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ネテリア  作者: Netheria
14/44

過去が現在に追いついた

カインはロッカー室の床に横たわりながら、仲間たちが訓練室に入ってくる音を聞いていた。冷たさが背中を伝っていった。




 天井から目を離さずにため息をついた。




 まるで同じ部屋にいるかのように、マエナが明確に指示を出す声が聞こえた。




 武器が衝突する鈍い音が壁を振動させていた。




 できるだけ多くのマナを再生するために目を閉じ、集中した。




(授業が始まった)




 右腕に触れた。(ディランがあそこにいるはずだ……これを見せるわけにはいかない)




 訓練の強度が増すのを聞いた。




 武器がより頻繁に、より力強く激突していた。




(あまり時間がない。せめて腕だけでも見栄えよくしておかなければ)




 肘を地面につけてゆっくりと体を起こし、震える腕を前に出した。




 徐々に、腕が深い藍色のマナに包まれていった。




 手のひらから出ていた血が止まり、深く刻まれた傷が閉じていった。




 腕の小さな震えも同時に静まっていった。




「まったく面倒くさい、こんなに時間がかかるとは」息を吐きながらつぶやいた。




 震えが完全に止まったのを確認し、強く手を握った。




 何度も開いたり閉じたりを繰り返した。




(五十七……五十八……五十九……)




 数え終えると、感じることのできない傷を探すように手を三度回した。




(よし、これで授業を最後まで乗り切れるはずだ)




 目を閉じてゆっくりと息を吸った。(今すぐできるだけ多くのマナを回復しなければ)




 数分後、ロッカー室に届いていた音が止まった。




 カインは目を開いた。「くそ、まだ十五分しか経っていない」




(他に選択肢はない)




 カインは苦労して立ち上がり、洗面所へ向かった。




 立ち止まらずに鏡に横目をくれた。「これは大事なことだ、台無しにするなよ、カイン」




 顔に冷水をかけ、右の手のひらを洗った。




 制服の袖で拭いた。




 ドアに触れ、使ってから水を流した。(指揮官が信じてくれたら最高なんだが)




 ドアノブを握り、ゆっくりと息を吸い込んでからロッカー室を出た。




 外に出て周りを見渡し、右目を閉じて焦点を合わせた。




 緑の髪の学生が倒れているのに気づいた。その横に、桃色の髪の人物が向き直り、近づいてきた。




 カインは目を閉じるのをやめた。




 近づいてくるほど、指揮官の顔がはっきりと見えてきた。




「なぜそんなに時間がかかったの?」マエナは彼の前で立ち止まりながら聞いた。




(本当はもっと時間をかけたかった)




「申し訳ありません、指揮官」カインは学院の敬礼を取りながら答えた。「お腹が痛くて早く出られませんでした」




 マエナは二歩踏み出した。「嘘をつけないなら、黙っていなさいと言ったはずです」




(嘘はついていない、ただ全部は言っていないだけだ)




「訓練が終わったら、あなたは残りなさい」




 カインはためらわずに頷き、落ち着いた様子を装った。




 指揮官は向きを変えて歩き始めた。「他の人たちのところへ行って準備しなさい」




 遠ざかりながら、マエナはカインには聞き取れない何かを囁いた。




(落ち着け、カイン、退室は命じられていない。全力でやらなければ)




「はい、指揮官」他の学生のほうへ続きながら答えた。




 その途中、カインはディランを見ようとしたが、うまく見えなかった。




 手を振りながら微笑んだ。ディランは力を振り絞って応えた。




 カインはセラとディランの間に立った。




「では本当の訓練を始めます」マエナが言った。




 全員の注意が声を荒げることなく彼女に引き寄せられた。




「五人で一体のモンスターを相手にしているつもりで戦ってもらいます。互いに連携する方法を学んでください」




 マエナは長剣を抜き、一瞬でそのオーラを変えた。




「喋ることもマナを使うことも禁止です」




 剣の先が一人ひとりを指した。




「始めて」




 カインは手を上げた。「指揮官、大剣を取りに行ってもいいですか?」




 剣がゆっくりと下がった。マエナは沈黙した。




「急ぎなさい」その声は、忍耐が内なる戦いに勝った結果だった。




 カインの足音だけが部屋に響いた。




 より細く短い大剣を選んだ。急いで戻った。




 マエナはその間、頭も体も動かさず目だけで追った。




 戻ってきた時には他の者たちはすでに準備ができていた。彼は一言も言わずに自分の位置についた。




 指揮官は無言で構えた。全員が本能的に同じことをした。




 カインは指揮官の視線が自分を貫いているのを感じた。他の学生たちも同じだった。




 マエナが一歩踏み出した瞬間、全員が散り、カインだけが残された。




 指揮官の剣がカインの大剣に激突し、急停止した。刃を肩に乗せて受け止めたことで耐えられた。




 ディランはその機会を活かし、死角から突きを放った。




 マエナはそれに気づき、カインを力強く押しながら一気に向き直った。




 剣で弧を描き、ディランの攻撃に当てて弾いた。




 カインは体勢を整え、地面から斜め斬りを放った。




 指揮官はそれを横目で捉え、素早い動きで大剣の鎬を蹴った。




 衝撃でカインは武装解除され、大剣が部屋を滑っていった。




 ディランは後退して距離を取ろうとしたが、槍がついてこなかった。マエナが確実に掴んでいた。




 ディランが武器を引き抜こうとするのを見た指揮官は、槍を引いて彼を引き寄せた。




 引き寄せたところで、蹴りで床に倒し、刃を喉元に当てた。




「見物しに来たなら、退室してください」マエナは疲れた様子など一切なく、ディランから目を離さずに言った。




 戦闘を傍観していた他の三人の学生はその言葉に反応した。




 カインが仲間のほうへ駆けつけながら、自分の大剣が滑ってきたのを見た。




 拾い上げると、すぐに仲間を見た。「もう少しで行けるぞ」




 セラが最初にその気持ちに応えた。




 握っていた二本の剣の柄を握り直した。目を閉じて深く息を吸った。




「喋ってはいけない」セラは瞼を開けながら、一歩前に踏み出して言った。




「その通り」カインは口を滑稽に塞ぎながら答えた。




 セラは彼の隣に立ち、立ち上がるのを待った。




 二人は沈黙のまま見つめ合い、同時にマエナへと視線を向けた。指揮官は続けるよう促しながらそこにいた。カインが最初の一歩を踏み出し、セラが続いた。




 トリンとエルドレンは二人の背中が遠ざかるのを見た。




 エルドレンは盾の紐を腕に締め直した。トリンはメイスで二度地面を叩いた。




 二人もマエナのほうへ近づき、全員が沈黙のまま視線を交わしてから円形に取り囲み始めた。




「続けて」指揮官は改めて構えを取りながら命じた。




 五人が一斉に突撃した。マエナは一人ずつ武装解除し、全員を床に倒した。




「もう一度」指揮官は声を上げた。




 試みるたびに連携が向上した。交互に攻撃し、角度をカバーした。




 戦闘は試みるたびに長くなった。終わり方は変わらなかった。五人全員が再び床に倒れた。




「五分間、黙って休みなさい」マエナは言い、部屋の奥、武器棚のほうへ向かった。




 学生たちは息を切らしながら、呼吸を取り戻そうとしていた。




 マエナは穏やかに戻ってきた。手に持つのは別の長剣だった。




 全員が青ざめた。武器を替えた意味を理解した。




(別の剣に替えたのは、本気で攻撃するつもりだからだ)カインは唾を飲み込みながら思った。




「残り二分です」マエナは言った。




 彼らにとって、その時間は嘲るように素早く過ぎ去った。




 授業はこの形で続いた。次第に激しくなるやり取り、崩壊を防ぐための休憩を挟みながら。




 マエナはサイクルが終わるたびに指示を変えた。




「今度は私が攻撃します。攻撃は禁止です」




「この回は攻撃を交互に行います。全員が一度ずつ攻撃するまで、同じ人が二回攻撃してはいけません」




「ブレイズフォール、マナが少し回復していても、使用は引き続き禁止です」




「今後は攻撃役と防御役に分かれます」




 激しい訓練と喋れない状況で指示に従い続けることで、全員が訓練中ずっと張り詰めていた。




 マエナはたびたび、疲れ果てた者を休ませた。




 誰が崩壊寸前かを正確に察知していた。最もよく休ませたのはカインだった。




 授業が終わる十五分前、マエナは訓練を止めた。




「休みなさい」背を向けながら言った。取っていた剣を棚に戻すために奥へ向かった。




 命令の後の静寂と、遠ざかる指揮官を見て、空気が戻ってきた。




 ディランはそのまま後ろ向きに床に倒れた。セラは目を閉じて膝をついた。トリンとエルドレンは苦労して座った。




 カインだけは休むことを自分に許さなかった。大剣の先を地面に突き刺し、立ち続けた。




 全員が口でせわしなく呼吸していた。それでも汗と金属の匂いを感じ取れた。




「休憩時間は終わりです」マエナの声が明確に響き渡った。




「昼食の時間に、この訓練の目的を分析しなさい」




 指揮官は全員が頷くのを見た。まだ誰も喋れなかった。




「最初の授業は終わりです。規定の武器を取って退室してください」マエナは言い、カインに視線を向けた。




「ダウンフォール、あなたは次の授業の準備を手伝いなさい」




 ディランはカインを見た。友人の顔に心配の色が浮かんでいるのが見えた。




 カインは手でジェスチャーをし、微笑みながら行くよう合図した。




 他の学生たちは苦労して立ち上がり、棚へ向かって訓練用の武器を置き、自分の武器を取った。




 出口へ歩きながら、ディランはカインが指揮官のほうへ歩いていくのを見た。




 扉を開ける前に拳を握り、止まった。迷った末に部屋を出た。




 室内では、カインはすでにマエナの隣に立っていた。指揮官は黙ってメモを見ていた。




「参りました、指揮官」カインはまだ完全に息を整えられていないまま言った。




 指揮官はベンチを指差した。




 カインはその命令を理解し、腰を下ろした。マエナはページをめくった……もう一枚。




 聞こえるのはページが動く音だけで、それがカインを不安にさせ始めた。




(ページをめくるのを見せたかったのか?)目を細めながら考えた。




「そんな顔ができるなら、十分休めたということね」マエナは姿勢を変えずに言った。




 カインは目を開いた。(後ろに目がついているのか?)




 ベンチの横に小さなテーブルがあり、マエナはそこに読んでいた書類を置いた。




「私に言うことはない?」指揮官は書類から目を離さずに聞いた。




「俺は……」カインは答えようとしながら、かすかに震えている右腕を横目で見た。




 それを誤魔化すために足を広げ、太腿を腕の上に置いた。




「ウォームアップで無理をして、怪我をしました」




 マエナの瞼が細くなった。グローブが締まる音が続いた。




「ダウンフォール、率直に言います、あなたを任務に行かせるべきではないと思っています」




「なぜ!」カインは衝動的に立ち上がりながら聞いた。




 指揮官は向き直って彼を見た。




「気づいていないとでも思っているの?右腕、私に話していない怪我を隠しています」




「アルカノーヴァの名を一人の学生のために危険にさらすつもりはありません」




 カインは右目に触れ、視線を床に落とした。




「俺は……一年以上前に事故があって」




 マエナは腕を組んだ。「続けて」




 カインは続ける勇気を集めるのに時間がかかった。




「それ以来、右腕の感覚がない」言葉が喉を伝って出てきた。




 指揮官はテーブルの書類を素早くめくり、顔を張り詰めさせた。




「それだけ?」




「はい、指揮官」カインは腕を下ろしながら答えた。




 鐘の音が会話を遮った。




 不快な沈黙が二人の間に降り立ち、場所を支配した。マエナはまだ報告書を見続けていた。




「自分の状態がどんなリスクをもたらすかわかっているわね?」マエナは言った。




「迷惑はかけません。一年以上毎日訓練してきました」




「だから問題ないと思います」




 カインは右手を上げ、自分と指揮官の間に差し出した。




 一度も震えなかった。




 マエナはそのジェスチャーを見た。目を閉じて息を吸った。




 そのまま数秒、ゆっくりと呼吸した。




「行くかどうか決めるのは私です」目を開きながら指揮官は言った。




 カインは腕を下ろさず、強さを失わない目で指揮官を見た。




「一週間で私を説得しなさい」マエナは向き直り、先ほど読んでいた書類に戻った。




「退室してください」彼女は締めくくった。




 カインはそれ以上言えず、出口へ向かった。




 マエナはカインが遠ざかるのを見守り、扉が閉まった瞬間に長いため息をついた。




「ごめんなさい、ダウンフォール」書類を力強く握りながら言った。「こんなに急を要さなければ……」




 机に拳を叩きつけ、自分の言葉を遮った。




 拳の下でしわくちゃになった書類が、その決断を確かなものにしようとしていた。




 部屋に宿る沈黙が扉の向こうに閉じ込められた。




 カインは外で、ブーツの下の芝生を見ながら歩いた。足取りは遅く重かった。




 沈黙の中で考えを整理していた。




(一週間、たった一週間)




 左手に固定されたままの指輪を握り締めた。指先が刻まれた模様をなぞりながら震えた。




(もう少しだ、今度は上手くやる)




 頭を上げ、どこへ向かうのかもわからないまま中央棟のほうへ歩き続けた。




 ある少女の声が耳に届こうとしていた。近づくにつれて、言葉は聞き取れないが声はより鮮明になった。




「カイン」




「カイン!」




 反応し、声のほうへ向きを変えた。エラーラ以外にはあり得ないあのアクセントを聞き分けた。




 彼女は走りながら近づいてきた。ディランがすぐ後ろについていた。




 カインは手を上げ、二度ゆっくりと呼吸してから挨拶した。




「エラーラ!」




 二人が目の前で止まると、エラーラは二度話し始めようとしたが、いずれも自分で止めた。




 ディランが一歩前に出た。「大丈夫か?もっと手伝いが長いと思った」




「トイレに行く前に怒られただけだ」カインは両腕を広げ、肩をすくめながら言った。




「その後で、読まなきゃいけない報告書があるから退室しろって」




 エラーラはディランに横目をくれた。「授業前にトイレに行ったの?ディランみたいに指揮官に罰を与えられなくてよかったね」




「罰を受けたの?」カインが聞いた。




「ああ、今日遅れたから。最初の授業が自由時間でよかった」




 カインはエラーラがカバンを握り締めているのを観察した。(待って……なぜエラーラは指揮官が俺たちを訓練していると知っているんだ?)




「俺たちを指揮官が訓練していることを教えたの?」




「ディラン?」




 エラーラはカインのトーンの変化を聞いてその場で固まった。




「そうじゃない!知ったのは……」




 ディランの腕が彼女を遮った。「俺が教えた。知る権利がある」




「物事はそんなに単純じゃないし、お前もわかってるだろ」




「友達を信頼する代わりに遠ざけるほうが楽なの?」




 カインは右目を覆った。




「信頼するのは、自分の問題を押しつけることとは違う」




 ディランは一歩前に出た。「押しつけてると思い込むこと。それがこそが俺たちを信頼しないってことだ!」




「そうだ!混同するな、信頼と引きずることは別物だ」カインは目を覆っていた腕を振った。




 エラーラは落ち着かなく体を縮めた。




「気づかないとでも思った?ネテリアから帰ってきてから、エラーラは突然ヴォイドストライダーになりたがった」




 エラーラは一歩後ろへ引いた。ディランが目を見開くのを見た。




「どうして知られたか、ずっと考えてた。兄が教えたんだ」




 カインはひどく苦労して一歩後ろへ引いた。




「知っていても、何も背負わせることにはならない」




「これは俺のミスだ」




 エラーラはカバンを地面に落とした。「私のために決める権利は誰にもない」




 声はほとんど聞こえなかった。




「私が選んだの、カイン」




 カインはもう一歩後ろへ引き、感じていた痛みを抑えながらエラーラの目を見た。




「お前はネテリアに行くと選んだわけじゃない。俺がお前を引きずって行かせているんだ」




 エラーラの顔が張り詰めた。ディランは何も言えないまま拳を握った。




「俺がやらなきゃいけないことに口を出すな」




 その言葉は出る前に魂を刺した。向きを変え、遠ざかり始めた。(誰かを巻き込んだときに俺が与えるダメージ、見えるだろう?)




「カイン!」エラーラは追いかけようとして、ディランが腕を掴んで首を振るのを感じた。




「放課後、ゲートが見える広場で!」




「そこで待ってる」




 二人はカインの姿が遠ざかるのを見た。本館に入るのを見届けると、エラーラは二歩後ろへ引いた。前を見たまま。




 手を伸ばし、ディランの腕を探して、そっと握った。




「後で会いに行こう、わかってるだろ」ディランは友人が消えていった入口を見ながら言った。




「うん」




 気持ちが落ち着くと、エラーラはディランを放し、カバンを拾うためにかがんだ。肩にかけると、二人は反対方向へ歩き始めた。

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