた。
「シウンに近づいています。小さな町で、少しだけ滞在します」
アルドリックがいつの間にかグループの中央に立っていた。
「あっ!教官」セラは小さく飛び跳ねた。
頭を振って続けた。
「町の後ろにもっと何かが見えます」
「ああ、あれが征河道だ。重要な理由でこの町とつながっている。ネタリの重要な英雄二人がそこに住んでいる」
「よく覚えておきなさい、ヴォイドストライダーになれたら、ここで任務を受けることになります」
カインはその街を眺め、気づかないうちに足を速めていた。目が静かに輝いた。
(父さんもここで任務を受けていたはずだ)
街に入り、メインの通りを歩いた。地元の人々の視線に好奇心はなかった。
街の中央あたりで、カインは四軒分の土地に広がる立派な邸宅に気づいた。
アルカノーヴァのグループは入口の前を通り過ぎた。カインは最後で、前を向けなかった。
母屋の庭に、深い紫色の髪と長く尖った耳を持つネタリの女性がいた。エレガントな服をまとっていた。
その顔は、控えめでありながら脅威的な優雅さと美しさを纏っていた。
目を離す前に、同じ色合いの髪の少女が何かを手に持って母親のほうへ駆けてくるのが見えた。
「ねえねえ、見て見て!」興奮しながら、小さな石を見せた。
母親はかがみ込み、丁寧に調べた。柔らかな笑顔が顔に広がった。
「猫みたい」
少女の目が輝き、母親と同じくらい長い耳が、跳び跳ねるのに合わせようとして動いた。
石を丁寧にワンピースのポケットにしまった。
少女は庭のあちら側へ駆けていった。もっと宝物を探しに。
グループは立ち止まらずに歩き続けた。カインはその光景を見た後で合流した。
買い物をしている人、その日の計画を話し合っている人々の中を抜け、街の反対側へ出た。
シウンのメインロードは丁寧に手入れされていた。開けた野原をまっすぐ征河道へと向かっていた。
大きな街灯が道に沿って並び、昼間でも光を放っていた。
道の半ばで、学院の近くに湖があるのに気づいた。その水面は、空をゆっくりと渡る雲の最も細かいところまで映し出していた。
近づくほど、その建物の壮大さが際立ってきた。親しみと懐かしさを感じさせる造りで、中央の塔に輝く紋章は制服に刻まれたものと同じだった。
「ディラン、気づいたか?」カインは友人に囁いた。
「ああ、アルカノーヴァとほぼ同じだ」
「それはマエナとライゼンが一緒に設計したからです」アルドリックが二人の間を通り抜けながら割り込んだ。
アルドリックは待つよう合図しながら正門へ向かった。石造りのアーチの下に、ネタリの人物が三人待っていた。
「クロスは順調だったようだな」
しゃがれていて落ち着いた声が中央の人物から出た。半笑いを浮かべ、尖った耳の一部が欠けていた。
肩幅が広く、腕はアルドリックの倍の太さがあった。
「ヴェイルは今のところ安定しているようです」アルドリックは答えた。
「私の執務室へ行きましょう、話すことがあります」
ライゼンはアルドリックに近づいた。誰にも聞こえないよう確認した後、「マエナの計画を続けます。ヴォイドストライダーと五人の"学生"に北の出口へ向かうよう伝えてください」
同行していた二人のネタリに向き直り、手を動かした。
二人のネタリ学生が前に出て、アルカノーヴァで使われているのと同じ敬礼をした。「はい、学長」
アルドリックも同じジェスチャーをし、五人のヴォイドストライダーが出発した。他の五人がそれに続いた。
「ディラン、グループを任せます」他の説明なしに、アルドリックはライゼンとともに去った。




