過去が現在に追いついた
カインはロッカー室の床に横たわりながら、仲間たちが訓練室に入ってくる音を聞いていた。冷たさが背中を伝っていった。
天井から目を離さずにため息をついた。
まるで同じ部屋にいるかのように、マエナが明確に指示を出す声が聞こえた。
武器が衝突する鈍い音が壁を振動させていた。
できるだけ多くのマナを再生するために目を閉じ、集中した。
(授業が始まった)
右腕に触れた。(ディランがあそこにいるはずだ……これを見せるわけにはいかない)
訓練の強度が増すのを聞いた。
武器がより頻繁に、より力強く激突していた。
(あまり時間がない。せめて腕だけでも見栄えよくしておかなければ)
肘を地面につけてゆっくりと体を起こし、震える腕を前に出した。
徐々に、腕が深い藍色のマナに包まれていった。
手のひらから出ていた血が止まり、深く刻まれた傷が閉じていった。
腕の小さな震えも同時に静まっていった。
「まったく面倒くさい、こんなに時間がかかるとは」息を吐きながらつぶやいた。
震えが完全に止まったのを確認し、強く手を握った。
何度も開いたり閉じたりを繰り返した。
(五十七……五十八……五十九……)
数え終えると、感じることのできない傷を探すように手を三度回した。
(よし、これで授業を最後まで乗り切れるはずだ)
目を閉じてゆっくりと息を吸った。(今すぐできるだけ多くのマナを回復しなければ)
数分後、ロッカー室に届いていた音が止まった。
カインは目を開いた。「くそ、まだ十五分しか経っていない」
(他に選択肢はない)
カインは苦労して立ち上がり、洗面所へ向かった。
立ち止まらずに鏡に横目をくれた。「これは大事なことだ、台無しにするなよ、カイン」
顔に冷水をかけ、右の手のひらを洗った。
制服の袖で拭いた。
ドアに触れ、使ってから水を流した。(指揮官が信じてくれたら最高なんだが)
ドアノブを握り、ゆっくりと息を吸い込んでからロッカー室を出た。
外に出て周りを見渡し、右目を閉じて焦点を合わせた。
緑の髪の学生が倒れているのに気づいた。その横に、桃色の髪の人物が向き直り、近づいてきた。
カインは目を閉じるのをやめた。
近づいてくるほど、指揮官の顔がはっきりと見えてきた。
「なぜそんなに時間がかかったの?」マエナは彼の前で立ち止まりながら聞いた。
(本当はもっと時間をかけたかった)
「申し訳ありません、指揮官」カインは学院の敬礼を取りながら答えた。「お腹が痛くて早く出られませんでした」
マエナは二歩踏み出した。「嘘をつけないなら、黙っていなさいと言ったはずです」
(嘘はついていない、ただ全部は言っていないだけだ)
「訓練が終わったら、あなたは残りなさい」
カインはためらわずに頷き、落ち着いた様子を装った。
指揮官は向きを変えて歩き始めた。「他の人たちのところへ行って準備しなさい」
遠ざかりながら、マエナはカインには聞き取れない何かを囁いた。
(落ち着け、カイン、退室は命じられていない。全力でやらなければ)
「はい、指揮官」他の学生のほうへ続きながら答えた。
その途中、カインはディランを見ようとしたが、うまく見えなかった。
手を振りながら微笑んだ。ディランは力を振り絞って応えた。
カインはセラとディランの間に立った。
「では本当の訓練を始めます」マエナが言った。
全員の注意が声を荒げることなく彼女に引き寄せられた。
「五人で一体のモンスターを相手にしているつもりで戦ってもらいます。互いに連携する方法を学んでください」
マエナは長剣を抜き、一瞬でそのオーラを変えた。
「喋ることもマナを使うことも禁止です」
剣の先が一人ひとりを指した。
「始めて」
カインは手を上げた。「指揮官、大剣を取りに行ってもいいですか?」
剣がゆっくりと下がった。マエナは沈黙した。
「急ぎなさい」その声は、忍耐が内なる戦いに勝った結果だった。
カインの足音だけが部屋に響いた。
より細く短い大剣を選んだ。急いで戻った。
マエナはその間、頭も体も動かさず目だけで追った。
戻ってきた時には他の者たちはすでに準備ができていた。彼は一言も言わずに自分の位置についた。
指揮官は無言で構えた。全員が本能的に同じことをした。
カインは指揮官の視線が自分を貫いているのを感じた。他の学生たちも同じだった。
マエナが一歩踏み出した瞬間、全員が散り、カインだけが残された。
指揮官の剣がカインの大剣に激突し、急停止した。刃を肩に乗せて受け止めたことで耐えられた。
ディランはその機会を活かし、死角から突きを放った。
マエナはそれに気づき、カインを力強く押しながら一気に向き直った。
剣で弧を描き、ディランの攻撃に当てて弾いた。
カインは体勢を整え、地面から斜め斬りを放った。
指揮官はそれを横目で捉え、素早い動きで大剣の鎬を蹴った。
衝撃でカインは武装解除され、大剣が部屋を滑っていった。
ディランは後退して距離を取ろうとしたが、槍がついてこなかった。マエナが確実に掴んでいた。
ディランが武器を引き抜こうとするのを見た指揮官は、槍を引いて彼を引き寄せた。
引き寄せたところで、蹴りで床に倒し、刃を喉元に当てた。
「見物しに来たなら、退室してください」マエナは疲れた様子など一切なく、ディランから目を離さずに言った。
戦闘を傍観していた他の三人の学生はその言葉に反応した。
カインが仲間のほうへ駆けつけながら、自分の大剣が滑ってきたのを見た。
拾い上げると、すぐに仲間を見た。「もう少しで行けるぞ」
セラが最初にその気持ちに応えた。
握っていた二本の剣の柄を握り直した。目を閉じて深く息を吸った。
「喋ってはいけない」セラは瞼を開けながら、一歩前に踏み出して言った。
「その通り」カインは口を滑稽に塞ぎながら答えた。
セラは彼の隣に立ち、立ち上がるのを待った。
二人は沈黙のまま見つめ合い、同時にマエナへと視線を向けた。指揮官は続けるよう促しながらそこにいた。カインが最初の一歩を踏み出し、セラが続いた。
トリンとエルドレンは二人の背中が遠ざかるのを見た。
エルドレンは盾の紐を腕に締め直した。トリンはメイスで二度地面を叩いた。
二人もマエナのほうへ近づき、全員が沈黙のまま視線を交わしてから円形に取り囲み始めた。
「続けて」指揮官は改めて構えを取りながら命じた。
五人が一斉に突撃した。マエナは一人ずつ武装解除し、全員を床に倒した。
「もう一度」指揮官は声を上げた。
試みるたびに連携が向上した。交互に攻撃し、角度をカバーした。
戦闘は試みるたびに長くなった。終わり方は変わらなかった。五人全員が再び床に倒れた。
「五分間、黙って休みなさい」マエナは言い、部屋の奥、武器棚のほうへ向かった。
学生たちは息を切らしながら、呼吸を取り戻そうとしていた。
マエナは穏やかに戻ってきた。手に持つのは別の長剣だった。
全員が青ざめた。武器を替えた意味を理解した。
(別の剣に替えたのは、本気で攻撃するつもりだからだ)カインは唾を飲み込みながら思った。
「残り二分です」マエナは言った。
彼らにとって、その時間は嘲るように素早く過ぎ去った。
授業はこの形で続いた。次第に激しくなるやり取り、崩壊を防ぐための休憩を挟みながら。
マエナはサイクルが終わるたびに指示を変えた。
「今度は私が攻撃します。攻撃は禁止です」
「この回は攻撃を交互に行います。全員が一度ずつ攻撃するまで、同じ人が二回攻撃してはいけません」
「ブレイズフォール、マナが少し回復していても、使用は引き続き禁止です」
「今後は攻撃役と防御役に分かれます」
激しい訓練と喋れない状況で指示に従い続けることで、全員が訓練中ずっと張り詰めていた。
マエナはたびたび、疲れ果てた者を休ませた。
誰が崩壊寸前かを正確に察知していた。最もよく休ませたのはカインだった。
授業が終わる十五分前、マエナは訓練を止めた。
「休みなさい」背を向けながら言った。取っていた剣を棚に戻すために奥へ向かった。
命令の後の静寂と、遠ざかる指揮官を見て、空気が戻ってきた。
ディランはそのまま後ろ向きに床に倒れた。セラは目を閉じて膝をついた。トリンとエルドレンは苦労して座った。
カインだけは休むことを自分に許さなかった。大剣の先を地面に突き刺し、立ち続けた。
全員が口でせわしなく呼吸していた。それでも汗と金属の匂いを感じ取れた。
「休憩時間は終わりです」マエナの声が明確に響き渡った。
「昼食の時間に、この訓練の目的を分析しなさい」
指揮官は全員が頷くのを見た。まだ誰も喋れなかった。
「最初の授業は終わりです。規定の武器を取って退室してください」マエナは言い、カインに視線を向けた。
「ダウンフォール、あなたは次の授業の準備を手伝いなさい」
ディランはカインを見た。友人の顔に心配の色が浮かんでいるのが見えた。
カインは手でジェスチャーをし、微笑みながら行くよう合図した。
他の学生たちは苦労して立ち上がり、棚へ向かって訓練用の武器を置き、自分の武器を取った。
出口へ歩きながら、ディランはカインが指揮官のほうへ歩いていくのを見た。
扉を開ける前に拳を握り、止まった。迷った末に部屋を出た。
室内では、カインはすでにマエナの隣に立っていた。指揮官は黙ってメモを見ていた。
「参りました、指揮官」カインはまだ完全に息を整えられていないまま言った。
指揮官はベンチを指差した。
カインはその命令を理解し、腰を下ろした。マエナはページをめくった……もう一枚。
聞こえるのはページが動く音だけで、それがカインを不安にさせ始めた。
(ページをめくるのを見せたかったのか?)目を細めながら考えた。
「そんな顔ができるなら、十分休めたということね」マエナは姿勢を変えずに言った。
カインは目を開いた。(後ろに目がついているのか?)
ベンチの横に小さなテーブルがあり、マエナはそこに読んでいた書類を置いた。
「私に言うことはない?」指揮官は書類から目を離さずに聞いた。
「俺は……」カインは答えようとしながら、かすかに震えている右腕を横目で見た。
それを誤魔化すために足を広げ、太腿を腕の上に置いた。
「ウォームアップで無理をして、怪我をしました」
マエナの瞼が細くなった。グローブが締まる音が続いた。
「ダウンフォール、率直に言います、あなたを任務に行かせるべきではないと思っています」
「なぜ!」カインは衝動的に立ち上がりながら聞いた。
指揮官は向き直って彼を見た。
「気づいていないとでも思っているの?右腕、私に話していない怪我を隠しています」
「アルカノーヴァの名を一人の学生のために危険にさらすつもりはありません」
カインは右目に触れ、視線を床に落とした。
「俺は……一年以上前に事故があって」
マエナは腕を組んだ。「続けて」
カインは続ける勇気を集めるのに時間がかかった。
「それ以来、右腕の感覚がない」言葉が喉を伝って出てきた。
指揮官はテーブルの書類を素早くめくり、顔を張り詰めさせた。
「それだけ?」
「はい、指揮官」カインは腕を下ろしながら答えた。
鐘の音が会話を遮った。
不快な沈黙が二人の間に降り立ち、場所を支配した。マエナはまだ報告書を見続けていた。
「自分の状態がどんなリスクをもたらすかわかっているわね?」マエナは言った。
「迷惑はかけません。一年以上毎日訓練してきました」
「だから問題ないと思います」
カインは右手を上げ、自分と指揮官の間に差し出した。
一度も震えなかった。
マエナはそのジェスチャーを見た。目を閉じて息を吸った。
そのまま数秒、ゆっくりと呼吸した。
「行くかどうか決めるのは私です」目を開きながら指揮官は言った。
カインは腕を下ろさず、強さを失わない目で指揮官を見た。
「一週間で私を説得しなさい」マエナは向き直り、先ほど読んでいた書類に戻った。
「退室してください」彼女は締めくくった。
カインはそれ以上言えず、出口へ向かった。
マエナはカインが遠ざかるのを見守り、扉が閉まった瞬間に長いため息をついた。
「ごめんなさい、ダウンフォール」書類を力強く握りながら言った。「こんなに急を要さなければ……」
机に拳を叩きつけ、自分の言葉を遮った。
拳の下でしわくちゃになった書類が、その決断を確かなものにしようとしていた。
部屋に宿る沈黙が扉の向こうに閉じ込められた。
カインは外で、ブーツの下の芝生を見ながら歩いた。足取りは遅く重かった。
沈黙の中で考えを整理していた。
(一週間、たった一週間)
左手に固定されたままの指輪を握り締めた。指先が刻まれた模様をなぞりながら震えた。
(もう少しだ、今度は上手くやる)
頭を上げ、どこへ向かうのかもわからないまま中央棟のほうへ歩き続けた。
ある少女の声が耳に届こうとしていた。近づくにつれて、言葉は聞き取れないが声はより鮮明になった。
「カイン」
「カイン!」
反応し、声のほうへ向きを変えた。エラーラ以外にはあり得ないあのアクセントを聞き分けた。
彼女は走りながら近づいてきた。ディランがすぐ後ろについていた。
カインは手を上げ、二度ゆっくりと呼吸してから挨拶した。
「エラーラ!」
二人が目の前で止まると、エラーラは二度話し始めようとしたが、いずれも自分で止めた。
ディランが一歩前に出た。「大丈夫か?もっと手伝いが長いと思った」
「トイレに行く前に怒られただけだ」カインは両腕を広げ、肩をすくめながら言った。
「その後で、読まなきゃいけない報告書があるから退室しろって」
エラーラはディランに横目をくれた。「授業前にトイレに行ったの?ディランみたいに指揮官に罰を与えられなくてよかったね」
「罰を受けたの?」カインが聞いた。
「ああ、今日遅れたから。最初の授業が自由時間でよかった」
カインはエラーラがカバンを握り締めているのを観察した。(待って……なぜエラーラは指揮官が俺たちを訓練していると知っているんだ?)
「俺たちを指揮官が訓練していることを教えたの?」
「ディラン?」
エラーラはカインのトーンの変化を聞いてその場で固まった。
「そうじゃない!知ったのは……」
ディランの腕が彼女を遮った。「俺が教えた。知る権利がある」
「物事はそんなに単純じゃないし、お前もわかってるだろ」
「友達を信頼する代わりに遠ざけるほうが楽なの?」
カインは右目を覆った。
「信頼するのは、自分の問題を押しつけることとは違う」
ディランは一歩前に出た。「押しつけてると思い込むこと。それがこそが俺たちを信頼しないってことだ!」
「そうだ!混同するな、信頼と引きずることは別物だ」カインは目を覆っていた腕を振った。
エラーラは落ち着かなく体を縮めた。
「気づかないとでも思った?ネテリアから帰ってきてから、エラーラは突然ヴォイドストライダーになりたがった」
エラーラは一歩後ろへ引いた。ディランが目を見開くのを見た。
「どうして知られたか、ずっと考えてた。兄が教えたんだ」
カインはひどく苦労して一歩後ろへ引いた。
「知っていても、何も背負わせることにはならない」
「これは俺のミスだ」
エラーラはカバンを地面に落とした。「私のために決める権利は誰にもない」
声はほとんど聞こえなかった。
「私が選んだの、カイン」
カインはもう一歩後ろへ引き、感じていた痛みを抑えながらエラーラの目を見た。
「お前はネテリアに行くと選んだわけじゃない。俺がお前を引きずって行かせているんだ」
エラーラの顔が張り詰めた。ディランは何も言えないまま拳を握った。
「俺がやらなきゃいけないことに口を出すな」
その言葉は出る前に魂を刺した。向きを変え、遠ざかり始めた。(誰かを巻き込んだときに俺が与えるダメージ、見えるだろう?)
「カイン!」エラーラは追いかけようとして、ディランが腕を掴んで首を振るのを感じた。
「放課後、ゲートが見える広場で!」
「そこで待ってる」
二人はカインの姿が遠ざかるのを見た。本館に入るのを見届けると、エラーラは二歩後ろへ引いた。前を見たまま。
手を伸ばし、ディランの腕を探して、そっと握った。
「後で会いに行こう、わかってるだろ」ディランは友人が消えていった入口を見ながら言った。
「うん」
気持ちが落ち着くと、エラーラはディランを放し、カバンを拾うためにかがんだ。肩にかけると、二人は反対方向へ歩き始めた。




